• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2013年08月30日

感じの良い自分が良い縁を紡いでゆく/ティア代表取締役社長 冨安徳久

企業家倶楽部2013年10月号 著者に聞く




父が遺してくれたこと

問 お父様を見送られて2年ほどになりますね。

冨安 30年以上もこの業界に携わっていますが、父を亡くしていざ自分が喪主になると、何もわからなくなりました。葬儀担当者がいなかったら、全く前に進まなかったと思います。心底ご遺族に寄り添ってきたつもりでしたが、それよりはるかに深い悲しみがあるということに改めて気付かされました。

 父は死ぬ時でさえ、「とてつもない深いところに悲しみがあるだろう。葬儀を生業にしているお前はもっと社員たちにそれを伝えなければいけないぞ」と教えてくれたのです。これまでも精一杯ご遺族に尽して参りましたが、さらにもう一歩踏み込んで寄り添うようにと、社内セミナーで伝えるようになりました。

 好運にも一時退院の折、勇気を出して父を抱きしめて耳元で「ありがとう」と伝えることが出来ました。しかし、それから2ヶ月も経たないうちに逝ってしまったのです。




問 お母様はご健在ですか。

冨安 はい。少し認知症が始まっていますが、姉夫婦が同居をしてくれてから進行が止まっています。父の時よりさらに勇気が要りましたが、私のことがまだ息子とわかるうちにと思い切って母のことも抱きしめました。すると、恥ずかしがっていた母がすごく嬉しそうな顔をして泣くのです。私も思わず一緒に泣きました。



縁を大切にする

問 ご著書はいいタイトルですね。

冨安 与えるというのは寄付することのように受け取っている方が多くおりますが、感じの良い笑顔や心地良い時間を周囲の人々に与えるということです。それが周りから与えていただくことに繋がっていく。その気付きこそ、この仕事で得られた最大の真理だと思います。

 
 1人の人間の先には知人、友人、親類縁者がいるのですから、その人に印象を悪くしたら、その先の縁を全て断ち切っているに等しい。反対に、好ましい自分を与えることが出来れば、自分が知らないうちに相手の縁ある人に結びついていくかもしれないのです。

問 縁を大切にしなくてはいけませんね。

冨安 縁への気付きが人生とビジネスが輝き始めた元になっています。独立し、97年9月1日に24時間体制を始めましたが、待てど暮らせど仕事は来ません。ようやく仕事が入ったのが9月25日だったことを今でも覚えています。資金も知名度もなかった会社が今では年9000件施行する会社になっている。それはひとえに出会った縁を大切にしてきたからです。

 現在直営だけで270人の社員がおりますが、仕事と関係無い場面でも横柄にしてはいけないと繰り返し話しています。全ての社員が感じ良く振る舞えば、その出会いの先に縁が結ばれてゆき、ビジネスの繁栄があるのです。



若い人にこそ読んで欲しい

問 著作はこれで何冊目になりますか。

冨安 ちょうど10冊目です。10冊だけ本を出そうと決めていまして、この本が集大成です。

問 どんな方に一番読んでもらいたいですか。

冨安 これから社会に出る学生や、今の仕事が面白くない人です。イラストを入れ行間を大きくして活字が嫌いな人でも読めるようにしました。「良い大学を出て、良い会社に入り、良い給料をもらうことが成功」と教える現在の教育では学ばない部分を気付かせてあげたいのです。最初から面白い仕事なんてどこにもありませんし、初めから天職が見つかるわけではありません。幼い頃からの夢を実現出来る人は本当にわずかです。

 学歴も取り得も無いと諦める人がいますが、どんな仕事にも本気で経験したからこそ見えてくるやりがいや生きがいがあり、それが天職に繋がることがあるのです。情報社会で情報は溢れていますが、「現実は入って行動しなければ何も見えてこない」ことを一番伝えたいのです。

 学生が描く仕事のイメージは全部妄想です。仕事は通常、雑用からしか始まりませんが、懸命にやるのです。雑用にこそ生きがい、やりがいを見つけるチャンスがあり、それを疎かにする人には何もチャンスは与えられません。

 私も葬儀社をやりたかったわけじゃない。「なんだ葬儀社か」と思いながらも時給が良かったのでアルバイトで入りました。しかし先輩について本気でやっていったら、人が嫌がるような仕事だけど、大切な人を失った時にきちんと司ってくれる担当者は深く感謝されると気付いた訳です。それを適当にこなしていたら、35年も続けるような仕事にはなっていません。

 私の講演や本に触れて、100人のうちたった1人でも本気でやったら見えてきた、人生が変わったという人が出現するのではと願っています。この活動できっと私も何かを与えられているに違いありません。



天命追求型の経営

問 経営についてはどのようにお考えですか。

冨安 20代の頃は、欧米型の数字至上主義の経営理論が良いと思っていました。達成感も充実感もあり楽しかったのですが、幸福感はゼロでした。しかし経営者になると決めた頃から、想いを持って事業を展開しない限りお客様の心は動かせず、一時は良くても最終的には数字も達成できないと実感しました。

 欧米型の経営理論が「目標追求型」ならば、日本人は「天命追求型」でなければなりません。社長1人が出来ることはたかがしれているので、社長の想いは誰でも巻き込める「志」にならなければいけません。その事業が「夢」から「志」となった時、初めて会社は発展します。葬儀業界の改革が自分の夢ではなく志になった時点で、人が集まりだしました。

問 2013年6月に東証二部へ上場されましたね。

冨安 13年8月に首都圏2号店が埼玉県川口市鳩ヶ谷にオープンします。今後、関東圏は鳩ヶ谷を中心に直営で、それ以外はフランチャイズで順次展開して参ります。東証への上場はその布石です。これからも、日本で一番「ありがとう」と言われる葬儀社を目指し、精進していきます。


天命追求型の経営


『人生は与えた分だけ与えられる 尽生と志事』冨安徳久 著PHP研究所(1800円+税)

葬儀ビジネスを天命とする冨安社長は、「行動するほんの少しの勇気が、人生を根底から変える」 と語る。人生に悩む人たちに生きること、働くこと、命について熱く語った講義をまとめた一冊。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top