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【第1回企業家賞】

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

企業家倶楽部アーカイブ

-1999年-

-1999年-

(企業家倶楽部2018年6月号掲載)

  
【第1回企業家賞】-1999年-

本誌では企業家ネットワーク(現 企業家倶楽部)設立5周年、経営誌『企業家倶楽部』創刊3周年を記念して、優れた経営者を表彰する『年間優秀企業家賞』を設けた。審査委員長にセコム取締役最高顧問の飯田亮氏を迎え、東京・新宿のパークハイアット東京で厳正なる審査を行った結果、次の経営者が企業家賞に決定した。1999年6月9日、ロイヤルパークホテルで発表・表彰式を行った。

企業家大賞

規制打破賞エイチ・アイ・エス 澤田秀雄 社長

企業家賞

人材育成賞 ブックオフコーポレーション 坂本 孝 社長

経営革新賞  オートウェーブ 広岡 等 会長兼社長

再チャレンジ賞    ユニバーサルホーム 加藤 充 社長

やすらぎ創造賞   ワタミフードサービス 渡邉美樹 社長

新技術創造賞     日亜化学工業 小川英治 社長


 
企業家大賞《規制打破賞》
危険な経営者と言われても頑張る

エイチ・アイ・エス社長/澤田秀雄 氏

 普通、企業は本業に集中するべきだと言われている中で、私は旅行会社、航空会社、證券会社と色んな事業に手を出している危険な経営者であり、賞をもらうのもためらっております。

 ただ、私どもの飛行機は安全ですので、一度お試し下さい(笑)。夏休みやお盆も、通常と同じ安い値段で乗れますし、サービスも頑張っておりますから。航空機事業はまだ企業として完全な状態ではなく、非常に厳しい状況に晒されていますが、安全とサービスと値段だけは頑張っております。ぜひ皆さんに、温かい目で見守っていただきたいと思います。

 今日、このような賞をいただいたのは、本当にスタッフ一人ひとりが頑張ってくれたおかげです。この賞はそれらスタッフがいただいたものと思っております。これからも頑張りますので、ご支援のほどよろしくお願いします。


企業家賞《人材育成賞》

場と自由を与えれば人間は必ず伸びる

ブックオフコーポレーション社長 坂本 孝 氏

 私が1号店をつくったのは50歳の頃でした。50代からでも企業を興せると、皆さんにも希望を持っていただきたい。また、私は大企業で働いた経験も、サラリーマンの経験もありません。世の中の大企業がどういうものなのか分かりませんが、事業目的を鮮明にすることで、より一層大勢の人を幸せにできる。そういうものが企業であると信じております。



企業家賞《安らぎ創造賞》

見てもらい褒められるのはうれしいこと

ワタミフードサービス社長 渡邉美樹 氏


 実は、私は事業を始めてから、賞状をもらうのは初めてです。子供は叱って育つのではなく、褒めることで育つ。人間というのは、褒められると大変嬉しいものです。この賞をいただいたということは、私たちの日頃の行いを見ていただいている証であり、本当に嬉しい。今度は応援してもらうだけでなく、応援する立場にも回って、お互い頑張っていきたいと思います。



企業家賞《再チャレンジ賞》

日本の住宅を世界標準レベルにする

ユニバーサルホーム社長 加藤 充 氏

 私どもは、日本の住宅が高すぎることに疑問を持っております。欧米と比較すると、価格は2倍、耐久年数で2分の1。従って、コストパフォーマンスは4分の1です。これを何とかしたい。日本人は、所得は高いのに、豊かさの実感が無いのはそのためです。私どもは日本の住宅を世界標準レベルにするために頑張っております。



審査委員長講評

セコム取締役最高顧問 飯田 亮 氏

 私はベンチャー企業経営者として、皆さんより少し先輩ということでこの任を引き受けました。旬が過ぎたと思われるかもしれませんが、もう一度旬が来るかもしれない。ということで、頑張ろうと思います。

 今回の審査にあたりましては、大変多くの企業がノミネートされました。現在、各界におきまして、「どうもベンチャー企業が少ないんじゃないか、もっとベンチャー企業を興すべきだ」と言われておりますが、「余計なお世話だ」と私は思っております。と言いますのは、政府や官僚などは野球のスタジアムの観客席にいるようなもので、プレーをするのは我々なんですから。政府の支援なんていらない、自分でやっていくんだという気概が大切です。私はベンチャービジネスが少ないとは全く感じておりません。これから、ますます増えてくるでしょう。

 ただ政府に一つ注文を付けたいのは、ベンチャービジネスをもっと盛んにしろと言っておきながら、税制的にはペナルティー課税をしているのです。「成功しろ」と言いながら重税を課す。これでは日本は良くならないと思います。

 審査の経緯について述べます。大変慎重に審査致しました。今回の大賞受賞者はエイチ・アイ・エスの澤田秀雄さんです。今までの航空券は統一料金でした。ところが、値段はもっと安くなると教えてくれたのが澤田さんでした。業界の常識をぶち壊した、画期的なことです。さらに航空業界の独占体制をぶち壊してやろうとスカイマークエアラインズをつくった。これも、大変勇気のいることです。私はこの勇気こそ、日本経済を支え、成長させていくものだと思います。

 ただ、残念なのは公正取引の問題です。独占禁止法に関わる問題ですが、他社が澤田さんの飛ばす飛行機の周辺時間帯だけ値段を下げたという馬鹿げた話があります。その辺はもう少しフェアな社会にならなければならない。いずれにせよ、澤田さんは苦労しながらも、色々な分野にチャレンジしている。まさに勇気の塊というべき人です。

 大変な混乱の時代はまだまだ続きます。戦後新しい会社がどんどんできたように、これからますますチャンスが膨らんでくるわけです。新しい企業がどんどん生まれてくることを祈って、そして皆さんの才能が大いに発揮できることを期待して、私のご挨拶を終わらせていただきます。

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