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トピックス -企業家倶楽部

2012年08月03日

写真は思い出づくり産業/キタムラ代表取締役会長 北村正志、代表取締役社長 浜田宏幸

企業家倶楽部2012年1/2月号 今、日本を最も面白くする企業家たち

震災後、写真の大切さを実感思い出を預かるサービス

 我々は創業以来写真一筋35年です。現在では「カメラのキタムラ」「スタジオマリオ」を全国に約1300店舗展開しており、グループ全体での年商 は約1450億円です。企業理念は「仕事を創り、仕事を楽しみ、仕事によって社会に応える」と20年前から定めておりますが、時代はフィルムカメラからデ ジタルカメラへと大きく移り変わっています。写真を店舗でプリントするお客様はかなり減っており、デジタルの技術革新によって写真を撮る手段は大きく変わ りました。我々はこの急速に変化する世の中にどうやって追いついていけるか模索しています。

 フィルムからデジタルへという変化の中で私達は当初デジタルをどう楽しむかばかりを考えたのですが、ふと気が付くとアナログ時代に沢山撮ったお写 真やアルバム、ビデオテープがいっぱい残っていました。これを今のデジタル技術を活用してもっと楽しむことはできないかと考え、アルバムをそのまま活用し てデジタル化したり、昔のVHSテープを今のDVDにダビングしたりするサービスを始めました。

「カメラのキタムラ」では全店に1人、全国では1000人以上の写真に対する全ての質問に対応する「思い出マイスター」がいます。彼らはお客様ご自 身が何をどうしたいかを明確に分かっていない場合、お客様との会話の中でその思いを引き出します。お客様のニーズにぴったり合う撮影を心がけ、仕上がりや 使う器具についてアドバイスします。お客様自身もプロではなく素人ですから、「知識はない、でも思い出に残る写真を撮りたい」、その思いを上手く汲み取っ て理解することが大事になります。

 アナログをデジタル化するよりデジタルそのものでいかに楽しむかが大事です。そして、デジタルで撮った写真を簡単かつきれいにプリントする事も、 フィルム時代から続く非常に重要な事業の一つです。ただ、先日の大震災以降、安全に自分の記録を残すためには写真やハードディスク、メディアに残すだけで は十分でないとの声が多く聞かれました。そんな時、銀行にお金を預けるように写真をどこかのコンピューターの中に預けると安心です。そうすると写真が手元 になくなってもまた取り戻せ、撮影画像を二重三重にしっかり保管することもできます。保管するだけではなく、オンライン上でお預かりした写真を全国のキタ ムラの写真店からいつでも自由にご利用できる環境をつくるため、様々な取組みを進めている最中です。



家族みんなで楽しむスタジオ

   全国に300店舗ある子ども写真館「スタジオマリオ」ではお子様の成長記録をきちんと写真で残したいお父さん、お母さんと一緒に宝物のような家族写真を一緒に残していきます。「スタジオマリオ」の店長全員が毎年ホリプロで研修を受けています。マリオのカメラマンに最も要求される能力は従来のカメラマンに要求されてきた能力とは少し違います。構図を決め光を読むことよりも初めて会ったお子さんと一瞬のうちに仲良くなり、そのお子さんの良いところを引き出してあげ、良い表情が出た瞬間にシャッターを押してあげる反射神経が最も重要になります。

 お子さんやご家族が自由に選べる衣装は400ー500着用意しています。子どもの時にマリオで撮影され、自分がお母さんになった時に赤ちゃんを連れてきて親子2代で撮影されるお客様もいらっしゃいます。世代を超えて楽しんでいただいて、我々撮影側もご家族と一緒に思い出づくりを楽しませていただいています。

 子ども写真スタジオだけでなく、証明写真スタジオも展開しております。実は証明写真も1000億円近い市場があると言われています。学生の就職活動や面接用の写真だけでなく、免許証やパスポートなど様々な場面で写真は必要なので実は隠れた所に大きな市場があります。昔は写っていればいいという感じでしたが、就職活動がどんどん過熱しており、面接官が「良かった、悪かった」を採点する際、履歴書に貼ってある写真が人柄をよく表した素敵な写真か否かで合否が大きく分かれることもあります。だから「人生が関わる写真はきちんと撮りたい」という学生の要望も高く、そのニーズにお答えできるようなスタジオをキタムラ全店に作っています。写真を撮る分野も写真を預かる分野もあり、お客様にサービスや楽しみを提供するためには、まだまだ開発の余地があると思っております。



四国から全国へ全国1000店舗への道

「カメラのキタムラ」は高知県のカメラ屋から始まりチェーン展開で全国に広がりました。それまでカメラ屋というと繁華街の中にありましたが、とても家賃が高いのでいわゆるロードサイドとして車で行けるカメラ屋を作りました。当時から10万人に1店と計算して日本人は1億人だから1000店作りたいという構想はありました。全国展開できた「カメラのキタムラ」の強みは、皆こつこつと真面目にやることです。我々は全店直営店で従業員・社員の永年雇用を前提にしています。労働組合も健保組合もあり永年雇用なので60 歳までやろうと構えた人が多くいます。しっかりと守られた状態できちんと顧客のことを考える姿勢がコツコツ真面目にやるという社風を生んだのではないかと思っています。

 デジタル化した当初、我々は全店舗500店にプリンタを導入しました。さらに06年にカメラのきむら(84店舗)、07年にスナップス販売(510店舗)をM&Aし、店舗数を一気に500店から1000店へ拡大しました。オンリーワン企業にならなければと思ったのです。ナンバーワン、オンリーワンを市場のポジショニング以上に意識しました。日本のDPE(現像・焼き付け・引き伸ばし)市場の4割くらいを売っているのではないでしょうか。少なくとも地方都市では5割以上を売っていると実感しています。



スマートフォンというデジカメを楽しむ

 昨今、写真のデジタル化でシャッターを押す回数は何十倍も増えたのです。ところが紙にプリントするのはその中のごく一部になり絶対数が縮小しています。縮小には2段階あり、まずフィルムがなくなり、次にデジカメの中のメディアが無料に近い値段になったのです。そうするとプリントすることを忘れ、プリントそのものをしなくなってきます。

 その次に出てきたのがスマートフォンです。あれもだんだん良い写真を撮れるようになってきており、下手をすると写真プリントをしないお客様が更に増える原因になるのではないでしょうか。スマートフォンがどんどん普及する時代となり、世の中で色々なものがなくなると言われています。リモコンもカーナビも、ゲーム機もいらなくなる中、スマートフォンできれいな写真を撮ることができるならカメラもいらなくなるのではないかと思われます。しかしスマートフォンがデジタルカメラに取って代わるのではなく、通信機能とパソコンの機能の付いた便利な新しいデジタルカメラが出たのだと、我々は考え直しました。

 そこで、このスマートフォンというデジカメから、簡単に楽しくプリントできる環境を整えようと考えました。スマートフォンでどんどん写真を撮ってください。スマートフォンで撮影してすぐにキタムラに来ていただけると手軽にプリントでき、アプリからも注文できる環境を整えました。例えば「プリント直行便」というアプリがあり、写真を選んでプリントするというボタンを押すと、プリントの注文ができます。さらに写真を受け取るカメラのキタムラのお店も選べます。一枚30円でプリントできるので普通のプリントの値段と変わりません。



写真は消えないモノであってモノではない

 人間がいるかぎり写真は必ず残ります。人間の思い出記録は、人間が家族を持つ社会的生活を営む動物である以上、必要なのです。記録のメディアとは、文字と音と映像です。この3つは情報の伝達の根本的なものであり、その中の根源になる情報が写真です。写真が人間社会から消えることは絶対にありません。ただビジネスとしては想像もつかないほど多角化していくでしょう。

 我々もつくづく写真はモノであってモノでないと実感しています。思い入れと絆のつまった、人間社会の、人間特有のものではないかと思います。

 放っておけば消えてなくなる激しい変化の中で、我々はまず生き残らなければならない。そのためには変化していかなければならない。一番の原動力は9000人の雇用、職を守らなければならないという使命感です。会社を守り、残し、存続するためにビジネスを無限に変えていく。その中で雇用も守り、残す。これが我々の今の最大の目標です。そして毎年会社が必ず黒字で成長するように足元の作業をまずやりたいです。それを繰り返した結果が1000店以上のお客様との接点になっています。

 一店一店は小さなお店ですが、日本中で1000箇所以上のお客様と繋がっています。写真を通じてお客様との深い繋がりがあります。その信頼関係の上に新しいサービス、新しい商品をどんどん広げてこの変化の中で変化をチャンスに捉え直し、従業員一人一人が成長することで会社そのものが大きく成長していくような組織を作り上げていきたいです。


北村正志 (きたむら・まさし)

1941年生まれ。64年、早稲田大学第一政治経済学部を中退し、翌年浅沼紹介入社。67年キタムラへ入社。85年社長に就任。仙台の北村政喜氏が1934 年高知市に開業したキタムラ写真機店を引き継ぎ、売上高1500 億円を超える上場企業に成長させた。2002年第4回企業家賞「快適映像ライフ提案賞」を受賞。

浜田宏幸(はまだ・ひろゆき)

1957 年生まれ愛媛県出身。81年大阪芸術大学芸術学部卒業し、82年10月キタムラ入社。営業部長、事業部長などを歴任し、2010年1月1 日より現職。



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