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トピックス -企業家倶楽部

2013年08月20日

リーダーとフォロアー/フリービット社長 石田宏樹

企業家倶楽部2013年8月号 石田宏樹のインターネットが拓くビジネスイノベーション vol.12


これまで1年半にわたって続けてきた連載も、今回で最終回となります。この連載がきっかけとなって、人生で大事な一歩を踏み出した方もいらっしゃると聞き、嬉しい気持ちでいます。最終回となる今回は、連載の締めくくりとして、読者の皆様が「あと一歩」を踏み出すために必要なことを述べてみたいと思います。



起業家と経営者の違い

 そもそも経営とは、ヒト、モノ、カネという経営の3大リソースをどのように配分するのかということでした。そして、このリソース配分を間違わないための「もう一つのリソース」とは、未来情報であるということについても、この連載で何度か述べてきました。勝ち馬がわかっていれば、カネをどこに賭ければいいのか迷わないということです。ですから優れた経営者は、精緻な未来予測に従ってリソースを最適に配分しようとします。

 これに対して起業家とは、リソースがない中で、自らの描くビジョンを実現しようとする存在です。彼らはヒト、モノ、カネを持たないまま「こういう未来を実現したい」という夢だけを持って走り始めるわけです。延長線上に見えている未来を否定し、あるべき未来に向かいます。要するに「痛快なバカ」なのですが、しかし、こうしたバカが世界を変えるのです。

 私自身まさに、起業家タイプの人間で、インターネットの発展に全人生を捧げた「痛快なバカ」だと認識しています。予断ですが、先日、中国で最も有名な建築家の一人である迫慶一郎さんとご一緒したのですが、迫さんは建築家であるだけでなく、起業家でもあります。二人で「建築バカ」「インターネットバカ」と呼び合う関係になりました。起業家とはこのようなものです。

 しかし、本当に世の中を変えるには、起業家というリーダーだけでは不十分です。TEDで発表された、「How to start a movement」という有名なプレゼンテーションでは、「リーダーシップは過剰評価されている」「最初のフォロアーが重要」「本当のリーダーは最初のフォロアーと対等な関係を作る」「新たなフォロアーたちは、リーダーではなく最初のフォロアーを真似る」そして何より、「最初のフォロアーの存在が裸で踊る一人のバカをリーダーへと変える」と指摘されています。



私というバカを支えてくれた人々


私というバカを支えてくれた人々


 私は、大学時代にインターネットに出会い、リソースを全く持っていない(大学時代の友人に恵まれヒトのリソースは多少ありました)にも関わらず、「インターネットをひろげ社会に貢献する」という理念に向けて走りだしました。そんな私をリーダーにしてくれたのは、ビジョンに賛同してくれたフォロアーであったことを、ここで強調しておく必要があります。フォロアーがあればこそ、バカはリーダーになることができたのです。

 最初のフォロアーになってくれたのは、フリービット共同創業者である田中伸明です。若造にすぎなかった私にとって、社会の常識をわきまえた田中が最初のフォロアーになってくれたのは、本当にありがたいことでした。

 私のフォロアーになるという田中の決断と、私の考え方がよく理解できない場合は田中に聞きにいけばよいというフォローの仕方の確立は、フリービットが組織として立ち上がるために必要不可欠なものでした。これにより、フリービットを起業したときには、約30名にもおよぶ人々が私をリーダーとして認めてくれたのです。



具体的に注意すべきこと

 連載の締めくくりとして、読者が本物のリーダーになるために、自分の少しばかりの経験から学んだ具体的なポイントをお話しておきたいと思います。

 まず、目的と手段を整理することです。楽天創業者の三木谷さんは、「アポロ宇宙船は、月に行くという目的があったからこそ、月に行けたのであって、飛行機を改良した末に月に到達したのではない」と語られています。読者がなにを成し遂げたいのか、その目的を明確にすることが大事です。

 次に、困難は分割するということです。難しいことは、分けて考えると、その中には必ず難しくないこともあることが見えてきます。いきなり金メダルは取れなくても、毎日決められた時間だけトレーニングをすることはできるでしょう。

 そして、自分とフォロアーの間には、丁寧に共通言語を作っていくことも大切です。たとえば「戦略」という言葉一つとっても、自分とフォロアーの間で定義の理解がそろっていなければ、コミュニケーションになりません。大事な言葉こそ、定義にまでさかのぼって、皆で共有する必要があります。

 ブログやSNSを活用して日記をつけることも重要です。日記は、その時点での自分自身のスナップショットであり、自らの成長を確認することができます。正解を求めて立ち止まるのではなく「早く動いて、早く失敗して、早く修正」したことを日記に残し、目的に向かって自分が成長しているというベクトルを認識しながら前進しましょう。

 また、人間とは環境に左右される生き物であることを認識し、良き師、良き友達との出会いを大切にしましょう。常に良い環境を「選択」するという意識が大事です。誠実であり、フェアな人々との関わりは、自らをそのような方向に成長させてくれます。これ以上に、大切なことはありません。


具体的に注意すべきこと

連載終了にあたって

 もしみなさんが、社会に対して何か貢献したいのであれば、一つのことを「今すぐ」決めてみてはいかがでしょうか?自分は「痛快なバカ」になるのか?それとも、そうしたバカをリーダーにするフォロアーになるのか。確かに「痛快なバカ」になるのは大変だと思います。しかし少なくとも、そうしたバカを傍観者として嘲笑せずに、リーダーとして立つための勇気を与えるフォロアーには誰もがなれるはずです。

 人類は今世紀「有限の地球」「高齢化社会」「知の爆発」という3つの大きな問題(元東大総長・小宮山先生によるモデル)によって、滅亡の瀬戸際にあります。このような問題をただ悲観するのではなく、その解決に向けて動き出す。そんな存在に、是非ともなっていただきたいと思います。

 連載の最後は、やはり、アップル創業者スティーブ・ジョブズの言葉で締めくくりたいと思います。

「Stay hungry, Stayfoolish」

石田 宏樹(いしだ・あつき)
 1972年佐賀県生まれ。98 年3月慶應義塾大学総合政策学部卒。在学中に、有限会社リセットを設立、取締役に就任。その後、三菱電機株式会社よりISP 立ち上げの依頼を受け、株式会社ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)設立に参画。99年4 月には同社最高戦略責任者に就任し、「顧客満足度No.1 プロバイダー」に育て上げ、4 年半でNASDAQ Japan 上場を果たす。2000 年5 月、株式会社フリービット・ドットコム(現フリービット株式会社)を設立。2007年3 月 東証マザーズに上場。同年8月DTIを買収。第11回企業家賞受賞。



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