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トピックス -企業家倶楽部

2012年06月07日

高級不動産で一強を目指す/ケン・コーポレーション代表取締役社長 田中健介

企業家倶楽部2012年6月号 今、日本を最も面白くする企業家たち




■一、生きる

*田中健介氏は2013年12月25日に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

この記事は、BS12TwellV 月曜18 時30 分から放送中のワールド・ビジネス・チャンネル同名番組を紙面化したものです。今、日本を最も面白くする企業家の熱きドラマです。なお、過去放送分も含め た当番組の全てのラインアップは、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。

(http: / /kigyoka.com)



■高級賃貸で民間外交を実現

私は大学卒業後マルマンへ入社しましたが、入社した翌年の1965年2月に盲腸で入院したのをきっかけに退職しました。その後、英語をブラッシュ アップできる職はないかと探したところ、外国の方々に高級不動産を仲介する会社へ入社することが出来ました。大手外資系企業の幹部や外国のVIPが顧客な ので、プライドを保ちながら様々な事を学べました。仕事時の運転中に後ろからトラックに追突される事故に遭ったのは、そんな折です。幸いお客様は同乗して いませんでしたが、私はむち打ち症になり、しばらく体が動かせなくなってしまいました。これをきっかけに、私は独立を思い立ちました。前の会社でお得意様 を掴んだという自信もあり、自ら不動産業を手掛けてみようとケン・コーポレーションを創業したのです。
 創業するにあたり、私は高級賃貸をライフ ワークに決めました。その理由は二つあります。一つは来日する外国人の方々に、可能な限りご希望に沿った物件をお探しするのは民間外交そのものだと思い、 大きなやりがいを感じたことです。例えば、外国人のお客様に物件を紹介する際に行う、日本における生活指導は高い評価を得ています。もう一つは、将来は VIPな人脈、企業脈でさらに大きな不動産の世界に入っていきたい、という目標を持っていたことです。

 独立後、ケン・コーポレーションは社員が増えていくに従い、時間を掛け、取り扱い物件を増やして発展してきました。そして賃貸だけでなく、オフィス仲介、売買仲介、不動産管理業も取り扱うようになりました。

 より無敵化を図るために、物件を増やすことと、社員教育に注力した結果、現在では外国人向けの高級賃貸仲介でダントツのトップ企業と言われるまでに成長しました。



■高級ホテルに絞ったマーケティング

バブル崩壊後しばらくすると、日本の不動産不良債権処理が進みました。そして、ビル価格の値下がりが底を打つと、ビルを安く購入することができなく なり、ビル事業の継続が困難になりました。そこで、ホテル事業に進出したのです。バブル以前、我々はアメリカでホテルを5カ所作っていました。ホテルは割 安で、他の不動産業者はどこも着目しておらず、ホテル経営は専門の運営会社に任せていたので大変合理的だったのです。

 なかでも一流ホテルに注目しました。ケン・コーポレーションが高級高額不動産専門なため、お得意様に整合性があるからです。我々の顧客にどんどん 泊まって頂くため、ブランドホテルや高級ホテルに的を絞って買収を着々と進め、首尾よくグアムの5大高級リゾートホテルを所有するに至りました。今では、 我々が保有する客室はグアムの客室全体の約36%を占めています。

 グアムは日本からたった3時間強、時差も1時間と比較的近距離に位置するため、費用もハワイに旅行するのと比べて3分の1ないしは4分の1で済み ます。日本人の利用者をさらに増やしグアムを活性化させることで、一流のリゾート地を築いていこうと考えました。また、グアムに注目した大きな理由の一つ は、アメリカの海兵隊がグアムへ移転するに違いないという情報と確信があったことです。グアムにはホテル用地が少ないので、ビジネスでは先に進出した方が 絶対有利です。アメリカで培ったホテル経験を活かして、グアムに狙いを定めました。

 当初は老朽化したホテルをリニューアルするのに相当予算を注ぎ込みましたが、近年は毎年増収増益です。年間の経常利益は、一昨年が32億円、昨年が36億円に達していて、40億円突破も夢ではありません。

 シェラトンホテルは50億円で買収し、リニューアルに同額を投資しました。我々が目指す全く別のホテルに生まれ変わらせたのです。そのため同社が 持っているハイアットホテルに次ぐ宿泊料金が設定出来ますし、超高級ホテルの地位をますます高めています。現在、グアムの他にアメリカ本土に2カ所ホテル を保有しており、ハワイ、サイパンに大きなホテルを持っています。 また、外国人にも日本にどんどん来てもらいたいと思い、国内のホテルも買収してきまし た。いわゆる、ホテル立国化に貢献したいのです。それぞれの地域の歴史と文化、伝統を高めて、地元の誇りとして愛されるようなホテルを、国内国外問わず作 るのが私の理想です。



■一強百弱の経営

昨年3月11日に起こった東日本大震災では、フランスやドイツが首都圏や被災地にいる国民全員に一時帰国命令を出しました。しかし、賃貸住宅は解約 せず一時帰宅しただけでしたので、東京は大丈夫だと分かると多くの方々が戻って来ました。困ったのは、放射能汚染の風評被害で家賃が2?3割安くなったこ とです。ただ、我々は良い物件を持っているので、住み替え需要の大半が当社に来ました。そのため家賃が下がったことの影響は大してありませんでした。

 住み替えのニーズが当社に向かったのは、単に大手であるだけでなく「一強百弱」ということもあると思います。私はリーマン・ショック以来、この言 葉を社員に口癖のように言っています。「これからの時代は何でも一強百弱、その一強を目指せ。そして、一強になっていればダントツの一強を目指せ」と。

 1990年代前半のバブル崩壊やサブプライムショック、リーマン・ショックなど不況の度に、当社は本業をとにかく強化し、ダントツを目指しまし た。すると、その度に社業が伸びてきたのです。そこで私は、一強を目指す志と情熱が無い限り、サバイバルも難しいと社員に説いています。2番と1番、わず かしか違わないようですが、志の強さが違います。金メダルを目指さないと、銅メダルはおろか入賞すら難しいのが実態なのです。ですから最初から銅メダルや 銀メダルを目指してはいけないと思います。



■強さの秘密は信用力

私は子供の頃から、成功した実業家である父親の後ろ姿を見て育ったので、父以上の信用を博する人間になりたいと思っていました。ケン・コーポレー ション創業の時から、大きい会社や資産がたくさんある会社ではなく、社会から無敵の信用を博するような会社を作ることが最大の目標でした。これは今も続い ています。

 信用を培うためには、愛社精神や王道を歩む会社を目標にして社員を教育するのが一番大事です。戦後の教育は叱ることをタブー視されていて、わがま まな人間が育ちました。当社に入る社員には、私が先生代わりになって、倫理観や道徳、今でいうコンプライアンスを徹底的に叩き込みます。それが信用を作る 基盤になるからです。

 創業4年目から始めた朝礼は今、毎週月曜日、大型テレビを使って全社同時に行っています。司会者が一言スピーチして、締めくくりに私が立派な人間 にするための話をします。何よりも、当社の基本方針を叩き込んでいく。私にとって都合の良い方針でなく、立派な社会人として世間から認められる人間を育て ることが目的です。

 ケン・コーポレーションの基本方針は、王道を歩むことと、信用・信頼を築くことです。至高のホスピタリティとパンクチュアリティ(時間厳守)が信頼を築き、好運を招くと指導しています。この2つを貫けば、誰でも大きな信用を得られます。

 私が好運を得られたのも、バブルで誰もが転売を目的にして不動産を買い漁ったとき、一切儲けのために不動産を買わなかったからです。だからこそ、 経営機関が当社に抜群の信頼をしてくれるようになりました。ただし、経済性が確実にあり、安く買えるものしか買いません。どんな素晴らしいものでも高けれ ば全く関心がありません。



■囲碁で培った人生哲学

私は若い頃から囲碁に熱中してきました。囲碁哲学と経営哲学が似ていたからです。囲碁は、最終的に少しでも領地が広いほうが勝つという、謙譲のゲー ムです。数値で測るのが経営の財務に似ています。経営の参考にするためにも極めたいと頑張ったおかげで、現在ではプロの方ともハンディなしで手合わせをし ています。

 囲碁は山勘で打つのではなく、何十手先を見通して打つ手を決めます。これは社会における、ビジネスの先見力と大いに関係があります。だから私も衝動的に命令せずに、熟慮と段階的な予測をして、かなり先まで読んでから決断します。

 東京都港区六本木のケン・コーポレーション社屋には、囲碁の道場があります。日中韓で今、囲碁が盛んになっていますが、かつて優勢だった日本が近 頃、中国や韓国によく負けているのです。これではいけないと、日本のプロを目指す若者、アマチュアチャンピオンを目指す若者に道場を作って、切磋琢磨させ ようと思いました。ネットでも碁が打てる時代ですが、やはり人品や人間性も磨きと合わせて、実際に試合を続けることで強くなるのです。

 現在、約40数名の幅広い年齢層の棋士が、月2回土曜日に開催されるKEN CUP大会に参加し、熱戦を繰り広げています。これを10数年やっている内に、現在の日本チャンピオンは全部当社の囲碁道場から輩出されています。私心の ないアジアの交流で、人間を磨かせながら、チャンピオンを育てようという気持ちで道場を運営しているので、優秀な棋士が集まるようになりました。中国や韓 国からも人が集まり、まさにグローバルに切磋琢磨して、ますます強豪が生まれています。



■人間一強を目指す

私は自然体という言葉が好きです。企業として現在続けている意義の高い仕事において業界の一強、トップ企業になることが発展につながります。そし て、それぞれの人間も磨いて、一人一人が人間一強になり、沢山良い所を持つ必要があります。それを育てる上司たちも、指折りの良い上司にならなければいけ ない。そして上司は悪い点はちゃんと戒めて叱らなければなりません。叱ることをタブーにされたおかげで日本はここまで教育が崩壊したのです。私は当社に 入ってくる社員を教育し直してきました。そのおかげか、お客様に評判の良い社員が増えております。

 今後も高級不動産業に加え、グアムを中心とした高級リゾートホテルのオーナーとして、リゾート開発に力を注いでいきたいと思います。
 

P r o f i l e

田中健介 (たなか・けんすけ)
 

1939 年愛媛県八幡浜市生まれ。64 年早稲田大学第一政経学部を卒業後、株式会社マルマンに入社。その後、外国人向け賃貸仲介の不動産会社に勤務。72 年8月、株式会社ケン・コーポレーションを設立。代表取締役社長に就任し、現在に至る。



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