飯田 亮 審査委員長
第七回となる今年も極めて優れた企業家を表彰することができました。もちろん私の独断でなく、審査委員の皆さんの総意です。この六人の顔ぶれを見れば「満場一致だろうな」と、ご納得いただけるでしょう。私が講評というのもおこがましいが、役割なので一言ずつ述べさせていただきます。
まず大賞を受賞されたソフトバンクの孫 正義さん。もう説明するまでもありません。IT産業のドンですよ、この人は。孫さんを知ったのは創業間もない頃ですが、当時は体が弱かった。でも今は食欲も旺盛で、女性に関してはわからないが、おいしいものはプロ野球だって食べちゃう(笑)。ブロードバンドも日本屈指のものを作り上げ、日本社会に大きく貢献しています。これからも「ドンドンドン」と、ますます発展していくことでしょう。
次はディスコの関家憲一さん。この方とも近しくさせていただいています。切ったり削ったり磨いたりで、これだけの企業を作り上げるのはすごいことです。才覚もさることながら、彼は大変なジェントルマン。とても企業家とは思えない(笑)。企業家というものはどこかに毒を持っているものです。ユニクロの柳井さんを見ればわかるでしょう(笑)。でも関家さんにはその毒がないんですね。とにかく紳士的であり、優秀な企業家です。
そして、しまむらの藤原秀次郎さん。私は泥棒を捕まえる商売なので、小売業のことはよくわからないが、いい会社と聞いています。柳井さんに聞いたら、何しろ小売業の原則に忠実だという。それで売上は三千三百億円、営業利益は二百三十六億円。これはすごいことです。商品を納めている業者も「いい物はすぐ買ってくれる。だから、しまむらにはいい商品を納めたい」と言うそうですね。こういう会社はますます伸びる。大変優秀な会社です。
さて、ここまではある程度年配の方々ですが、この他の三人は若い。三十代です。その中では一番年齢が高いのがレックス・ホールディングスの西山知義さん。レックスといってもわからないかもしれないが、「牛角」といえば「あ、そうか」と皆さん、わかるでしょう。BSE問題にもめげず、乗り切ったすごい経営者です。創業は一九八七年、ごく最近にできた会社です。私なんか四十三年もたってる(笑)。これだけ若く、短い間に「牛角」という焼肉のチェーンを作り、自分の思ったとおりの計画を進めてきました。BSE騒動も乗り切り、エーエム・ピーエム、成城石井も買収しました。もともとデザインを重視した経営をしてこられましたが、これを見ると、西山さんがこの先どういうデザインを描いているから想像できると思います。とにかくバイタリティのある企業家です。
次はゴルフダイジェスト・オンラインの石坂信也さん。石坂さんという名を聞くと、私などは彼のおじいちゃんの石坂泰三さんを真っ先に思い浮かべます。石坂泰三さんは私がご指導を受け、お世話になった一番最初の大物です。初めてお会いした時、石坂さんは「俺達はもう”アオバン(アウト・オブ・バーン)”だから、お前達みたいな若いのが一生懸命やってくれ」とおっしゃいました。そこで私も一生懸命やってきたわけです。その石坂さんの孫がゴルフの企業を作ったと聞いて、「ゴルフで飯が食えるのか」と思ったものです。私はゴルフで損ばかりしてますからね。ゴルフって金がかかるでしょう?でも彼はそのゴルフで儲けている。「これは太い話だ。相当ビジネスの腕と頭がいいんだろう」と思っていました。これから他にもどんどん伸びる有望な会社でしょう。
そして最後は一番若いサイバーエージェントの藤田晋さん。一九七三年生まれだから三十二歳です。若くして成功し、売上は二百六十七億円です。立派な会社だけど、何の会社かわからないので聞いてみたら、ネット広告だという。でも、それだけで終わる人じゃありません。三十二歳で成功してそれで終わってしまったら、人生時間が余ってしょうがない(笑)。話を聞いてみると、ネット広告を入り口にしたマルチメディアやコンテンツビジネスなどについて精力的に話してくれました。孫さんが先頭切ってやって、IT事業ができてきた。藤田さんは新しい発想と信念で、ますますそれを大きくしていっているわけです。これからも大いに期待の持てる会社です。 |