トピックス -ビッグベンチャー

2020年02月03日

「成熟したビジネス領域へのチャレンジ」

Biz Forward 2020 ピッチコンテスト





   1月16日マネーフォワード主催のイベント「Biz Forward 2020」が開催された。セッションの中のひとつに、未来に向けて、困難に立ち向かい続ける企業のプレゼン対決「ピッチコンテスト」が行われた。印象に残ったプレゼンの内容を3つ紹介したい。





   まず1社目は、札幌市で保育事業を行っているこどもカンパニーだ。代表をつとめる渡辺和寛を中心に、まったく新しい形の保育園を作るためのチャレンジをしている。従来の保育園の場合、保護者が通いやすい住宅地の近くに作るのが定石であるが、代表である渡辺は、まちなかに保育園を作ろうというのだ。この新しい取り組みは、現在の子育て業界における待機児童・仕事と子育ての両立と言った問題へのチャレンジだ。 

   なぜ渡辺はこの取り組みを行うことが出来たのであろうか?彼は、「未経験だからこそ、業界特有の固定観念が無くなり、働く女性の求める保育園を徹底的に追求できた」と述べている。例えば、職場から近いということは、お迎えの関係で、時短勤務を選択せざるを得ない人にとって、迎えに行く時間が短縮され、その分働く時間を確保することができる。これは、女性のキャリア継続につながり、企業にとっても手塩にかけて育ててきた人材が今後も働いてくれるといったメリットにも繋がる。

   最後に渡辺は、「成熟期を迎えた業界にも、必ず、負の部分がある。そして、その負の解消には、未経験や新参入だからこそ、大胆にチャレンジできるパワーやアイデアがあり、イノベーションを起こすことができるのだ」と私たちに共有した。

 



   二社目に紹介するのは、校正業務に従事しているBrushupである。校正業務は赤入れを行っていく事であるが、昔ながらの方法で行われていて無駄が多いのが実情である。そこで、代表の水谷好孝を中心に「校正業務の脱、紙」を掲げ、人・時間・コストの有効利用を図っているのである。一般的な校正業務の手順は、原稿を郵送→赤入れ→郵送と言った三段階に分けられる。この工程の中には様々なコスト負担があるのだ。例えば、原稿をコピーするためにプリンターまでの移動時間、印刷代、郵送時間である。これが、一回の負担で終われば少しの負担で済むが、一回で終わるだろうか。

   そこで出番になってくるのが、「脱、紙」を実現することである。プラッシュアップが考えているのは、原稿・デザイン・動画をクラウド上で共有して、印刷することなく、そのまま赤入れをする、それを共有することができると言うものだ。50人の部署で一人当たり一日20枚印刷していた部署では、年間500万円の削減に成功した。これは大きくなればなるほど、効果が期待される。

   水谷の挑戦の中で難しかったのは、大企業に導入することであった。大企業は確立された業務フローが存在するためである。また全てをデジタルにするというのは大きな抵抗があるため、アナログに寄り添いつつ徐々に変えていくことが求められた。水谷は、チャレンジして行く中で、結局は熱意が大切だということを改めて認識したようだ。

   そしてプレゼンの最後に、「IT化も結局は人の熱量が実現可能にする。我々は紙の利用を減らし、自分にもそして家族にも、環境にも優しい働き方を提案していく。」と熱く語った。

 



   最後に紹介する3社目は、Biz Forward AWARD 2020 で最優秀賞を取った、タヤマスタジオである。ここでは代表である田山貴紘を中心に、伝統工芸の再生に向けてチャレンジしている。日本の伝統工芸品はファーストリテーリングの台頭により、生産額が8割減になり、職人もおらず、壊滅状態である。田山は、内部環境を変えられなかったことが、主たる原因ではないかと主張した。そのためには、一回今までやってきたことを分解すること、否定することが求められてくる。そこで田山が行ったのが、内部環境のIT化である。

   田山のチームでは、3年間の月日を費やし、会計、コミュニケーション、生産管理、受注発注と言った業務ごとにIT技術を導入した。これにより、今までは不透明だった部分が見え、職人の作業効率の数値化、作業の進捗状況を正確に把握できるようになった。やはり、感覚で業務を行うのではなく、次の正確な一手が分かったうえで業務をするということが大事である。

   内部環境が整えば、次に目を向けるのが、外部環境である。田山たちは、流通の構造を変えることを試みた。今現在行っているのが、中間技術を複数経て消費者に届けていると言うモデルである。しかし、ここには限界を感じているらしい。そこで、直接消費者に届けることは出来ないかと、BtoCモデルの推進を進めている。具体例を上げると、ショップ&カフェを作り、そこで直接販売すると言ったモデルだ。

   以上の二点を取り入れることで、売上も右肩上がりになり、少しずつ、再生がスタートし始めた。田山は、内部・外部共に変革を起こし、この業界をアップデートし続けようとしているのだ。また、田山は「今後は、人々を魅了し時間軸さえもゆがませる、良いものを造りたい」と語った。そこには、「この業界を未来に託し、日本の魅力を存続、ひいては向上させたい」と言った熱い想いが秘められていると感じた。

 


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