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トピックス -企業家倶楽部

2013年05月23日

無意味な謙遜を捨て日本は「アジアのリーダー」としての自覚を持て/コリア・レポート編集長 辺真一

企業家倶楽部2013年6月号 著者に聞く

世界が認める日本人の美徳

問 一読しまして、これほど日本人のことを思って書かれた本は国内外にないのではないかと思いました。書かれた経緯を教えてください。

辺 2011年3月に東日本大震災があり、復興する日本を激励したいという思いから書きました。今の日本人は中国・韓国の追い上げもありすっかり自信喪失しています。日本人同士で褒め合っても傷の舐めあいにしかなりませんが、韓国人の私から、日本人はまだまだこんなにすごいのだから頑張れとメッセージを送りたかったのです。

問 ページの隅々に辺編集長の愛情を感じました。日本人が気づいていない、3つの国民性があげられていましたね。

辺 「親切」「勤勉」「誠実」ですね。外国人に問えば多くの人がこの3つのうちのどれか、もしくはすべてをあげるでしょう。世界中が認める日本人の美徳で、売りにしてもらいたいものです。中国人、韓国人は一生懸命日本人から学んでいるけれども、国民性の違いか、なかなか身につかない。お店での「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の礼儀作法は、日本から学ぶまで中国韓国には存在していませんでした。

 韓国人には、日本人のような気配りはありません。そしてマニュアルやマニフェストでは動かない。日本人はルールで決まったら絶対でしょう。韓国人はアバウトで寛大なんです。良く言えば臨機応変、悪く言えばズボラなんですね。でも韓国のような考えが意外に世界標準なんです。

問 優れた美点があるにも関わらず、日本人に元気がなくなっているのはなぜでしょう。

辺 ふたつあります。日本国が目指すモデル、理想を誰も提示できていない。1人当たりの国民所得が最も高いルクセンブルクを目指すのか、EUで最も近代的な生活をするフランスを目指すのか、はたまたブータンを目指すのか。20年後、30年後に日本はどんな国になろうとしているのか見えていません。人間は目標がなければ頑張れません。

 もう一つは、日本人はミスを犯したくないと考える、慎重でマイナス思考の国民性です。群がる習性があるので、負の連鎖からなかなか抜け出すのが難しい。かつての日本人にはフロンティア精神がありましたよ。ブラジルやペルーに移民したり、朝鮮半島に出兵したり。戦争や、やむにやまれぬ事情があったとはいえ、日本人からフロンティア精神はいつの間にか失われてしまった。

問 我々の父祖の時代は、大国アメリカを相手によく4年間も戦いましたよね。破れかぶれだったということもありますが。

辺 戦前の日本は、今の北朝鮮に良く似ています。


世界が認める日本人の美徳

第二のサダム・フセインか

問 北朝鮮は休戦協定を白紙化し、現在、朝鮮半島は緊張が高まっています。北朝鮮の狙いはなんでしょうか。

辺 世界で北朝鮮を攻撃できる意思と能力のある国はアメリカだけでしょう。アメリカは北朝鮮を敵視し、外交的封鎖や経済制裁などでいじめてきました。経済援助と平和協定と国交正常化。この3点を北朝鮮はアメリカに求めています。

問 アメリカから石油などの物資を要求しているだけにも見えます。

辺 北朝鮮からすると核とミサイルに莫大な投資をしているので、放棄するなら補てんしてほしいと、極めて当たり前の話なんです。アメリカもそこのところは了解しています。ところがどちらが先にテーブルに出すか、けん制し合っている。アメリカと北朝鮮の間には信頼関係がないので、先に差し出せば掌を返されるかもしれないという不安があるので、簡単には話が進みません。六カ国協議で立会人がいるのだから、大国アメリカの面子を立てて北朝鮮から素直に差し出せばいいのですが。北朝鮮の頭にはイラクのサダム・フセインやリビアのカダフィがあります。武装解除したら独裁者も国家も潰されてしまうのではないかという不安が拭いきれないのです。

 北朝鮮は1980年代から核とミサイルの開発に、最低でも50億ドル、ひょっとすると100億ドルつぎ込んでいます。安い金額ではありません。北朝鮮2400万人の25年分の食料を確保できる。ここまで軍事費を脹れあがらせたのは、戦争をした国民、国にしかわからない不安でしょう。先ほども言いましたが、今の北朝鮮の状態は、戦前の日本とよく似ています。日本は原爆を落とされ焼野原にもなりましたが、力強く復興してきました。日本ならば北朝鮮とアメリカの仲裁役になれる力がある。でも残念なことに北朝鮮にはアメリカの追随勢力と烙印を押されてしまいました。



朝鮮半島の緊張 仲裁役は

問 金正恩はオバマと危険な賭けをしているように見えます。北朝鮮はどこまで本気でしょうか。

辺 アメリカとの全面戦争になれば間違いなく、北朝鮮は第二のイラク、第二のサダム・フセインになります。怖いのはこの朝鮮民族の気質です。韓流ドラマではよくある展開の「俺は死ぬが、お前も死ぬ」。ただでは死なない、道連れにしてやる、なりふり構わず勝ちにいきます。休戦協定を白紙にして、南北のホットラインも閉ざされました。北朝鮮のラジオでは攻撃された時のための避難訓練を行っています。パフォーマンスではなく、平壌の市民200万人は1時間で地上から消えますよ。ただでさえ経済が悪いのに、経済ダメージ覚悟で臨戦態勢を取っています。兵糧攻めで死ぬのも、戦争で戦死するのも同じだと北朝鮮では言われています。極めて危険な状況ですね。

問 軍事衝突の可能性が高いですね。

辺 誰も戦争を望んではいません。オバマは北朝鮮の瀬戸際外交にはもう振り回されないと決断しました。国連制裁決議で金融制裁、船舶の貨物調査、監視と、ヒト・モノ・カネの流れを封じ込められています。2月の3度目の核実験を受けて、今回は中国も加わりました。北朝鮮は軍事演習で圧力をかけられ、経済的に追い詰められ、外交的に孤立しています。

 金正恩には3つの選択肢があります。両手を上げて降参する。これはありえません。じっと耐え抜く。これにも限界があります。最後は余力のあるうちに打って出る。今回中国に仲裁役はできません。アメリカと北朝鮮はお互いに引きません。ロシアは北朝鮮の経済的パトロンでも軍事的用心棒でもありません。

 今までアメリカと北朝鮮の緊張は3度ありました。今回は仲裁役がどこにも期待できず、お互い折れることはないでしょう。今までの危機とは質が異なります。

問 仲裁役に韓国の朴大統領はどうですか。

辺 期待はしています。ですが男尊女卑の強い韓国でどこまで彼女が軍をシビリアンコントロールできるか。2010年の延坪島砲撃事件で、軍部には北朝鮮に報復したいという気運があり、世界は韓国に味方しています。北朝鮮の挑発に韓国軍部がのってしまった時、彼女が抑えられるのかどうか。

 韓国では有事の際のマニュアルが変わりました。これまでは、例えば1発ピストルで撃たれたら1発ピストルで撃ち返す。機関銃で撃たれたら機関銃で打ち返す。その反撃に対する制限がなくなり、上司上官の許可なく、現場の判断で反撃して事後報告で許される。現場で起きてしまえば止めようがありません。

問 北朝鮮は挑発してくるでしょうか。

辺 してくるでしょう。私は金正恩は勝気な男だと見ています。若いが党幹部や軍部の長老をしっかり統率しています。2009年に北朝鮮がミサイル発射実験をしたときのことです。アメリカのゲイツ国防長官が、北朝鮮がミサイル発射をすれば迎撃すると、北朝鮮をけん制しました。その報告を金正日、金正恩親子が受けた時、金正恩は迎撃されたら反撃しろと言い放ちました。今はその彼が最高司令官です。



休戦協定白紙化の原因

問 朝鮮半島の緊張を緩和するための策はありますか。

辺 今回、北朝鮮が休戦協定の白紙化を宣言したきっかけは、国連安全保障理事会の制裁決議。そして2012年の衛星打ち上げを、ミサイル実験だと非難されたことです。金日成生誕100年記念事業として、金正日が悲願の衛星を打ち上げたいと、NASAも各国の報道陣も招待し、理解を求めました。しかし、アメリカを標的にしたミサイル実験を認めるわけにはいかないと非難しました。

 北朝鮮は核実験をあきらめ凍結し、アメリカは人工衛星を認めることが必要です。二国間の話し合いを通じて信頼関係を高め、六カ国協議にシフトさせるのが一番です。

 アメリカが一番恐れているのは本土に届く核ミサイルをつくられること。金正恩が核実験を凍結させ、オバマから働きかける。北朝鮮は面子で生きている国ですから、大国アメリカから折れてきた、という体裁を保てないとだめなんです。アメリカは名を捨て、核実験を凍結させたという実をとるのです。

問 2012年に北朝鮮が打ち上げたものはなんだったのでしょう。

辺 衛星と思われるものです。衛星軌道上には乗りましたが、異常な回転をしていて機能していません。地上からのコントロールができていないので、これは衛星であるという証拠の衛星写真など開示できていません。衛星打ち上げには成功したが、衛星自体は失敗した、ということです。



全面戦争が起きれば日韓は焦土に

問 今回の朝鮮半島の危機に日本にできることはなんでしょう。

辺 私は小泉元首相を評価しています。彼は最後まで北朝鮮とアメリカの仲を取り持とうと努力していました。

 小泉元首相は2回平壌に行き金正日と会いました。2004年5月に会った時は、金正日にブッシュとの橋渡し役を頼まれています。小泉さんは粘り強くブッシュを説得しましたが、首を縦に振ることはなく、吉報を待つ金正日に小泉さんは残念だと報告をしました。その1カ月後に北朝鮮はミサイル発射実験、10月には核実験を行いました。驚いたブッシュは、本気で核とミサイルを手放すのなら平和協定に調印しようとやっといいました。もっと早い段階で小泉さんの話に耳を傾けていれば、核実験は行われなかったでしょう。

問 北朝鮮のミサイルや核開発の技術はどこまで進んでいるのでしょうか。

辺 アメリカ本土までミサイルが届く技術は既にできていると私は見ています。2010年に亡くりましたが、黄長氏にインタビューしたことがあります。彼は元労働党書記で党書記長として金正日をサポートしており、韓国に亡命した時は大きなニュースになりました。2009年、二度目の北朝鮮のミサイル発射、核実験の時に彼は言いました。「あなたたちは我々を過小評価している」と。国を裏切り亡命し、金正日政権を告発する彼が、一瞬「我々」という言葉を使ったことにまず驚きました。

 北朝鮮は手の内を見せません。金正日が亡くなった時も、北朝鮮が発表するまでどこの国も情報を入手できなかった。また今年2月に行われた核実験の内容も未だに判明していません。マスコミももっと危機感を持って政府の情報収集能力を問いたださなければいけない。

 北朝鮮があれだけ脅しをかけるのははったりではありません。先日北朝鮮は無人機を使っての攻撃訓練を行いました。いつの間に無人機を開発していたのか。無人機を開発して持っている国は世界にそう多くはありません。

 今のような状況で全面戦争になったら、日本も間違いなく巻き込まれます。先日韓国でサイバー攻撃がありましたが、あれも北朝鮮の仕業でしょう。韓国はパニックになり、とても大きな経済ダメージを受けました。戦争が始まれば韓国が受けるダメージは計り知れません。

 北朝鮮には、韓国を焦土と化すのに、核ミサイルを撃ち込むまでもない軍備がありますから、間違いなく核ミサイルは日本に打ち込まれます。6発も落とされたら、日本の主要都市はすべて壊滅し、40万人が即死するという試算が出ています。在日朝鮮人60万人がいてもお構いなしに打ち込むでしょう。決して対岸の火事ではないんですよ。




日本よ、アジアのリーダーたれ

問 米朝の仲介の労を日本の安倍首相がとれればいいですね。

辺 もっと緊張が高まり、日本国民の間にこれは大変なことになるという危機感がなければ動かないでしょう。実感がまだないと思います。安倍さんが動けなければ、小泉元首相を特使に日本のメッセージを伝えてほしい。小泉元首相が難しければ進次郎さんでもいいでしょう。北朝鮮が核実験を凍結すれば、アメリカが交渉に出るように日本は説得すると。

 今度核実験をやれば4度目になります。実験を繰り返すたびに高性能なものになります。折衷案を迅速に持ち込む必要があります。

 今世界でアメリカに牙をむいているのは北朝鮮だけ。どう考えても負け戦なのに無謀にも刃向っている。存亡をかけた戦いです。北朝鮮の心理状態を理解し、周辺国、特に日本が早急に対策を取るべきです。北朝鮮の言う事に一切耳を貸さずに制裁では、窮鼠猫を噛むで、どう動いてくるかわからない強さと怖さが朝鮮民族の血にあるのです。

 いずれにしても休戦協定60周年の今年、休戦協定白紙化が宣言されました。板門店で休戦協定が結ばれた記念日の7月27日までには一つの決着がつくと思います。日本もオバマと金正恩のチキンレースに運をゆだねるようなことはせず、割って入り仲をとりもつことができないものか。日本にアジアのリーダーとしての自覚を持ってもらい、極東の平和のために北朝鮮に積極的に働きかけてほしいと思います。



日韓トンネルは明るい未来への試金石

問 朝鮮半島と中国と日本は仲良くなる手立てはありますか。

辺 本にも書きましたが、日・韓・中の3ヵ国をめぐる観光ツアーなどの観光戦略がいいと思いますね。中国には年間5000万人以上観光客が訪れます。欧米人に受けるでしょう。まず商人同士から仲良くなるのです。日韓のトンネルをつくる話もありましたが、日本側で話が進んでいません。日韓に海底トンネルができれば領土問題も解決できるでしょう。

 日韓の海底トンネルが開通し、38度線がなくなればヨーロッパまで地続きになります。貿易・観光に非常に大きな恩恵を受けます。現在、ロシアとアメリカの間にも海底トンネルをつくる話が持ち上がっています。すべて開通すれば、東京から地続きでアメリカに入ることができるのです。

 日韓が手を組めばもっと経済的に強くなれます。歴史問題や領土問題など、近視眼的に物事を見ているうちは難しいでしょう。明るい未来は、過去の人間には想像もできないほど変化に富んだものです。日韓トンネルはその試金石と言えます。

   ただし、韓中海底トンネルの話も持ち上がっています。韓国には二つの大規模海底トンネルを手掛ける経済的体力はありません。日本が早く動いてくれることを期待しています。




『世界が一目置く日本人、残念な日本人』辺 真一 著 三笠書房(1300円+税)

中国・韓国の追い上げに自信喪失の日本。世界から見て日本は依然としてアジアのリーダーであり、日本人にしかない美徳がある。日本をよく知る外国人ジャーナリストの立場から、日本の素晴らしさと、アジアのリーダーとして担うべき責任を語る。



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