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トピックス -企業家倶楽部

2013年09月03日

【第15回企業家賞】メガネの歴史を変える/ジェイアイエヌ社長 田中仁

企業家倶楽部2013年10月号 第15回企業家賞 記念講演





  本日はジェイアイエヌの今に至るまでの軌跡と思いをお話します。まず業績は今期8月期で358億円、経常利益は67億円予定で、順調に推移しています。数年内に国内で1000億円、経常利益200億円、海外を含めて数千億円規模を達成したいと考えています。

 ジェイアイエヌは87年、服飾雑貨製造卸業として前橋で創業しました。当時の事務所は5坪で家賃5万円。車は親戚から8万円で購入したものでした。これがサスペンションが柔らかく、家族が車酔いしてしまうのです。最近の企業家は明確な志やビジョンを持っていますが、私の場合は「家族が酔わないような車に買い替えたい。おいしいものを食べたい」という幼稚なレベルでスタートしました。




 その後、紆余曲折あり、01年にメガネ事業を開始しました。それまで雑貨を中国や韓国で調達していましたが、韓国製の3000円のメガネをお土産にしたら友人が喜んだことがきっかけです。日本では3万円もするメガネが3000円とは確かに価格が違いすぎます。当時はユニクロの原宿店がオープンし、フリースが大ヒットしていた頃。メガネも流通業者を入れず、SPAで製造から小売まで行えば安くできると考え、フレーム、レンズを自社で調達することにしました。

 そして福岡の天神に第1号店をオープンし、5000円でメガネを販売したところ、15坪の店に常時40?50人のお客が詰めかける大ヒットとなりました。ところが4か月後、近くに同じような店が20軒もオープンすると売上が半減。「今やめれば大きなケガをせず撤収できる」とも考えましたが、周りの20軒を見てみると、ただ安いだけで、私達が目指していたような「服のように着替えられる5000円のメガネ」を実現している店はありませんでした。そこで「これなら本気で突っ込めば勝てるのではないか」と考えたのです。

 そのためにはすべてを自分達でやらねばならず、さらに1店舗ではまかなえないので、5店舗を出店。仕入れのために4?5000万円が必要でしたが、雑貨事業がうまくいっていたので融通できました。それがもしうまくいっていなければ、そしてベンチャーキャピタルとのコネがなければ、今の「J INS」はありません。今は順調に成長し、06年には現在のJ ASDAQに上場。しかし、ここで「やれやれ」と一息ついたのがよくありませんでした。09年12月には株価が39円に落ち込み、時価総額は10億円を切りました。このまま続くと上場廃止基準に抵触してしまいます。考えてみれば、業績が上がらないのは価格帯が時代と合わなくなっていたのです。

 そんなとき、ユニクロの柳井さんに30分だけ時間をいただき、会うことができました。「田中さんは何をしてるんですか?」と聞かれ、「メガネです」と答えると、「では事業価値は?」。ろくに答えられずにいると、柳井さんは「御社の株価は将来がないと言っている。上場したら事業価値が明確でないといけない。ビジョンなき経営はだめです」。言外に「あなたは経営能力がない。やる価値がない」と言われたと感じて、ガーンとショックを受け、その日は寝込んでしまいました。

 そして我々の志は何かと考え続け、それは「新しい当たり前」だと決めました。メガネをかけるすべての人をよく見えるようにする、よく見せる。そして市場最低価格。ただ安く大量販売するのではなく、新しい価値を創造することを我々の志と決めたのです。それまでは枝葉の部分ばかり考え、志という“根”を耕すのを怠っていたから、台風が来ると揺らいでしまったのです。志を定めたら、すべきことが明確になり、それがお客に伝わったことで、今回の賞をいただけたと思います。

 実際にどんなことをしてきたかというと、3つのイノベーションです。一つめは「レンズ追加料金0円」。みんなが気持ちよく買えるように全部に薄型をつけました。原価は上がり、利益は下がりますが、思い切ってチャレンジしました。二つめは「Air flame」、軽量フレームです。医療用ナイロン樹脂素材で軽く、かけ心地のいいフレームはセンセーションとなり、600?700万本売れました。そして三つめが「J INS PC」。これはPCから出るブルーライトから身を守るための機能性商品で、それまでメガネをかけなかった人にも使ってもらいたいものです。産学で共同研究をしている企業は世界的にも皆無なのですが、8つの大学と研究を行なって、しっかりしたエビデンスを重視し、会社や学校、眼科などで使っていただいています。




 そして私が今考えているのは「眼を守る」こと。それを習慣化し、社会に浸透させたいのです。大昔、人間は裸でしたが、寒さや危険から身を守るために服を着始め、それがファッションとなり、今は当たり前になりました。眼もさまざまな脅威にさらされています。ブルーライト、花粉、PM2.5、紫外線……。それを考えると、そのうちメガネをかけない人は「野蛮人ね。恥ずかしくないのかしら?」と思われるような時代を作っていきたい。その意味でもメガネは可能性大です。

 今年2013年5月には東証一部上場を果たしました。これから先のビジョンは「世界ナンバーワンのアイウェア・カンパニー」です。現在、世界一のアイウェア・メーカーと言われるのはレイバンのサングラスの卸をしているイタリアのルックスオティカですが、これを超えたいと思っています。

 私は2011年に「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」の日本代表として、モナコへ行きました。そこで痛感したのは、日本人は英語が堪能でないために損をしているということです。日本人が英語をクリアすれば世界における能力は高い方だと体感しました。その後、ニースからパリ、フランクフルトを通って帰国しましたが、フランクフルトの免税店で買い物をしたときにも気づいたことがあります。免税手続きの用紙に英語、フランス語と並んで中国語や韓国語の表記がありましたが、日本語がないのです。ここでも日本のプレゼンスが落ちていると感じました。そこで「日本でチャンスのある『J INS』を世界の人に喜ばれるブランドにしたい、世界一になりたい」と思ったのです。

 そのために何が必要かといえば、やはり製品開発です。黒電話がスマホへ、花札やトランプがニンテンドーDSへ進化したように、メガネも進化すべきです。メガネは1300年頃にイタリアで誕生し、1500年代に日本へ伝わりましたが、視力補正に遠近両用が加わり、ガラスからプラスチックになったくらいで基本は変わりません。それはもっと進化できるはずであり、「J INS」だからできるイノベーションがあるはずです。世界のメガネをオセロのように、「J INS」のメガネに替えていきたい。我々はメガネの歴史を変え、歴史に名を刻むために努力している最中です。今後も注目していただければ幸いです。



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