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トピックス -企業家倶楽部

2012年06月27日

第3部特集 プロがプロに聞く〈経営の話〉 企業は理念を達成するために存在する オンキヨー代表取締役会長兼社長大朏直人VSスタートトゥデイ代表取締役前澤友作

企業家倶楽部2009年1・2月号


「2009年はチャンスの年だ」。音響機器メーカーのオンキヨー大朏直人会長兼社長と、ミュージシャンから企業家になったスタートトゥデ イ前澤友作社長はそう断言する。世界的な不景気が到来する現在でも躍進を続けるオンキヨーとスタートトゥデイ。その成長の秘訣は何なのか。今回の特別対談 では、前澤社長の創業のいきさつから、二人の共通点である音楽の話、企業家の生き方や企業理念の重要性など、話は多岐に渡った。二人の言葉から、企業の存 在意義やあるべき姿、そして希望が見えてくる。 

 (進行役 本誌編集長 徳永卓三)






■経営者とミュージシャンの二足の草鞋を経験

大朏 前澤さんは昔、プロのミュージシャンだったそうですね。音楽に興味を持ち始めたのはいつごろだったのですか。
 

前澤 小中学生の頃です。父が家でクラシック音楽を聴いていて、その影響で音楽に興味を持ちました。高校生になると、友人たちとバンドを組んで、音楽活動を始めたんです。
 

大朏 前澤さんは高校を卒業後、アメリカに行かれたそうですね。
 

前澤 当時、デモテープを作っていたので、アメリカのレコード会社に売り込みにいこうと思っていたのです。他にも、アメリカのミュージシャンのライ ブを味わってみたかった。6カ月間滞在したのですが、留学というより、旅行気分でした。その後、日本に戻ってきて、ミュージシャンの活動を本格化したんで す。
 

大朏 スタートトゥデイの創業に至るきっかけは何だったのですか。
 

前澤 僕自身がミュージシャンだったことが関係しています。ライブをする時、ライブハウスの片隅で自分たちや友人のバンドのCDやTシャツをはじ め、自分たちが好きな世界中のバンドのレコードやCDを集めて売っていたのです。これらはまだ日本で売っていないような貴重なレコードやCDだったので、 非常に売れました。ライブハウスの片隅だけで売るのはもったいないから、カタログを作って通信販売をしてみたのです。10年以上前の話なのですが、それが 創業のきっかけになっています。
 

大朏 カタログ通販を始めるとき、まずどのような形でお客様を獲得したのですか。
 

前澤 音楽関係の雑誌に「パンクやハードコアなど、まだ日本にない世界中のレコードを扱っています」というような広告を載せました。それを見て連絡 をくれた読者の方に、A4用紙を折り曲げたようなカタログをお送りしたのです。お客様にはそのカタログから注文していただくのですが、当時の僕たちは電話 で注文を受けていました。電話番号も自宅の電話番号なので、僕の親が「はい、スタートトゥデイです」と電話を出ることもあったんです。僕がいないときは、 「また明日かけて下さい」と親が言わなくてはいけなかった。それではお客様も混乱するので、自分たちでなるべく電話に出られる体制を整えたりしていました ね。商品を置くのも実家や自分の部屋を倉庫代わりにしていました。
 

大朏 そういう始まり方が一番いいと思いますね。企業経営にはずっと興味があったのですか。
 

前澤 当時の僕は「バンドで食ってやるぞ」と思っていたので、企業家とかアントレプレナーという言葉とはかけ離れた状況で、趣味の延長でした。でも 数年後には取り扱う量もすごく増えて、月商300?500万円の規模になりました。カタログ通販を始めたのが1995年なのですが、仕事の量も増えたので 98年に有限会社にしたのです。2000年には株式会社にしたのですが、その当時はバンド活動しながら会社運営もするという二足の草鞋を履いていました。 最初はうまくいっていたのですが、バンドがメジャーデビューを果たして、企業経営も音楽活動も一気に忙しくなり、バランスが取れなくなったのです。どちら かに専念しなければならない状況でした。その時、プロのミュージシャンの活動ではなく、スタートトゥデイに専念しようと一瞬で選ぶことができました。企業 経営の方が仲間をどんどん増やせるし、みんなで楽しめる。社会への影響力も大きい。そう思ったのです。スタートトゥデイに本腰を入れたことで、会社として もぐっと伸びました。



■カタログ販売からオンライン販売へ

大朏 まさに二兎を追う者は一兎をも得ずですね。現在のネット通販に進出するきっかけは何だったのでしょうか。
 

前澤 当時2万部ほど発行していたカタログの通販からオンラインに切り替えました。ネット環境がブロードバンド化することで、今後は紙媒体のカタログ通販よりネット通販が拡大すると考えたからです。カタログだと印刷代や発送代のコストもかかりますが、ネットだとそれらのコストが激減したので、利益率が途端に上がりました。その利益で次に何に投資しようと考えたとき、自分たちが好きな洋服を売ってみようと考え、アパレル系オンラインセレクトショップをオープンしたのです。これが今の「ZOZOTOWN」の前身となっています。
 

大朏 ただ洋服をネットで売るというのはなかなか難しいように感じます。例えば、ユーザーは試着できないからサイズの不安もあるでしょう。ほかにも当時はアパレルメーカーとの取引など、苦労されたのではないでしょうか。
 

前澤「ネットで服が売れるのだろうか」と当時はよく言われました。でも、お客様は自分の好きなブランドの服ならば、サイズの感覚もわかっています。CDなどの音楽関連の販売ですでに高感度なお客様を獲得していたことも大きかったですね。お客様に洋服を売ったら、とても反応が良くて、他のアパレルメーカーも商品を供給してくれるようになったのです。人気のブランドや質の高い洋服を取り揃えたことで、お客様も増えて行くし、よく売れるからアパレルメーカーも集まってきて、好循環を築けました。その後、ブログやSNSなどのサービスを新しく始めて、07年にそれらのサービスを包括した「ZOZORESORT」をオープンしたのです。それがお客様に受け入れられて、飛躍的に成長することができました。
 

大朏 私も「ZOZORESORT」などを拝見して、ブランドやイメージを重要視するアパレルメーカーのニーズをうまく捉えているように感じました。スタートトゥデイは、自分たちの好きなものも、お客様のニーズも、メーカーの想いも、よく汲み取っている。他にも、とても立派な倉庫や物流システムも構築しているそうですね。在庫はどのように扱っていますか。
 

前澤 全体の在庫のうち、約3割はスタートトゥデイが直接商品の買い付けをしています。バイヤーのスタッフがブランド様から商材を仕入れ、自社在庫を持ちながら販売するモデルです。また、もう一つがUNITED ARROWS様のようなショップ様から商品を受託在庫として預かり、販売するモデルです。SPA(製造小売業)のように、スタートトゥデイで企画・製造・販売まで一貫して手がけることは今のところはやっていません。
 

大朏 今はまだその方がいいのかもしれませんね。下手に手を出して失敗する例は、私も経営者を40年以上しているから、たくさん見ています。逆に、メーカーが小売業に手を出して失敗する例もありますしね。もちろん成功事例もあるから、難しいところですが。ユーザーは若い方が多いのですか。
 

前澤 お客様は男女比が約半々で、平均年齢は約27歳です。スタートトゥデイのスタッフとほぼ同年代ですね。売り上げの多くは、「ZOZOTOWN」からのネット通販で占められています。08年3月期の売上高は、前期比41・5%増の85億8400万円、経常利益が同111・8%増の17億2400万円を達成しました。ネット通販事業の流通総額は08年3月期で、約170億円です。今後は既存のネット通販をさらに強化するとともに、アパレルメーカーが独自に運営するECサイトの支援事業などの新規事業を確立して、収益源を多様化していきます。新規事業も数百億円規模の事業にしたいと考えています。



会社は社長の器以上にはならない

大朏 スタートトゥデイは、企業理念に「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を掲げていますね。この言葉は非常に印象に残ります。
 

前澤 僕らはこの企業理念を達成するために存在すると思っています。この企業理念がなければ、スタートトゥデイが存在する意味もありません。だから僕らの仕事も必ず企業理念につながるものでなければいけないし、「自分たちの仕事が世界の役に立てるように想像し、そして創造しよう」と社内でいつも話しています。理念がなければ、仕事をしていても面白くない。何のために仕事をするかということがとても大切だと考えています。

大朏 まったくその通りですね。創業経営者は自分の信じる理念を100万回でも伝えること。それしかありません。前澤さんはその理念を社員にどのように伝えているのですか。
 

前澤 カッコいいことを言おうと考えたりせず、自分が心から思っていることを素直に、嘘をつかずに発信しようと心がけています。自然に伝えたいですね。

大朏 その想いがあれば、いい仲間がたくさん増えていくでしょう。その仲間たちが会社の一番の資産にもなると思います。ところで、社員に怒ったりすることはありますか。

前澤 怒ることはあまりないかもしれません。ただ人間として当たり前のことをしていないときは、怒りますね。感情的に怒ることはないと思います。
 

大朏 そういう姿勢は社員の見本になっているはずです。僕も不機嫌になることはまずありません。不機嫌にならないようにすることがトップの仕事です。それは、不機嫌になるような報告が来ないということではありません。きちんと手を打つということです。会社は社長の器以上にはならないと昔から言われているけれど、その通りだと思いますね。



■09年はチャンスの年

大朏 スタートトゥデイは事業も順調に成長し、07年12月11日に東証マザーズに上場しました。上場の目的は資金調達や優秀な人材の確保などいくつかありますが、スタートトゥデイの場合は何だったのでしょうか。
 

前澤 上場した理由は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念をより広く伝えるためです。世界中の人々がよりカッコよくなれば、その結果、世界中に笑顔が増えて、とても魅力的な社会になります。経営理念としては、「いい人をつくる」を掲げています。僕たちの定義する「いい人」とは、想像力と創造力が豊かで、ギブアンドテイクの精神があり、自分だけではなく周りにもいい影響を与えられる人です。そして、そんなカッコいい生き方を自然にできる人です。いい人が集まれば、いい商品が提供でき、いい会社ができる。いい会社にはまたいい人が集まって、好循環が生まれます。今後も仲間たちとやりたいことを楽しくやって、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を実現していきたいですね。
 

大朏「スタートトゥデイ」という社名も素晴らしい。

前澤「今日から」「毎日が始まり」ということで、「初心忘るべからず」の精神で企業理念をずっと大切にしていきたいです。事業面では、特にチャレンジ精神を持って頑張りたいと思っています。自分たちの成長だけではなく、思いやりやまわりに対する配慮も忘れない。そんな会社にしていきたいですね。

大朏 前澤さんと話をしていて、アメリカ新大統領のオバマ氏を思い浮かべます。オバマ氏は若くして素晴らしい演説をして、大統領に選ばれました。これから世界が変わるかもしれないという予感を感じますね。僕はアメリカを見直しました。とても素晴らしいと思う。これからを期待させる、まさにスタートトゥデイです。
 

前澤 オバマ氏は心から思っていることを伝えているからこそ、あの感動的なスピーチになるのだと思います。僕もとても楽しみです。
 

大朏 今はサブプライムローン問題などで不景気だと言われているけれども、どんなときでも?スタートトゥデイ“の精神でありたいですね。僕は社長業を40年以上続けているので、景気のいい時も悪い時も経験しましたが、景気がいい時なんて少ない。僕は石油ショックの頃、まだ若くて経験も浅かった。でも、石油ショックは当時、誰も経験したことがなかったのです。松下幸之助さんも本田宗一郎さんも経験がない。つまり、みんなが同じ土俵だから、若い僕にとってはチャンスだったのです。今回の不景気も誰も経験していないから、僕らにとってはチャンスです。2009年はチャンスの年だと思う。僕は用心深くコツコツやってきたけれど、09年は冒険をしてみたいですね。
 

前澤 僕もチャンスだと思っています。これからもどんどん挑戦して、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の世界を実現していきたいですね。


■09年はチャンスの年

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