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トピックス -企業家倶楽部

2012年08月03日

2015年頃に歴史的経済危機がやってくる/ハドソン研究所首席研究員 日高義樹氏

企業家倶楽部2012年1/2月号 著者に聞く





現在、アメリカが直面している未曾有の金融危機。2008年のバブル崩壊以来膨らみ続けた国内の財政赤字は100兆ドルに達し、基軸通貨であるドル の値段は暴落した。世界を牽引してきた大国アメリカのこのような事態はいかにして起り、今後アメリカ経済はどうなっていくのか。実際に国政に携わった専門 家達へのインタビューを通してアメリカ起死回生の可能性を探る。

『アメリカの歴史的危機で   円・ドルはどうなる』 日高義樹 著  徳間書店 (1400円+税)



オバマ大統領はアメリカを救えない

問 本書で「オバマ大統領はアメリカ経済を大きく出来ない」と仰っているのはなぜですか。

日高 現在ドルの値下がりが続いているのは、オバマ大統領がドル札を過剰に刷りすぎたためです。金融と経済の危機からの脱却という名目で、ウォール 街やデトロイト自動車産業に莫大な資金投入を行いました。メリルリンチとバンクオブアメリカ合併の際には、国内9つの大銀行に約5000億ドルの出資をし ています。結果、2年半で7兆ドルもの財政赤字を作り、救えたのはウォール街だけ。アメリカ経済は一向に回復せず、むしろ赤字を増大させて更なる窮地に追 い込みました。

 また、福祉に偏った社会主義的政策で生活保護や医療保護などに国家予算の大部分を費やしたことも、アメリカの赤字を膨らませた要因です。2011 年2月に発表された3回目の予算案でも、オバマ大統領は大幅な財政赤字を見込んでいます。次の大統領選挙でオバマ氏が再選されれば、アメリカの財政は手に 負えなくなるでしょう。

問 オバマ大統領を選んだのはウォール街だ、と書かれていますが、ウォール街がオバマ氏を推したメリットは何だったのでしょうか。

日高 アメリカ大統領選挙が行われた2008年、リーマン・ブラザーズの倒産を引き金にバブルが崩壊し、アメリカの金融と経済は危急存亡の状態でし た。この危機を脱するために、ウォール街は自分たちが使いやすい政治家を大統領に立てようと試みたのです。政治家としての経験が浅く、まだ政界に通ずる力 を有していない人物。そこで選ばれたのがオバマ氏でした。彼の経歴を見ても県会議員を2年と上院議員を3年経験しただけで、特に目立った実績はありませ ん。オバマ氏と票を争ったマケイン氏が落選した最大の原因は、演説会で「政府資金による金融機関の救済はするべきではない」と早々と公言し、ウォール街を 敵に回したからです。オバマ大統領はウォール街の存続のために選ばれたのです。

問 日高さんは次期大統領選挙をどのように予想しておられますか。

日高 オバマ氏が選ばれるか共和党の誰かが選ばれるかは5分5分ですね。経済政策の失敗でオバマ大統領の支持率は低迷しましたが、依然として国民か らの人気は高い。それはアメリカ国民自体の変化にも起因しています。オバマ大統領が移民に対して無償で生活保護を与えるようになって以来、お金を貰うため だけにアメリカ国籍を獲得する人が増えました。現在では国民の45%が一切税金を納めずに政府から補助を受けています。その人たちは次の選挙でもタダで金 をくれるオバマ氏に投票するでしょう。

 ですが、これだけアメリカ財政を悪化させたオバマ氏が再選されればアメリカは新たな危機に見舞われます。新聞では共和党が「対案を出さないのが悪い」と叩かれていますが、悪いのは当局者なのだと国民が気付くかどうかですね。



円高は日本の強さの証

問 日本の円は現在1ドル70円台にまで上がっていますが、円高はどこまで進むのでしょうか。

日高 最近円高のことで騒がれていますが、今までは円が安すぎたのです。現在の70円でも、予想されている50円でもまだ安すぎる。通貨の値段に絞って言えば、1ドル10円くらいで丁度いいと思います。強い国の条件は通貨も強いこと。そして通貨を扱う銀行がしっかりしており、きちっとした法律によって社会全体が安定していることです。そう考えれば円が高いのは当然で、日本が安定しているから国民は自国の通貨を信用し、他国も円を欲しがるのです。

 ところが日本政府は輸出利益を考えて円の値を下げようと躍起になり、アメリカの銀行に円売りを行いました。それでも円の値は上がり続け、結果として円は米銀の金儲けの手段となってしまっています。円の強さを世界に通用させようと言うなら、日本は自国の軍事力と銀行機関を持って世界に円を売りに行かなければなりません。アメリカの介入を止めさせない限り円高は続くでしょう。軍事投資をするのはお金の無駄だと言う人もいますが、軍事力が無いために日本はもっと大きな無駄をしています。



2015年頃に大恐慌が起きる

問 アメリカ経済は今後どうなるのでしょうか。

日高 アメリカのGDPは現在約15兆ドルですが、2015年までに25兆ドルくらいまで増加し、その後急速に減ると予想されます。そうなれば1929年以来の世界的大恐慌が訪れるのは免れません。米銀側は、次もオバマ氏を大統領にすれば一先ず大恐慌を避けられると思っています。しかし、それは来たる国難を先延ばしたに過ぎない。延期した分だけ借金は嵩み、収集がつかなくなります。更なる赤字を生むくらいなら、早い段階で恐慌を起こして大修正をしようというのが共和党の考えです。私は後者の意見に賛成です。4、5年経った後ではどうにもなりませんが、今ならまだ残るものがあると思います。

問 アメリカ経済が崩壊すれば、中国やEUの情勢にも影響が出るのではないですか。

日高 その危険は大いにあります。特に中国人はアメリカ経済が破綻した時の影響をすごく心配しています。中国としては通貨と金融の問題はアメリカが考えるべきことであり、自分たちの問題ではないという意識が強かった。そのため、どのように対応すれば良いか戸惑っています。

 あまりにも急速な経済成長を遂げた中国は生産設備にだけ資金をつぎ込み、公共投資や教育投資など国民生活を豊かにするための政策を全く行ってきませんでした。その上国内の景気が悪くなれば、中国国民が大暴動を起こす可能性が高い。まだ民主化を果たしておらず貧富の差も激しい中国にとって、今景気を悪化させるわけにはいかないのでしょう。このままでは中国軍が強力な弾圧政治を執り始めるのではないか、とみんな危惧しています。

 経済的に豊かになると国は封建主義から専制主義になり、民主主義に辿り着く。欧米や日本もそういった変化を経て発展を遂げましたし、それが人類の歩みだと考えられてきました。ここ数年で平均10%ずつGDPを拡大させている中国も当然民主化を果たすだろうと期待されていたのです。ところが中国は経済が拡大すると生産設備のみが整って、いつまで経っても一部の人間しか儲からない。中国は人類のこれまでの進化の流れに反した、特殊な国なのです。

問 近々訪れるであろう恐慌に対して、我々が個人的に取れる対策はありますか。

日高 難しい問題ですね。当然ですが、まず借金はしてはいけません。そしてキャッシュの貯金も賢明ではない。土地の保有は、キャッシュよりは良いですが土地が売れなくなる可能性もあります。一番良いのは現物を自分で保有することです。ただ何十年も保有するのは難しいので、だからこそ恐慌は早いうちに済ませた方が良いのです。借金をしない、貯金をしない。我々が個人的にできるのはそれくらいでしょうね。

 日本人は円を信用しているのでみんな貯金をしたがりますが、世界の人は信用の置けない自国通貨ではなく他国通貨や金を持とうとします。円の信用が失墜する場合を考えて、今のうちに金を持っておくのも一つの手段でしょう。



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