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トピックス -企業家倶楽部

2012年08月30日

音楽の楽しさを伝えライフスタイルを変革したい/EYS-STYLE代表取締役社長 吉岡秀和

企業家倶楽部2012年8月号 注目企業




自身が究極の顧客だった

   新しく楽器を始めたいが、時間もお金も無い。そんな悩みを抱えている方にぴったりなのが、EYS‐STYLE(以下EYS)の手掛ける「EYSミュージックスクール」だ。創業4年で、会員数は3500人(2012年4月現在)。年末には会員7000人突破を目指す。

   EYSの前身は、野球チーム出身の会社員6人から成るバンドだった。当時女子高生がジャズバンドを組む映画『スウィングガールズ』が流行っており、吉岡らは「女子高生にできるんやったら、我々エリートサラリーマンはできてしかるべきや!」と勝手に思い込んだ。

   実際にバンドを始めると、結成半年でライブデビューを果たした。その後、人が人を呼び200人のビッグバンドに成長。国際フォーラムでのライブも実現させた。

   そんな折、吉岡はバンドに参加する若者が低所得にも関わらず毎月何万円もの大金をライブにつぎ込む姿を目撃した。その原点にあるのは「感動を得た い」という欲求だと気付き、誰もが音楽を通して感動を得られるように仕組化することこそバンド創設メンバー6人の使命だと確信した。さらに既存の音楽教室 で満たされていないニーズに応え変革を起そうと決意した。吉岡の説得が功を奏し、6人全員が退社。各々の貯金を出し合って、EYSが誕生した。

「バンドが起源の会社ですので、私たち自身が究極の顧客でした。バンドの原体験から、音楽を本当に楽しめる場所を仕組化して提供したかったのです。このビジネスを始めたい、というよりも、この楽しさをあらゆる人に伝えたいという思いが原点としてあります」

   しかし、バンドがコミュニティとして完成すると新しい人が入りづらくなる。そのため、吉岡はコミュニティへの明確な入り口が必要だと考えた。

「水がたまる桶があっても、蛇口をつけなければ仕組化にはなりません。そこで目をつけたのが音楽教室でした」と吉岡は振り返る。



好きな楽器で弾きたい曲を

   吉岡は創業以前、既存の音楽教室に通っていたが、そのサービス力の無さに失望していた。そこに変革を起こそうと始めたのが「レッスンの期間、進度、 目標などを自ら設定可能」とした会員想いのサービスだ。基礎練習から順に積み重ね、高度な曲に挑戦していくという従来の音楽教室とは一変し、好きな楽器で 弾きたい曲を演奏できるスタイルである。例えば、友人の結婚式に仲間5人でバンドを組み、演奏したいと思えば、未経験者でも期日までにその願いを叶えてく れる。

   さらに、レッスンを1年受講する場合、希望者には無料で楽器を贈る。サックスやフルート、ヴァイオリン、ピアノ、三味線等を含む21種類が無料楽 器プレゼントの対象となっている。自費で買うと何十万円もする楽器が揃い、お得だ。当初は「無料レンタル」からのスタートだったが、「嬉しいが、1年後に は返さなければいけない」というポジティブクレームが多く寄せられた。吉岡は悩んだ挙句、「あげるしかない!」と決断した。

   EYSは楽器を安く仕入れるため、途上国の工場から仕入れを行っている。常にトラブルと隣り合わせだが、社員は海外を飛び回る。

「物販で儲ける音楽ビジネスの時代は終わりました。楽器を売るための音楽教室はEnjoy Your Soundに対する冒涜です。私たちは物販では絶対に儲けません。なぜなら、感動を売るビジネスを自負しているからです」

   EYSではピアノやヴァイオリンなど人気のある楽器だけでなく尺八や二胡、三味線といった珍しい楽器も演奏できる。社名のEYSは「Enjoy YourSound」の略称だ。全員で自分たちの音楽を楽しむことを大切にしている。

「バンドである以上、ピアノやヴァイオリンといった人気の楽器だけではなく、様々な音色が揃っていなければなりません。是非、音楽の融合を楽しんでもらいたいですね」と吉岡は語る。



講師は「先生」ではない

   EYSの講師は「ミュージックスタイリスト」と呼ばれる。お客の叶えたい音楽ライフを徹底的にサポートする接客のスペシャリストだ。お客の要望に忠実に応えるため、満足できなければ無料で別の講師がレッスンをやり直す「ENJOY保証」まで手掛けている。

「ミュージックスタイリスト」という名は美容室のヘアスタイリストに由来する。「美容室ではお客に髪型などの要望を尋ね、マッサージや雑誌、飲み物を含めてサービスを提供します。同様に音楽教室でも、お客の要望に応えるサービスを提供するのは当然です」と吉岡は説く。

   しかし、音楽家には生徒にサービスを提供するという意識が希薄で、アルバイト講師の遅刻は日常茶飯事だった。少なくとも日本のサービス業の水準に合わせようと、吉岡は厳しく指導を行ったが、結果的にはほとんどの講師が辞めてしまった。

   それならば会社側も覚悟を決めるしかないと判断し、講師は全員、正社員として採用。安定した給料と教育を保証した。講師は毎日1時間、接客の力を磨くため、コミュニケーションのトレーニングを積む。

   EYSの接客スタイルには段階がある。初めてレッスンに来たお客には「フレンドリー&ホスピタリティ」で応える。「どのような曲が好きですか」という問いかけから始まり、講師自身が歌ってみせることで安心感を与える。

   だが、バンドが形成されるに従い、過度なホスピタリティは逆に嫌がられてしまう。すると、接客スタイルは「フレンドリー&フレンドリー」に移行す る。もちろん、相手がお客である以上、サービス意識を忘れてはならない。教室とバンドの両方を併せ持つEYSの接客は難易度が高い。ホスピタリティとフレ ンドリーのバランスを上手くとるコミュニケーションスタイルの確立が、現在の課題だ。



楽しめなければ音楽ではない

   今夏には、銀座店がオープンする。新宿店は700人の会員の受け皿としてレッスン教室の色彩が強いが、銀座店は原点に返り、バンドにとって最高の空間が創られる。開放感に溢れ、様々な人が自由に出入りする、社会人の新たな交流の場にもなりそうだ。

「実のところ、最初は倉木麻衣のコピーバンドを組みたかっただけなのですが、思いがけず音楽が仕事になりました。ライフスタイルを楽しむことが大好きなので、仕事をしているのか遊んでいるのか分からないですね」

   吉岡は「EYSタイマー」と名付ける自社の目標達成計画をホームページ上に公開し、着実にそれを成し遂げてきた。夢は大きい。今年中に88店舗、 5年後には1万店舗を展開、10年後にはフォーブス世界有力企業ランキング入りを目指す。また、地域活性化にも意欲的で、今後は地方への展開も視野に入れ る。

「音楽の本質は、自由に音を奏でることです」と説く吉岡。音楽を通して、人生の楽しみ方、ひいてはライフスタイルの変革をもたらしていくEYSの、今後の飛躍が楽しみだ。

(文中敬称略)

【会社概要】
社 名 ● 株式会社EYS-STYLE
本 社 ● 東京都新宿西新宿1丁目22-15グラフィオ西新宿2F/3F
設 立 ● 2008年
資本金 ● 1億1720万円



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