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トピックス -企業家倶楽部

2011年07月09日

ビジネスモデルの中に 「進化の遺伝子」を見つけ出す/レオス・キャピタルワークス取締役・CIO 藤野英人

企業家倶楽部2011年8月号  著者に聞く





 会社は生き物だ。どんな会社が成長し、生き残るのか。伸びる会社、危ない会社にはそれぞれ独特の雰囲気がある。東日本大震災後の変化を踏まえて、10 年以上も経営者に読まれてきた「スリッパの法則」を大幅に書き換えた図解版。企業診断のプロ、ファンドマネージャーとして活躍する筆者が、会社の本質についてわかりやすく解説する。

『図解 スリッパの法則5000人の社長に会ったプロが教える!伸びる会社vs危ない会社の見わけ方』
藤野英人 著
PHP研究所
(800円+税)



■伸び続ける会社の企業体質

問 本書では図解版となり、とても読みやすくなりましたね。特にどんな方々に読んでもらいたいですか。
 

藤野 20代、30代の方です。この本は、主に企業経営者や財務の方に読まれていた文庫版「スリッパの法則」を図解して、わかりやすく書き換えたものです。以前よりも10歳若い層の方々、つまり就活前の学生や、新社会人の方にこそ読んでいただきたい本です。もちろん、これから会社を創業しようとしている方や、創業後に悩んでいる方にもチェック事項として参考になるのではないかと思います。
 

問 著書の中で、東日本大震災以前をBQ(ビフォア・クウェイク)、それ以後をAQ(アフター・クウェイク)と区別して考えるべきだと論じておられます。AQ時代に突入した今、ファンドの世界ではどのような変化が起きているのでしょうか。
 

藤野 常に動いている世の中で、不連続な出来事である震災が起きました。投資家、ファンドに限らず、どう生きるかがすべての人に問われています。震災後、多くの株価は下落したままですが、SNSの会社は震災前の株価を越しています。震災時、電話は使えませんでしたが、インターネットは震災にも強かったことを証明したのです。SNS関連や震災復興企業、持つ経営から持たざる経営に移る企業、グローバル企業に投資がシフトしています。具体的なサービスとしては、「所有から利用へ」という考え方が加速していくでしょう。例えば、ITの世界ではクラウド化が進みますし、住宅なども今後は賃貸が主流となっていくことも考えられます。
 

問 藤野さんが投資の際に見られる、ビジネスモデルの中にある「進化の遺伝子」とは何でしょうか。藤野 会社は止まっていると死んでしまうので、挑戦し続けなければなりません。だからチャレンジャー精神を持つことが大切です。例えば、ユニクロの柳井正会長兼社長は、「新しい事業で9敗しても1勝を目指していかなければ次はない」と考えています。経営者自身がそうした考え方をもっていて、かつ社員に浸透していることが肝要です。  
 チャレンジ精神のある社長かどうかは、話をしているとわかります。例えば、面談時のお供の数とインタビューの充実度は反比例すると考えています。チャレンジャー精神のある社長はプラス1から2名の計2から3名で来ます。一般的に社会的地位の高い人ほど、一人で自ら出向きません。多くのお供を横につけています。

 同様に、決算説明会でのひな壇上の人数が多くなればなるほど、リスクが高いと考えていいでしょう。人数が増えるほど、それだけ詳細な情報が望めるはずですが、実際には情報量が少なくなります。大半の日本企業はリスクをとらないことを良しとしてきました。日本にはお金も知恵もあるのに、なぜ閉塞的かといいますと、新たに挑戦することを尊ぶような空気が一般的にないからだと思います。
 

問 ディスクロージャー(企業の情報公開)で企業体質がわかるのですね。良いディスクロージャーとはどういうものだと思われますか。
 

藤野 まず、トップが自分の口で経営理念を話すこと、会社によく精通していること、継続して経営数字を開示すること、タイムリーに必要な情報を発すること、誠実に機関投資家に対応することです。今の政府と東電のディスクロージャーの逆をすれば良いと思います。
 

問 魅力的な会社であり続けるには優秀な後継者が欠かせないと思います。後継者育成にはどういった点が重要だと思われますか。
 

藤野 基本的には、後継者育成はとても難しいことです。経営者の血は遺伝しないと思います。昔から大阪や江戸の商家は娘が相続していました。家としては娘に血の継続をさせ、優秀な婿をもらうことで長期的な経営を行ったのです。50年や100年続くファミリー経営は、だいたい娘が継いでいます。



■会社を繁栄させるリーダーの視点

問 理想のリーダー像について教えて下さい。
 

藤野 リーダーとは自分の幸せよりも周りの人の幸せを考えられる人です。上司は自分を犠牲にしても部下に手柄を与えなければならないのです。自分が成長したいと思うだけの人はある程度までしか成長できません。それよりもいかに周りを成功させるかが大切なのです。
 

問 本書では銀行業を金融サービス業と捉えた、スルガ銀行の岡野光喜社長が取り上げられていますね。
 

藤野 10年前、自らを頭取ではなく社長と呼ぶ銀行経営者は岡野さんだけでした。頭取とは銀行の特権意識の表れだと岡野さんは言います。銀行も普通のサービスの一環であり、特別に考えるのはおかしいと考えたのです。当時、岡野さんは変わり者でしたが、今ではメガバンクの経営者たちも肩書きを頭取とせず社長にしています。岡野さんの考え方が浸透してきたのです。
 

問 最近は女性の活躍が際立ってきたとありますが、何か共通点があるのでしょうか。
 

藤野 若い世代は私たちの世代より、ジェンダー的な役割に関して同権意識が強いと思います。そもそも一般職や総合職という区分けそのものが性差別なのです。先輩世代がその中をくぐりぬけながら、企業家でいうとディー・エヌ・エーの南場智子元社長のような女性が出てきました。
 

 また経済が縮小していくなかで女性は社会進出せざるをえません。以前は「女性だから、競争とは無縁に自由に生きなさい。男性は責任を持ちなさい」という風潮がありました。リーダーになる女性が少ない原因として、男社会ももちろんありますが、この風潮から女性側にも周りを考える意識が足りなかったのです。なぜその人がリーダーなのかというと、その人がリーダーである事によって、会社全体が繁栄するからなのです。
 

問 今の日本では団塊ジュニア世代の企業家が活躍していますね。20代の企業家はどうでしょうか。
 

藤野 私が特に期待しているのは、これからのゆとり世代です。良い意味で生意気な子が多いのです。確かにぼんやりしている子も多いですが、少数ながらルールは俺が作るという価値観を持つ子がいます。かつて、学生運動をしていた人たちが企業家予備軍になりました。同様に、現在SNSやアプリを作って稼いでいる大学生が、経験を活かして企業家予備軍になっていくと思います。フェイスブックの創業者であるザッカーバーグのような若者が、日本にいないわけでは決してありません。これからが注目です。5年後には、今の学生たちが果敢に挑戦して、予想外のサービスを提供する大きな会社を創っていると思います。



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