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トピックス -企業家倶楽部

2012年01月13日

柳井正、社員に喝!全員が経営者になれ商売人になれリーダーになれ

企業家倶楽部2012年1/2月号 ファーストリテイリング特集第4部





9月14日、ファーストリテイリング社内コンベンションがパシフィコ横浜で開催され、同グループの全店の店長を含む3000人が一堂に会 した。熱気に包まれた同イベントを、マスコミへ公開したのは初の試み。柳井正会長兼社長が1時間、魂を込めて語り続けた講演録をお届けする。



■仕事と家庭の両方で大成功してほしい

今日は皆さん、必ず自分のスイッチを入れて帰ってもらいたい。自分の人生のスイッチが入らないと、一生が無駄になるからです。成功している人は全 員、スイッチが入っています。スイッチを入れない限り、前には進みません。生まれた以上は、やはり成功しなくてはいけない。誰かがスイッチを入れてくれる のを待つのではなく、出来るだけ早い時期に自らスイッチを入れて下さい。
 

 まず、我々は会社として大成功します。そのためには、「会社が何を欲しているのか」「何をしたいのか」を理解し、その中で自己実現をしてもらいた い。個人としての理想は、仕事と家庭の両方で大成功する事です。ピーター・ドラッカー氏の言葉の中に「自分が50歳の時に、何によって人に憶えられたいの か」とあります。50歳とは、おそらく一番社会的な地位の高い、あるいは社会人としての能力的に一番高い時期です。その日が訪れた時に「自分の人生は良い 人生だった」と言えるような人生を是非送って頂きたい。「仕事が上手くできない限り、幸せな生活は送れないのではないか。反対に、個人として幸せな生活を 送っていない限り、上手く仕事をできないのではないか」と私は考えています。
 

 会社が成長するためには、儲ける事と同等に、あるいはそれ以上に人材育成が大事です。我々は今から500坪、1000坪という大型店舗を世界中に 年間300店舗出店していきます。その時に、店舗を運営する、あるいは現地法人を経営する人材がいない限り、それは出来ません。残念ながら、20年前から 日本はダウントレンドであり、今となっては瀬戸際に来ています。特に若い人は「日本だけに固執していると3年も持たないかもしれない」と考えた方が賢明で す。
 

 従って皆さんには、世界中どこへ行こうと誰よりも仕事が出来て、幸せな生活を送れるようになってもらいたい。例えば、自分が財務系だとしたら、財務の人間として自分は日本の第一人者あるいは世界中どこの国、どこの会社に行っても通用する力を身につける事が必要です。



■上司は教育者であるべき

我々は「グローバルワン 全員経営」を目指しています。全員経営とは、担当者一人一人が責任を取れることです。私は「自由」や「自立」という言葉の 裏返しが「責任」という言葉であると考えています。上司の命令を待つのではなく、自分で考えて自分で判断する。そのためには、自分で考えるための原理・原 則を勉強する事が必要です。本当に自由になりたいと思ったら、「本質や方法は何か」を考え、実行し続けなければならない。仮に、自分自身が現状維持してい ると思ったならば、それは退化しているという事です。成長するか退化するか、そのどちらかしかありません。
 

 店長や本部社員が輝いていなければ、社員は輝きません。仕事が出来る出来ないを「権限の問題」と言う人がいます。しかしそれ以前に、仕事や人に対 する信頼感が欠けているのではないでしょうか。「仕事が出来る人になってもらいたい」という思いの根幹には、「その仕事に対して使命感を持ってもらいた い」という思いがあります。
 

 特に、経営者や上司は勘違いしないように気を付けて下さい。なぜなら、経営者や上司が仕事をするのではなく、担当者や部下が仕事をするからです。 「教わり、教える」。これが出来ない上司は必要ありません。上司は教育者であるべきです。命令で人は動きません。対して部下の人達は、何事も自分で出来る ように考え続けなければ、本当の意味で良い人生は送れないでしょう。
 

 我々は世界一の企業となるために、自分達を自ら再定義・再設計しています。我々の経営幹部、店長、担当者に至るまで、全ての仕事が本当に「世界品 質かどうか」を問い続けなければいけない。それらの実践は、銀座や新宿だけでなく人口10万人の地方都市でも取り組まなければいけないのです。これから 我々が挑んでいく、ニューヨーク5番街や上海、モスクワでも同様です。そういった覚悟で、各地域の人々が世界最高水準のビジネス・商売に取り組んでいる か。世界中どこであろうと、世界最高水準のモノを提供していくのが、我々の企業姿勢です。



■成功の要因は実行するかどうか

皆さんには志を抱いてもらいたい。ただ単純に自分の安泰な生活ばかりを考えず、自分の運命や成長に関してコミットして頂きたい。商売や経営の成功は「実行するかどうか」で決まります。我々が成功してきた一番の要因は「企業姿勢」でしょう。多くの企業は実行する勇気を持っていないと思いますが、 我々は「世界最高の方法で実行しよう」という志を持つ企業です。
 

 良い企業とはどんな規模になろうとも、高収益を上げて急成長していくのが当然です。しかし20年前、グローバル経済へと大きく変化する時、日本はその20年間を無駄にしました。その結果、未だに我々は英語公用化を実行していない。今後、英語が出来ない事がどのような影響を及ぼすかといったら、日本で日本語が出来ないのと同じ様な状況になります。特に海外勤務の人は、英語は当然のこと、現地の言葉が重要です。フランスであればフランス語、中国であれば中国語が必要です。1年くらい必死に取り組んで、日常会話や仕事上の会話が出来るようになってもらいたい。
 

 また、世界中の良い企業の経営理念や経営方針、経営方法、人材、組織に対する考え方は、古今東西全て一緒だと思います。商売には原理原則があります。知らない事は実行できないから是非勉強してもらいたい。本を読んでもらいたい。人と話をしてもらいたい。
 

 それらの勉強は、お客様の生活を豊かにするために商品を作るための勉強です。特に現場の店長が真剣に物事を考えなければいけない。毎日のように現場の店長から意見が上がってきますが、表面的な要求ばかりです。もっと本質的に考えて下さい。会社を変えるような要求や期待、自分の立場で考えたらこうだという本質的な意見を言って頂きたい。



■求める人材は自分の事が尊敬できる人

社員の方、アルバイトの方、パートの方、例え今日から加わった誰であろうと、全員に「経営者になれ」、「商売人になれ」、「リーダーになれ」とお願いしたい。これはトップ経営者だけではなく、少なくとも店長以上の社員、本部の担当者以上、全員がこれを意識しないと今後生き残っていけないからです。まず自分のビジネス、お客様の満足の為に絶対的な執着心を持って欲しい。一番多くの事を教えて頂けるお客様は最良の教師だと思います。従って、お客様と直接接している人はもっと感度を上げてもらわないといけない。特に本部の担当者の感度をもっと上げて欲しい。今の感度のままでは生き残れないかもしれないと危惧しています。
 

 さらに、自分が手掛けているビジネスに関して、全てを知る努力を続けなければならない。自分の商売を自分で回すことを意識し、四六時中、自分の仕事、自分の会社、自分の部署、自分の部下について考えてください。安易に常識的な解決策を取らないでほしい。例え常識的な問題でも、自分自身で解決策を考え抜く必要があると思います。
 

 世界では、一番以外は認められません。世界の第一人者になろうと意識して下さい。日本の店長たちも、日本の店長ではなく世界中の店長と競っていると思って欲しい。優秀な店長の中でも、上には上がいることを必ず自覚し、その優秀な店長達に勝っていかなければならない。
 

 我々が求める人材とは、自分の事が尊敬できる人です。それにはまず、自分自身に期待する必要があります。一人としての自分に、自分自身が期待して下さい。



■あらゆる産業がサービス業に代わる

リーダーは自分一人で仕事する必要はありません。部下あるいは同僚が、仕事をする人なのです。その時に、経営者を始めとしたリーダーは中途半端な関わり方をしないようにと、強くお願いしたいです。物分りの良い上司は最悪の上司と言えます。物分りの悪い上司に是非なってもらいたいです。
 

 管理職は毎日部下と一緒に仕事をして、部下を育成して下さい。そのためには、問題発見を自分でする必要があります。上から「これが問題です、これが仕事です」と言われて回ってきた仕事は、皆さん自身の仕事ではない。自分の仕事は自分で発見しなければなりません。
 

 また、問題解決しようという問題意識、意欲を部下と共有しないと絶対解決できません。チーム全体が本当に機能しているのかどうか、全社目標に合致しているかどうかを考える癖をつけるべきです。部下の育成とは、アマチュアをプロにする事なので、かなり鍛える必要があります。鍛えなければ、部下の目は光ってきません。使命感を持って仕事をしているかどうか。ビジネスや商売、仕組み、業務を徹底的に知る努力をしているかどうか。いい加減な上司に限って、自分の仕事の範囲を自分で決め、自分で作業し、自己満足している印象を受けます。専門家のつもりでは生き残れないのです。
 

 我々はサービス業です。僕は「あらゆる産業がサービス業に代わる」と思っています。報告だけ、分析だけの様な大企業的な仕事の仕方では一切駄目です。そのようなサービス精神をもてない人は、決して成功しない。僕は一生懸命真剣に仕事をしています。皆さんにも、それをお願いしたい。一生懸命真剣に仕事をできない人は、この会社には必要ありません。



■会社の危機とはマンネリ

「価値観の共有」が大切です。全世界の社員の中で、一人でも価値観の共有が欠けている社員がいればチームワークとは言えません。「お客様の満足が最優先」という意識を経営トップからアルバイトまで、全社員例外なく共有し、全社員実行できるのが理想です。まずは経営者がやらない限り、これは絶対に実現できません。経営者が管理職の人に指示しない限り、これは絶対に実現できません。自然に管理職の方から、あるいは担当者の方から「これやりませんか」というのは100%ありえないです。
 

 ビジネスとは時間との戦い、ということも改めて肝に銘じてください。何カ月も何日も掛けて実行するような組織はいりません。皆さんの役割とは、発生した問題を報告・観察する事ではなく、短時間で解決したかどうかです。つまり、即断即決即実行できるようなチームを作って頂きたい。
 

 それを実現するためには、組織の中で人間が有機的に結びつく事が必要です。人間が有機的に結びつくためには余裕がいります。普通の凡人が実現するためには、余裕を持って、ユーモアを持って、思いやりを持って、個人への期待を持って、皆さん全員が「全社一緒になって、どのようにしていくのか」を考えなければいけない。
 

 例えば、ある野球チームが優勝したとします。その時、チームの優勝以上に大事なのは「自分がいかに貢献できたか」です。優勝できるチームかどうかは運もあるでしょう。私は「我々の会社は、我々の業界で必ず優勝できる」と信じています。
 

 優勝を目指すために、高い目標を持って成長し続けていく事をお願いしたいです。先程、「現状維持は退化の元」と言いましたが、僕は「そこそこの人生とは、ひょっとしたら無駄な人生を送っているのではないか」と疑わなければならないと思います。自分の仕事に関して、肯定しないようにして頂きたい。世界を見渡せば、上には上がいます。自分の仕事に満足したら、そこでおしまいです。
 

 会社の危機とはマンネリです。自分の部署や自分自身が、形式化や官僚化、サービス精神の欠如が起きていないか。それらを必ず、自分で自分自身をチェックして頂きたい。
 

 皆さんの具体的なキャリアプランとしては、まず全員が店舗を経験することが前提です。店長候補1年、店長3年、SV(スーパーバイザー)2年、ブロックリーダー2年、本部担当者2年、各国の店長、SV、ブロックリーダー、担当者教育係を3年程。おそらく15年程かかると思います。これらを経験して、初めて一人前のビジネスマンになれるのではないでしょうか。
 

 皆さんが今思っているような水準だと、とてもじゃないが辿りつけません。最終的に、現在のスーパー(S)店長、スーパースター(SS)店長以上のレベルになってもらいたい。次の段階として、FCオーナー、各国の経営幹部、本部リーダー、部長。そして最終的には、各事業の経営幹部になってもらいたいと考えています。特に、今のブロックリーダーやSVは本当に成長してない。勉強不足、自己満足しているのではないでしょうか。あるいは、自己不安になっているのではないかと思います。一人一人が、自分の人生設計を是非作ってもらいたい。



■自分の人生は自分が主役

ユニクロはまだ何も出来ていません。セオリー、コントワー・デ・コトニエ、プリンセス タム・タム、ジーユーも、まだまだ何も出来ていません。グローバルブランドでも何でもない。新しい業態とは、経営者が創るのではなく、売り場の全員で創り上げていくものです。
 

 人生は一回。人生は有限。皆さんの人生は、皆さんが主役でなければいけません。皆さんが主役をやろうと思ったら、周囲の人が「あなたに主役をやらせてあげます」という状態になるべきです。そのためには、自分が主役になると同時に周囲の人も主役にならないといけない、それが全員経営だと思います。
 

 現在、我々はアパレル製造小売業として世界第4位です。これから4から5年で2位・3位に上がるかもしれない、ひょっとしたら1位に上がるかもしれない。しかしこれは、僕自身が創ったものではない。我々歴代の社員全員で創ってきたものなのです。我々は“今”から“未来”に向かって、いよいよ出発してゆくのです。私が、あなたが、“これから”を創っていかなければならないのです。



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