• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2013年07月18日

利益重視経営で住宅のワンストップショップを目指す/東日本ハウス社長 成田和幸

企業家倶楽部2013年8月号 トップに聞く


高級注文住宅を手掛ける東日本ハウスの業績が好調だ。創業者である中村功氏が社長の座を譲り、急成長していた東日本ハウスは、銀河高原ビールやホテル事業の多角経営不振から多額の負債を抱えてしまった。3代目社長就任から11 年。2012年10月の決算では15期ぶりの増収増益を果たし、悲願である東証一部上場もいよいよ視野に入ってきた。勢いに乗る東日本ハウス社長、成田和幸氏に追い風の理由を聞いた。聞き手:企業家ネットワーク社長 徳永卓三




利益重視型経営にシフト

問 2012年10月期決算で15期ぶりの増収増益。売上高546億円、当期利益が42億円。株価も上昇していますし、素晴らしい業績ですね。

成田 やっとここまでこれたかという思いです。11年前に社長を引き受けた時は株価は140円。80 円の時もありましたから。

問 株価が100円を切ると危ないですね。

成田 ある企業が東日本ハウスの株を売ると言うのを、売らないでくださいとお願いして、私はお金をかき集め、個人で半分を引き受けた経緯もあります。それが今高値になって10倍近くになりました。

問 今期の業績はいかがですか。

成田 目標は連結で売上593億円、純利益45億円です。9割はハウス事業です。ハウス事業は売上対営業利益が10%近くになっています。私が社長に就任し、この10年は利益重視型経営を目指してきました。それがやっと一つの形になりました。

問 住宅産業で利益率が10%近いというのは高い数字ですね。

成田 多くは4ー5%です。弊社は戸建の注文住宅がメインですが、市場は最盛期の3分の1に落ちています。その少ないパイの中で売上重視の経営をしていくのは難しい。伸び盛りの産業ではシェアを伸ばし、業界一番を目指す売上重視の経営でもいいでしょう。しかし、我々の住宅産業は成熟期に入っています。業界トップのシェアをとっても5ー6%でしょう。利益を重視した方がいいのです。

 
 10年前は債務超過寸前までいきました。否、もう債務超過でしたね。東日本ハウスも銀河高原ビールもホテル東日本も身動きが取れませんでした。そこでファンドの方に80億円の増資を引き受けていただき、やっと返して現在があります。我々はそういう失敗をしてきているのに今また売上重視の経営をやっていたら、失敗から学んでいないということです。業界は今ローコスト住宅が主流になっていますが、逆を行く企業があってもいいじゃないか。苦しくても生き延びるための経営でいいじゃないか。東日本ハウスは一時の1500億円の売上から3分の1なってしまっているけれど、檜の四寸柱の高級住宅にこだわる会社であってもいいじゃないかと。

問 ローコスト住宅は今注目されていますが、値段相応なのだろうという印象はありますね。

成田 東日本ハウスでもローコスト住宅事業はありますが、やはり品質は全く異なります。ただ、どの客層を狙うかということなので、悪いことではありません。ですが、価値が高くてこんなに安い、というのはありえないと私は思っています。

耐震機能と太陽光発電価格据置きで標準搭載

問 日本の風土に合った檜の家にやがて戻るだろうと私も思います。ハウス事業で好調なのは、やはり檜を使った高級注文住宅ですか。

成田 檜の四寸柱を使ったやまとシリーズです。60年保証で、孫の代まで受け継がれる100年住宅を目指しています。やまとシリーズは元から頑丈で、耐震をつけていますので、神戸、新潟の地震の時も東日本ハウスの建物は大丈夫でした。

 今後さらに地震が増えるという予測もあります。東日本大震災以来の2年間、東北の企業として何ができるかを社員と考え、耐震・制震とエネルギー、というテーマができました。グッドストロング工法で柱と制震パネルを一体化させ、75%の揺れを軽減できます。弊社の既存の住宅にも取り付けられます。

 さらに太陽光発電をプラス。耐震・制震・太陽エネルギーの3点を標準セットにした商品が大変好調です。付加価値が増えた分、価格が上がるのではなく、企業努力によって価格据置きで標準搭載できる商品になっています。

生コンさえあればいつでも動ける

問 震災後、被災地に5つの拠点を作られました。今この拠点で23億円を売り上げていらっしゃるとか。

成田 都市計画が進んでいないので、現在中だるみしています。23億円は都市計画区域外で建設されるお客様の数字です。被災者の方々の住宅の建設は都市計画後になりますので、これからですね。2年ほどずれこんでいると思います。

問 都市計画は県や市区町村が行っているのですか。復興が遅れている印象がありますね。

成田 都市計画に携わっている方々も被災者なので、急げと言う方が無理でしょう。

 住宅地は山がいいでしょう。大きな津波が来たのは今回が初めてではありません。ただ、高い場所に土地がなかったり、長い間沿岸部に住んでいた方々はやはり沿岸部に住みたいようです。沿岸部には工場や背の高いビルなどをつくり、万が一、大津波の時は上へ逃げれば助かるような仕組みが必要です。

 現場では現在生コン工場がなく、建設が遅れているということもあります。生コンは 「練り混ぜを開始してから90分以内に荷卸しが出来るようにしなければならない」とJISで定められています。そのため、現場近くに生コン工場がなければならないのですが、復興事業が開始し、5年もたてば生コン工場は必要なくなります。5年で生コン工場が償却するのは難しいので、国主導でやっていただかなければならないでしょう。

問 現場に生コンが足りないと初めて知りました。安倍首相には伝わっているのでしょうか。

成田 現場に入っていらっしゃるのでご存知と思います。国土交通省が来年から沿岸部に生コン工場を整備すると言ってくれています。

 東日本ハウスは被災地に5つの拠点をもうけ、そのうち3つは営業所に格上げしました。東日本ハウスは全国に拠点がありますので、地域や季節で手の空いている職人さんたちの手を借りることができます。その職人さんたちを集めていつでも仕事に取り掛かれるように宿舎も3カ所作りました。準備は万端です。

岩手で日本一のガーデニングコンテストを

問 ホテル事業の方はいかがですか。

成田 昨年は営業利益が10億円ほど出ました。震災のあった年はトントン。ホテルは全て東北地方にありますから、よくそこまでもっていけたと思います。今年も純利益は数億円出ると予想しています。

 岩手県雫石にあるホテル森の風は2013年4月にリニューアルオープンしました。4階フロア19室を17室に減らし、全室露天風呂付き、バリアフリー対応の部屋も作りました。

問 森の風には「けんじワールド」という巨大な屋内プール施設がありましたね。

成田 今年の8月までの期間営業が最後になります。オープンした当初は29万人入場者があっても赤字でした。5月の連休と夏休みだけの季節営業にしてやっとトントン。開設から18年経ち、設備が劣化してきたので思い切って閉鎖し、壊すことにしました。跡地には日本一のガーデニング公園をつくります。石原和幸氏が企画責任者です。石原氏はガーデニングの本場であるイギリスの「チェルシー・フラワー・ショー」で常に金賞か銀賞を受賞するプロ中のプロです。

問 少子高齢化で、2040年には多くの自治体で65歳以上の高齢者が人口の4割を超えると言われています。ガーデニングに関心の高い層が増えるわけですね。

成田 けんじワールドは来年4月から着工し、7月にガーデニングの大会を開催したいと考えています。田沢湖にあるホテルタザワも今年の11月からリニューアル工事をします。田沢湖には金色の日本一の大きさの観音像やゴルフ場、冬のかまくら祭りなど観光資源が豊富にあります。これまでは東日本ハウスの立て直しが重点目標でしたから、ホテル事業には投資できませんでしたが、これからはホテル事業に投資します。今ホテル事業の売上は75億円前後あるのですが、これを100億円目指して注力していきます。

問 ビール事業の方はいかがですか。

成田 銀河高原ビールは16年間赤字でした。一昨年から黒字転換できました。施設を岩手県沢内村の施設だけにしぼり、現在は売上が10億円くらいです。地ビールですから、これくらいの規模がちょうどいいですね。

長期優良住宅ゆえに必要なリフォーム

問 2014年に消費税増税が予定されていますが、駆け込み需要の見込みはいかがですか。

成田 注文住宅は今年の9月末まで、建売やマンションは来年3月末の引き渡しまでです。前回の5%になった時も前年比150?200%になりました。今年も既に前年実績を超えています。再来年の10%の時はそれほどお客様は動かないのではないかと見ています。「フォローの風吹く 競合に負けるな執念で勝て!」とスローガンをかかげ、意気を上げています。

問 リフォーム事業も好調のようですね。他社との違いを教えてください。

成田 リフォーム事業は受注81億円、売上75億円、利益は10億円くらい出ています。リフォームのお客様の6割は既存客です。東日本ハウスの注文住宅は60年保証の長期優良住宅です。引き渡しから5年間は、年2回、感謝訪問をしてチェックをしています。その後は年に1回訪問。10年経過するとリフォームの話が出てきますので、リフォーム事業部にバトンタッチします。家がある限り、リフォーム事業部が訪問し家を守ります。東日本ハウスの支店があるところにはすべてリフォーム事業部があります。

 これからリフォーム事業部は首都圏大攻略を行います。環状7号線沿いに3店舗リフォームのショールームを作りました。あと6店舗つくる予定です。新築事業が赤字でもリフォームは黒字の支店もあります。新築ばかりでなくリフォームでビジネスが出来ればどの都市圏でも参入できますからね。

お客様を守るために企業は存続しなければならない

問 これまでは在来工法の木造住宅東日本ハウスという印象でしたが、マンションも手掛けているそうですね。

成田 函館に3棟、関東でも東村山と流山にあります。他にも建売分譲住宅といった不動産事業を手掛けていますが、売り上げの10%程度と思っています。無理はしません。

 東日本ハウスのこれからのテーマは住宅に関するワンストップショップを目指すこと。ショールームに行くと、檜の高級注文住宅からローコスト住宅、マンション、リフォームも見ることができるという具合です。私は函館に3階建ての家を持っていました。東京へ出て、管理が難しくなった函館の家もマンションに買い替えました。マンションに住んでみてわかることがたくさんあります。少子高齢化で雪国の地方都市ではマンションが高齢者層に人気です。セキュリティがしっかりしていて暖かく、雪下ろしの心配がない。

問 マンションには管理人もいるので高齢者には安心ですよね。年代が変わればニーズも変わるということですね。

成田 我々は新築の注文住宅に特化してきました。戸建にはこだわりますが、お客様を守るためには企業が存続しなければなりません。消費者に合わせた住宅会社に替わってもいいのではないかと考えています。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top