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【著者に聞く】米カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート 氏

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

企業家倶楽部アーカイブ

日本は自虐史観から脱却せよ

日本は自虐史観から脱却せよ

(企業家倶楽部2015年12月号掲載)

『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』

ケント・ギルバート 著 PHP研究所(1500円+税)

米カリフォルニア州弁護士で、40年近く日本に暮らすケント・ギルバート氏が、日本人の歴史感と他国の反日プロパガンダに疑問を投げかける一冊。日本人が、戦後GHQ の洗脳によって奪われた「愛国心」と「誇り」を取り戻すことができれば、日本は世界で一番幸せな国になれる。全ての日本人必読!


GHQの洗脳政策に踊らされたマスコミ

問 第二次世界大戦終戦から70年になりました。このタイミングでGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による日本人の洗脳というテーマでこの本を書かれたきっかけをお聞かせください。

ギルバート 私はずっと日本のマスコミのあり方について疑問を抱いてきました。マスコミの基本的な性質で、弱い者に対しては徹底的に突っ込んで行くのに、強い者には変なところで遠慮があると感じていたのです。

 戦後の日本において、GHQが報道検閲などを通じて日本人に占領政策を施し洗脳を行ったという噂は以前から囁かれていましたが、つい最近「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」に関する公文書が発見されました。「日本に与うる新聞遵則(通称、プレス・コード)」として30項目の報道規制が定められていたことも分かっています。これらは全て、日本人の「愛国心」を奪い、先の戦争に対する罪悪感を植え付けるアメリカの謀略です。

 これこそまさに、私が長年疑問視していた日本のマスコミの性質を作った原因だと思いました。多くの日本人が持っている自虐史観もここから来ています。日本人は正しい歴史を知る必要がある。それを事実に基づいて詳しく検証しようとこの本を書きました。

問 日本のマスコミの問題はどこにありますか。

ギルバート GHQは、日本人が戦争に向かったのは軍国主義の洗脳があったからと考えました。それを解くための洗脳をする手段として白羽の矢が立ったのが日本のマスコミだったわけです。WGIPやプレス・コードは1952年に発効されたサンフランシスコ講和条約でその効力を失いましたが、未だにそれに囚われているのが現状です。

 いま日本の報道は公平性が失われています。いわゆる偏向報道がまかり通っているのです。本来報道機関は、事実関係を厳密に確認して裏付けが取れた事実を包み隠さず知らせる機関であり、国民の考えを正しく伝える媒介者であるべきです。しかし、昨今のニュースなどを見ていると、報道する立場の者が活動家となり率先してイデオロギーを広めている。物事の全体を俯瞰的に理解し伝える立場にも関わらず、自ら議論に参加してしまっています。

反日プロパガンダに騙されるな

問 著書ではアメリカに留まらず中華人民共和国(PRC、以下中国)や韓国への批判も展開しています。なぜこれらの国々は反日プロパガンダをやめないのでしょうか。

ギルバート 各国それぞれの理由があります。共通するのは、時間経過とともにいろいろな情報公開によって証拠が出てきたことで事実が判明してきているにも関わらず、どの国も昔の常識に縛られ続けているということです。

 アメリカの場合は国民を欺くための反日プロパガンダでした。「敵を欺くには、まず味方から」という言葉があります。当時大統領だったフランクリン・ルーズベルトはアメリカとソ連の世界二分割統治政策を夢見ました。そのために第二次世界大戦への参戦は必須です。しかし、アメリカ世論の8割は戦争に反対していたので、日本が先に攻撃を仕掛けてきたという既成事実が欲しかった。いわば、日本はアメリカの計略にまんまとはまってしまったというわけです。いざ戦争が起こってしまえば、情報操作で自国の正当性を主張し、その陰に隠れた巨大な経済活動の実態を隠そうとしました。

 中国の動機は帝国主義です。東アジア全体を自分の支配下に置きたいというところから来ています。日本が卑劣なことをしたと叩くことで印象を悪化させ、日米安保体制を弱体化させることが狙いです。そうして、東アジア統一の障壁となるであろう米軍を、東アジアから撤退させることを目論んでいます。アジア諸国にとっては中国こそが脅威なのです。

 韓国はまた違う目的を持っています。「敵がいれば国民が容易に団結する」、反日政策による国民の統制です。韓国は未だにいろいろな理由をつけて、日本に謝罪と賠償金を求めていますが、これは後出しジャンケンと同じです。1965年に調印された日韓基本条約で賠償金は全て決められた額支払われ、韓国はそれ以上の請求権を持たないはずなのです。

 つまり反日プロパガンダとは、各国に不都合な真実を無視し、ありもしない嘘の歴史を捏造することで利権を得ようとする国々の嘘にまみれているわけです。正しい知識を持っていれば、それらが根拠のない空想だとわかるでしょう。

 しかし、事実を知らずに他国の反日プロパガンダを受け入れてしまう日本人が多いのも事実です。それはやはり、WGIPと日本のマスコミに原因があると私は見ます。

日本人よ「愛国心」を取り戻せ

問 GHQの洗脳政策から70年経った今、日本国民に何が起こっているのでしょうか。

ギルバート 日本人はWGIPとその名残により、先の戦争では日本が悪かったという歴史観を植え付けられました。

 その原因の一つとして、日本人が情報に疎い国民であるということにも起因します。戦後の洗脳政策で混乱している時代、検閲のかけられた情報がすべてだと勘違いし、日本がすべて悪かったのだという歴史観を持った国民が多くいたでしょう。まさにWGIPが狙った日本の洗脳をアメリカの洗脳で解こうとする策略にはまった形です。

 それに乗じて儲けようとしているのがマスコミです。事実確認もそぞろに、報道する側の意見だけを述べ他は受け入れない姿勢は非常に問題です。日本人はもっと報道を疑った方がいいと思います。

問 今後の日本人のあるべき姿とはどんなものだと考えますか。

ギルバート まず初めに自虐史観を捨てる事。アメリカによって日本人に仕込まれた嘘の歴史観と中韓による反日プロパガンダにのみ込まれないよう、しっかりと歴史的事実を把握する必要があります。根拠なく反日なことを言われた時には、冷静に事実に基づき反論すればいいのです。

 そして、健全な愛国心を持つことをタブー視するのをやめましょう。愛国心とは、宣伝カーに乗って町中を走り回ることでも、国旗を振ることでもありません。オリンピックで国歌が流れた時に自国を誇りに思うこと、そして日本の良いところを胸を張って好きということが、愛国心を持つということです。反日プロパガンダに晒され、自分達でも自虐史観を持ち、日本人は悪いと言われながらも、自分の国が好きだという日本人は非常に多い。ただ、それを愛国心という言葉で表すことに抵抗があるだけです。日本は世界中から好かれています。堂々と主張する勇気を持つべきです。

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