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トピックス -企業家倶楽部

2013年07月23日

悲観論と決別、叡智と技術革新で未来を創ろう/武者リサーチ代表 武者陵司

企業家倶楽部2013年8月号 緊急インタビュー





5月23 日、日経平均株価が1000円を超える急落となった。市場関係者などから「株価下落はアベノミクスの限界を示した」との指摘が出始め、日本経済の今後に世界中が熱い視線を注いでいる。ドイツ証券副会長の時代から常に、その経済分析が注目を集め、金融緩和に対する2冊の著書を著した武者陵司氏に、日本経済の未来を問う緊急インタビューを行った。

 




問 日経平均が急落しましたが、これからの日本経済に対する見解をお聞かせください。

武者 安倍政権の金融緩和は今のところ成功だと思います。株価急落などの現象は一時的なもので、すぐに収束するでしょう。日経平均はこの半年間で7割の大暴騰を見せました。ここまで急激な変化が起これば、当然調整が必要となります。そして株価は今後も上がり続け、日本経済も発展していくでしょう。

問 日本経済に転機が訪れているということですか。

武者 大きな可能性を持った時代がきています。技術革新、生産性の向上、グローバル化によって、世界は躍動的に変化しています。企業は世界中で自由にビジネスを行い、スマートフォンやクラウドコンピューティングなどのIT技術で、私たちのライフスタイルは劇的に変化しました。これは人類史上の大発展と言えるでしょう。そして、アベノミクスの金融政策を皮切りに日本経済がこの波に乗る時代がやってきました。

問 日本経済には国際関係も影響しています。

武者 日本経済は、世界各国のパワーバランスの変化からも発展を遂げると言えるでしょう。重要になるのが、日本経済が地政学の影響を受けてきた歴史的事実です。実は「失われた20年」とアメリカの世界戦略には地政学上の意味が隠されています。

 米ソ冷戦時代のアメリカにとって日本は、アジア最大の同盟国として発展する必要がありました。そのため1980年代まで、日本企業が自由にアメリカのマーケットで経済活動を行える恩恵を与え続けてきたのです。

 時が流れ、91年にソ連が崩壊して世界を見渡すと、バブル経済の真っただ中にいた日本が世界経済の覇権を握るほどの急成長を遂げていました。日本に脅かされる状況になったアメリカは国益を守るため「日本封じ込め」を始めたのです。その象徴とも言えるのが日米半導体協定と円高です。そして日本に苦悩の時代が訪れることになりました。

 しかし今、その時代は終わりました。アメリカの新たな「対中国戦略」により日本経済復活のシナリオが動き出そうとしています。

 米中関係は水と油。共産党独裁の中国が世界のマーケットを牛耳るようになったことを、世界の覇権国であるアメリカは決して容認しないでしょう。新時代の到来で再び、アメリカにとって日本の復活が極めて重要になってきました。そのため、安倍政権の金融政策で円安が加速してもアメリカは文句ひとつ言わないのです。

問 そのような事実があるにも関わらず、日本ではアベノミクスへの批判が強いですね。

武者 これは日本が悲観論に蝕まれている証拠なのです。しかし、この議論は全く根拠に基づいていません。過去を振り返れば、人間の知恵や判断が運命を大きく変えた歴史があるにも関わらず、現実から目を背けているのです。

問 なぜ、悲観論が生まれてしまったのでしょうか。

武者 バブル崩壊、リーマンショック後の世界的金融危機の局面で、学者、オピニオンリーダーやマスメディアが悲観論が合理的であると発信し、人々はそれを信じ込んできました。これが日本の生気を吸い込んできた根本的な原因です。そして、悲観論に侵されたオピニオンリーダーたちが、間違った議論を展開してきました。

問 この議論はどこが間違っているのでしょう。

武者 日本とギリシャを対比するとわかりやすいでしょう。日本のギリシャ化を多くの人が唱えていますが、それは根拠に基づいた議論ではありません。なぜなら、日本とギリシャが侵されている病気が正反対だからです。

 ギリシャは過剰消費による借金過剰が財政を破綻に追い込みました。一方、日本は資産をため込み、使われない状態が続いています。その証拠に借金国のギリシアの金利は世界最高で、多額の資産を保有する日本の金利は世界最低、という結果がマーケットにも表れています。

問 では、どのような手を打つべきですか。

武者 日本とギリシャに対する処方箋は、全く逆です。ギリシャは過剰消費を止め、借金を返すこと。日本は余ったお金を十分に使い、需要を増やすのです。

 アベノミクスによる金融緩和はまさにこの処置をしていると言えるでしょう。つまり、金融緩和に対する批判は、「凍傷になる人に処置をすれば火傷をするので止めろ」と言っているようなものなのです。

問 アベノミクスの成長戦略が行き詰っているように見えますが、どう思われますか。

武者 大切なのは、特に技術革新のある産業に資源配分が行われることです。そのためには成長分野の規制改革とインフレの誘発が大切です。私たちの財布に十分に可処分所得を残し、国内にお金の循環を作るのです。

問 具体的にはどのような対策が求められますか。

武者 日本が深刻なデフレから抜け出せない原因は、世界で唯一サービス価格のデフレが定着したことにあります。円高によって製造業の賃金が低下したのにつられて、サービス産業の賃金が低下し、サービス価格が低下してしまったのです。

 そして、日本のお家芸とも言えるサービス産業が世界での競争力を失ってしまったと同時に、特にこれから求められる教育や医療、ヘルスケアなどの内需型の成長分野が苦しんでいます。この根本的な原因を一掃するのに、金融緩和は必須なのです。

 今、日本経済は「100年に一度」の波に乗ろうとしています。しかしながら、この好機を目の前にしても、日本人は精神論に縛られているのです。

「良かれ悪しかれ危険なものは、既得権益でなく思想である」と経済学者のケインズが述べたように、間違った思想を信じ込んでいる自覚を持たなければいけません。今こそ、現実の経済と向き合う時が来たのです。







著書名:日本株「100年に1度」の波が来た!

著 者: 武者陵司

定 価: 本体1400円+税 中経出版

著書紹介:リーマンマンショックから4年が経過したいま、新たな事実が見えてきた。世界中がこの世界金融危機を暗い将来の入口と考えていたが、米国経済は日本のような経済危機には陥らないばかりか、米国ダウが史上最高値を更新する経済発展を見せた。なぜ米国は日本の「失われた20 年」という長期停滞の道を回避できたのか。激変するマーケットの背後にある「世界経済の新たな潮流」の真相を読み解く。







著書名:超金融緩和の時代

著 者: 武者陵司

定 価: 本体1500円+税 日本実業出版社

著書紹介:日本株復活はまだ序章に過ぎない。リーマンショック直後から日本経済の復活を予見していた筆者が、そのシナリオの5つの根拠を読み解く。なぜ、アベノミクスで日本株・経済が「100年に1度」の好機を迎えるのか。日本屈指の強気派ストラテジストが日本経済の未来を読み解く。



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