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トピックス -企業家倶楽部

2013年09月20日

挑戦するものにのみ未来は拓かれる/ソフトバンクワールド2013/ベンチャー・リポート

企業家倶楽部2013年10月号 ベンチャー・リポート


 ソフトバンクの主催するイベント「ソフトバンクワールド2013」が東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京にて、7月23日、24日の2日間にわたって開催された。「情報革命の最先端を目撃せよ。」というテーマの下、ITによって急激に進化し続けるライフスタイルやビジネスシーンの未来像が紹介され、多くのビジネスマン、報道陣が詰め掛けた。(文中敬称略)



コンピュータが人間を超える日

「2018年、コンピュータは人間の脳を超えます」

 ソフトバンクワールド初日の基調講演。会場にひしめく2000人もの来場者を前に、ソフトバンク社長の孫正義は言い放った。横幅30メートルはあろうかという超巨大スクリーンには、2018年を境にコンピュータのトランジスタ数が人間の脳細胞数を凌駕していく衝撃的なグラフが映し出されている。

 コンピュータは、トランジスタというスイッチのオン・オフで制御されている。人間の脳が各ニューロンの動きによって記憶などを行っていることを考えると、その原理は似ている。

 だが、その進化の速度は雲泥の差だ。人間の大脳内にある細胞数は、有史以来300億個でほとんど変化が無い。ところが、コンピュータは約2年で性能が2倍になるという「ムーアの法則」の下、指数的な進化を続けている。2018年には一つのコンピュータチップ内に入るトランジスタ数が人間の脳細胞数と同じ300億個に到達。そして、瞬く間にこれを抜き去るというのである。

「このままの進化が続くと、300年後はどのようになっていると思いますか」

 孫は投げかける。今までは何かを創造したり、感情を持ったりすることは人間の特権だと考えられてきたが、今後はコンピュータも人間同様に考え、心を持つ可能性は否定できない。

 教育、介護、医療など様々な面において、高性能コンピュータを搭載した知的ロボットが人間の助けとなる時代。アトムやドラえもんも、あながち漫画の世界だけの存在ではなくなってくる。コンピュータ同士が何千キロという距離を越えて無線で繋がり、そのチップを介して人体同士がテレパシーで交信できるようになるかもしれない。ほとんどSFの世界だが、遠い未来を見据える孫の目は本気そのものだ。



新たなる30年へ

 2010年、ソフトバンクは新30年ビジョンを作成した。実は、孫が30年ビジョンを掲げるのはこれが2度目。創業時、重ねたミカン箱に乗って行った朝礼で今後30年のビジョンを熱く語ったのが最初だ。

「当時、社員はわずかに2名。私の熱弁を聞くと、とんでもない男に捕まったと恐れをなして両人とも辞めてしまいました(笑)」

 確かに孫の30年ビジョンは気宇壮大に思えることもしばしばだが、300年後の話をされた後に聞くと至極当然のことのように思えてくるから不思議だ。これも孫一流のプレゼン術と言える。

 孫は、30年後は今以上に情報化社会が進行していると予測する。スマートフォンの記憶容量は現在の100万倍となり、通信速度も飛躍的な進化を遂げるだろう。一つの端末に、無限大と言っても過言では無いほどの情報量を入れられるようになる。

 それほどの記憶容量と処理能力がスマートフォンに搭載されることを考えると、インターネット上にデータを保存したりできるクラウドサービスも同様に底無しのサーバ空間を提供可能となり、人々のライフスタイルは劇的に変化していくことは目に見えている。クラウドの発達によって、多くの人々がこれを活用することで生まれるビッグデータも、これまで以上に膨大となっていくだろう。


新たなる30年へ

ビックデータを有効活用

ソフトバンクは、ビッグデータを自社最大の弱みとされてきた電波改善に活用した。世界で初めて、競合相手のユーザーの接続状態まで含め、1カ月でのべ7億5000万台もの通信履歴データをかき集め、リアルタイムで分析を行った。

 各社のユーザーがどこでどのように動き、インターネット通信を行い、そこで電波が繋がったか否かまで、全て解析している。従来は、「200カ所で調べました」「1000人に聞きました」といったアナログで限られたデータを情報として扱っていた。そもそも、ひと月に7億5000万件ものデータを収集するなど、物理的にも経済的にも不可能だったのである。しかしビッグデータを活用することで、いつどこで接続不良が起こっているかを徹底的に調査し、限られた設備投資の中で最も効率的な場所に基地局を立てていった。ソフトバンクの電波が飛躍的に改善していった背景には、ビッグデータに基づいた科学的アプローチがあったのである。

 さらに、もう一つのビッグデータとしてソフトバンクが解析を重ねてきたのが、ツイッターの「つぶやき」である。投稿内の言語を前向きな賛辞と後ろ向きな批判に分けてグラフ化し、会社の節目ごとに人々の感情を測っている。お客が、本当に電波が改善していると実感しているのか、2013年3月~7月の間に約1億2000万件もの投稿を分析することで読み取り、さらなる改善に繋げてきた。

 「クラウドは人類最大の資産」と豪語する孫。その言に相応しく、ソフトバンクはクラウドの発達で生じたビッグデータを最も有効に活用している企業に相違ない。



情報革命で人々を幸せに

ソフトバンクの目指す情報革命。孫を動かす原動力はいったい何なのか。

「人々の暮らしをより豊かにし、幸せを提供するのが真の目的」と孫は繰り返し述べる。そのためにも自社は成長し続けなければならないというのが、孫の持論だ。

「挑戦することで、初めて見えてくる景色がある」

 これまでのソフトバンクの歩みを見れば、その言葉に偽りは無いのだろう。本イベントの約2週間前、7月11日にはスプリント社の買収を完了。本格的にアメリカへと進出を図り、文字通り世界企業を目指す。

「挑戦する者にのみ未来は拓かれる」

 行動に裏打ちされた孫正義の叫びは、確かな説得力をもって、多くの来場者の心を打ったことだろう。世界に挑むソフトバンクの挑戦は、まだ終わらない。



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