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トピックス -企業家倶楽部

2013年08月26日

出でよ、日本人横綱!/前横綱審議委員会委員長・元日本経済新聞社社長 鶴田卓彦

企業家倶楽部2013年8月号 言いたい放題





 10年間に渡って横綱審議委員会(横審)の委員を務め、直近の4年間は委員長を務めさせて頂き、この1月退任した。横審は言うまでもなく、日本相撲協会のご意見番で、私は「お客様からカネを頂いて相撲を取るわけだから、全身全霊でお客様を興奮させ、元気付ける取り組みをしなければならない」と常々、関係者に言ってきた。

 この10年間、大相撲のご意見番を務めて来た者として、ひとこと言わせてもらえば、「出でよ、日本人横綱」である。現在、白鵬と日馬富士のモンゴル出身の横綱が頑張っている。特に白鵬は朝青龍が引退したあと1人横綱として大相撲を支えてきた。双葉山に次ぐ63連勝を記録し、この五月場所でも全勝優勝するなど、その成績は抜群である。2人の横綱は責任を果たしている。




 それでも、私は日本人横綱を待望する。なぜなら、大相撲は国技である。大鵬、柏戸、北の海、千代の富士、貴乃花といった日本人横綱が活躍してこそ真の国技であり、人気も出て来る。今、国技館には毎場所1日1万人のファンが詰めかけ、相撲人気は衰えていない。しかし、あの熱気に満ちた若貴時代や栃若時代に比べると、人気は落ちていると言わざるを得ない。

 国技館の四方には32枚の優勝力士の額が飾ってあるが、今は1枚も日本人力士の優勝額はない。淋しい限りだ。

 モンゴルなど、外国人力士が上位を占め、優勝をたらい回しすれば、いつか相撲人気はかげりが生じよう。そうならないためにも早く日本人横綱が出て来て欲しいのである。その候補者はいないわけではない。

 有力候補の筆頭は五月場所、13勝2敗と活躍した稀勢の里。恵まれた体格と押し相撲は横綱級である。寄り切りで白鵬の64連勝を阻んだ。惜しむらくは精神的にムラがあり、肝心なところで取りこぼす癖がある。昨年の五月場所では、優勝寸前の所まで行って、勝利を逃した。

 今五月場所14日目の横綱白鵬戦は全勝対決で、見ていて鳥肌が立つほど見応えがあった。死闘の末、白鵬が勝ったが、花道を帰る稀勢の里の後姿は勝ち力士のように堂々としていた。千秋楽で琴奨菊にあっさりと負けたのが悔やまれる。

 まだ、勝利への意欲が足りない。今場所の前には他の部屋に出稽古に精進していると聞く。少し欲が出てきたようだ。是非とも横綱になって、相撲界を引っ張ってほしい。日本人横綱が外国人力士と真剣勝負をしてこそ、相撲人気は本物になる。7月の名古屋場所が注目される。

 前委員長として、もう一つ注文を付けるならば、「張り手」である。幕内の下位力士が張り手を使うのは一つの戦法として仕方ないが、三役以上の力士が使うのはいかがなものか。国技である相撲は美しく勝ってほしい。角聖といわれた双葉山は相手が時間前に立っても応じる心構えが出来ていたという。横綱は強さとともに品格を持ってもらいたい。

 若い頃、初代若乃花と鏡里との取り組みを観戦した。ガップリ四つに組んだと思いきや、鏡里の巨体が土俵にころがっていた。どうして若乃花が上手投げを打ったのかわからないほどの神技であった。今、研ぎ澄まされた神技を放つ力士は見当たらない。

 相撲は力士が裸一貫で激突する単純なスポーツだが、単純だからこそ、奥が深い。日本の文化であり、日本人の心そのものである。力士を含む大相撲関係者そして全国の相撲ファンが一丸となって、この国技を守って行ってほしいと思う。



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