トピックス -企業家倶楽部

2013年07月26日

置かれた環境で一生懸命/テンプホールディングス代表取締役会長兼社長 篠原欣子

企業家倶楽部2013年8月号 私の信条





隣の芝生は青いけど、「置かれた環境で一生懸命」に頑張ることが私の信条です。

 どうしても隣の芝生が青く見えてしまう気持ちは理解できます。しかし、別の場所に逃げても夢のような環境が待っているとは限りません。また、一足飛びに上手く行くこともありません。今いる置かれた環境で一生懸命に取り組むことで、仕事のおもしろさややりがいが見つかり、明日が見えてくるのです。

 




 そして、真面目に一生懸命頑張っていると、必ず周りの人は見ていてくれるものです。それは日本だけでなく、海外でも同じです。若い頃、オーストラリアで社長秘書として働いていました。女性が管理職としていきいきと働いている職場環境に驚きましたが、その素晴らしい環境で一生懸命働きました。同時に英語が完璧でないため、同僚から間違いを直してもらったり、欠かさずに毎日毎日、英語の勉強に励みました。そんなオーストラリアで派遣のシステムを知りました。こんな便利なシステムがあるなんてと感心し、どうしてもシステムを知りたいと思っていた矢先に、同僚が女性ばかりの小さな派遣会社を紹介してくれました。日本人一人で懸命に頑張っている私の姿を見ていた同僚が支援してくれたのです。派遣会社で多くのことを勉強させてもらい、もらったパンフレットを手に帰国しました。

 人材派遣業界は、スタッフが登録してから就業中も仕事を探している間も長期的な関係が続きます。製造業と異なり目に見える商品や技術はありません。派遣するのも人で、受け入れ先の企業も人です。人と人の信頼関係で全てが成り立っています。創業当時は、お金の苦労の連続でした。派遣業はまずスタッフに時給を払った後に派遣先企業へ請求し入金されます。ですから、常にスタッフに払う給料をストックしておかなければなりません。創業数年は動けば動くほどお金が足りなくて、常に自転車操業。お金に短刀を突きつけられているような思いでした。それ故に簡単に稼げることなんて絶対にないと思っています。そのおかげで地道に一生懸命、スタッフや企業のためにはどうすればよいか、頭を使って考えることができました。もし、お金が潤沢にあったら、努力をせずに何も身に付かなかったのではないでしょうか。

 わざわざ当社を選んでくださり、派遣先の職場で頑張ってくれるスタッフや当社を活用してくださる企業に感謝する気持ちを忘れることはありません。謙虚になるのは当然です。スタッフやお客様に「良い仕事を紹介してくれて、良いスタッフを派遣してくれて、ありがとう」と言われることが私の原動力となっています。もっともっとお役に立ちたいと、もっともっと努力することで、もっともっと喜んでもらえる。この相乗効果が人と人との関係で成り立っているこの仕事ならではの面白いところですね。

 過去に情報漏えいをしてしまうという危機がありました。すぐに営業をストップし、スタッフを守ることを第一に考えました。事態が収束に向かう頃、社員総会で「皆さんに迷惑をかけて、申し訳ない」と素直に謝りました。

「もし、このことで会社が潰れたら一年分の給料は払います。その一年間で転職活動をしても構わない‥‥」、泣きながら思いを伝えました。すると、その話を聞いた社員の気持ちが一つになりました。創業時よりお金の苦労をしている私にとっては、ただ社員に給料が払えなかったらどうしようかと、ごくごく当たり前に考えての発言でした。危機に面した時こそ、置かれた環境を真正面から受け止め、一生懸命に頑張ることが重要です。社員の結束とともに改めてその重要性を実感しました。


 
 



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