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トピックス -企業家倶楽部

2012年05月24日

アジアのビューティープラットフォームを目指す/アイスタイル代表取締役社長兼CEO 吉松徹郎

企業家倶楽部2012年6月号 新興市場の星たち




■美容系クチコミサイトのパイオニア

 アイスタイルは生活者による美容関連商品評価情報(クチコミ)サイト「@cosme(アットコスメ)」の企画・運営を中核とし、美容関連の物販、 マーケティングリサーチや広告を手がける。アットコスメの商品登録数は19万点、無料の登録会員は180万人に上る。1ヶ月のユニークユーザー数(特定期 間のウエブサイト訪問者数)は500万人、化粧品のクチコミを求めて、日本女性の10人に1人、20~30代女性の実に4人に1人が毎月アットコスメを利 用している。

 アットコスメの特長はメーカー・ブランドの枠を超えたデーターベースであること、さらに、それがサイトへ寄せられる生活者のクチコミから成っていることだ。投稿者が自ら使用した商品について点数と感想をクチコミし、ランキングに反映される。

 実際にアットコスメのクチコミを見てみよう。商品画像、値段と共に、7点満点の星の数で評価されている。クチコミ投稿者の年齢、肌タイプ、商品購 入場所、効果などが明記され、「少量でも伸びてしっかり塗れました」などといった所感が自由に書き込まれており、サイト利用者はメーカーにとらわれない個 人の正直な感想を知ることが出来る。その上、アイテム別、悩み別、年齢別など多くの項目があり、それぞれでランキング分けされ、サイト利用者が最も知りた い情報をピンポイントで得ることも可能だ。また、クチコミを閲覧した利用者がそのクチコミに対して有益だとクリックするとそれもランキング化され、クチコ ミを促す仕組みになっている。2011年12月末のクチコミ件数は940万件、加えてメーカーの商品情報なども入手出来るとあって、日本一の美容系コミュ ニティサイトへと成長した。

 2000年から年に1度、「ベストコスメ大賞」を発表している。これは美容専門家などの審査員が選定に加わるのではなく、アットコスメに寄せられ たクチコミランキングのみで決定される。過去には資生堂ピエヌのアイシャドウが廃番後に総合ランキング一位で大賞になってしまったことがあった。「さすが に発表するか迷った」と吉松は言うが、「生の声を届けることが大切」とあえてそのまま発表し、それがベストコスメ大賞の信頼に繋がった。現在では化粧品業 界に大きな影響力を持つようになっている。

 しかしアットコスメで人気の商品が、必ずしも街のドラッグストアや化粧品店で売れ筋の商品とは限らないのが現状だ。なぜなら、化粧品メーカーの新製品や売りたい商品が販売店で陳列され、販売側の意図と消費者のニーズが必ずしもマッチしないからだ。

 アットコスメのランキングが実際の店舗でも反映されることを実証する意図もあり、現在、実店舗型の「@cosme store(アットコスメストア)」を東京に5店舗、福岡に1店舗展開している。アットコスメで人気の商品を揃え、来店者は店頭のパソコンでアットコスメ の人気ランキングの検索が出来るようになっており、ネットとリアルを連動した店舗作りをしている。ルミネエスト新宿店は年商6億円、さらにアパレルの店舗 が多い同ファッションビル内で、「ルミネ10%」というセール期間中の売り上げが243店舗中最高を記録している。しかしアイスタイルでは闇雲な店舗の拡 張は考えておらず、地域のショーケースになればと考えている。コスメストアに限らず、アットコスメランキング上位の商品を揃えた店舗が増えれば、アットコ スメの信頼度が上がり、広告など他の収益が見込めるためだ。

 アイスタイルの2011年6月期は売上高38億3200万円、経常利益4億3200万円であり、売上比率はメディア事業が21億円500万円、 EC事業(電子商取引)が4億3200万円、店舗事業が12億9400万円である。国内の化粧品広告関連市場は約3000億円、アイスタイルは0.7%の シェアであり、まだまだシェア拡大のポテンシャルは高い。



■アットコスメの立ち上げ

 1996年に大学卒業後、吉松はアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に就職し、企業にインターネットを活用した業務改革の可能性を提 案していた。そんな中、友人の山田メユミ(現アイスタイル取締役)が化粧品のメールマガジン「週間コスメ通信」を趣味で始めることとなり、配信前に500 人の配信登録があったのを知って化粧品に関するビジネスに可能性があると思いつく。マスコミ主体だった広告宣伝のあり方は、インターネットによって大きく 変化していくと感じ、化粧品とインターネットの事業モデル・事業計画を作成、資本金300万円で1999年有限会社アイスタイルを設立した。 「消費者の編集されない生の声をどこからでも見られるサイト」を創造すべく、山田の意見を反映し、吉松がER図やサイトイメージを書き、仲間達とプ ログラムを組んだ。アットコスメ編集部のスタッフは山田のメルマガ読者から採用し、サイトに上げる写真などは私物を持ち寄り撮影して作っていき、99年 12月にアットコスメがオープンした。



■アジアへの展開へ向けて

 2012年3月8日、アイスタイルは東証マザーズ市場に新規上場した。7年前には三井物産と提携を結び中国企業に資本参加するなど、この数年海外と のビジネスの中で、海外では企業規模ではなく、上場しているかどうかが信用信頼に繋がることを吉松は実感する。5年後、10年後のアジア全体のビジネス チャンスを考えると、彼らとの提携や、資本関係を結ぶためには、上場しておくべき時にしなければならないと痛感しての上場である。

 吉松は日本の今後の輸出産業は美容産業になると語る。アジア諸国が発展し、衣食住が充実した後に人々が求めるのは化粧品など美容関連商品だとい う。メイクアップ商品が主流の北米メーカーや、ブランドありきの欧州のメーカーと違い、アジアメーカーは美白化粧品など、アジア人女性が望む商品を展開し ている。中でも日本メーカーの化粧品プロダクトは進んでおり、大きなマーケットが期待される。

 現在、海外から日本のコスメを調査する際、最初にアクセスするのはアットコスメだと言われている。日本最大級の化粧品データーベースであるから だ。従来は日本の化粧品メーカーが海外に進出する際には、企業自らが販路を開き、物流、販売に至るまで全て独自に行ってきた。日本の化粧品業界には企業同 士を中立的な立場で繋ぐような企業が存在しなかったからで、アイスタイルは今後、日本の化粧品メーカーが海外展開する際のビジネスも視野に入れている。

 日本国内の飲料市場は約4兆円で半分を女性が消費していると考えると、2兆円と言われる化粧品関連市場と飲料の市場は同じ規模である。いずれ、ア ジア諸国でも同様の比率までマーケットが育つと吉松は考えている。各国の状況に応じてやり方は様々ではあるが、いずれはアジアのビューティープラット フォームを作りたいと考えている。

「上場してようやくスタート地点に立ったという感じです」

そう語る吉松の今後の展開に期待したい。

■会社概要

社 名:株式会社アイスタイル

設 立:1999年7月27日

所在地:東京都港区南青山1-26-1

電 話:03-5785-8900

資本金:7億4,975万円

従業員数:169名(2012年3月末現在)



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