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トピックス -企業家倶楽部

2013年10月15日

西海岸でキャッシュレス生活を体験/MOVIDA JAPAN代表取締役兼CEO 孫 泰蔵

企業家倶楽部2013年10月号 孫泰蔵のシリコンバレーエクスプレス


先日まで、私は10日間ほどサンフランシスコに滞在していましたが、現金を1ドルも使いませんでした。しかし何不自由なく生活出来たのです。いわゆるキャッシュレスの世界です。ここまで高いレベルになっているとは正直驚かされました。

空いた家を貸すサービス「エアビーアンドビー」

私は海外に出張する際ホテルには泊まっていません。エアビーアンドビーというサービスを使い、格安で宿泊しています。これは「部屋を貸したい人と宿泊したい旅行客をマッチングする」サービスです。部屋を貸す側が長期間旅行で自宅を空けていたり、別荘として所有している家屋を旅行者に貸し出し小遣い稼ぎが出来るのです。一方、宿泊する側はホテルよりも格安の一泊1ー2万で宿泊でき、2人で泊まれば一人あたりの出費はさらに安くなります。ホテルの空き部屋がない時や、目的地の近くにホテルがない時に有効です。また、実際使われている家屋に住むわけですから、電気ガス水道完備。キッチンも外から食材を買ってくれば自由に料理が作れ、広いリビングがある家はミーティング、仕事にも利用できます。


 今では3万4千都市、192ヵ国でサービスを展開しており、東京の渋谷にも進出しています。住居者は家を貸し出す前に「我が家の使い方説明書」なるものを用意し、必要となる情報を書き残しておきます。宿泊代は事前に宿泊期間を伝えておくだけで自動決済され、現地についてからチェックイン、チェックアウトの確認はありません。宿泊代は契約が正式に完了するまでエアビーアンドビーが仲介し、万が一、宿泊先が気に入らなかった場合は、エアビーアンドビー本社の方に連絡すれば、家のオーナーの方にキャンセルの旨が伝わり、代金は全額返却されます。また、 ゲストが家具を傷つけてしまった場合も契約に従い自動で代金引き落としになるのでオーナー側も宿泊者側も互いに安心です。小難しい手続きも必要なく、宿泊期間を終えたら出て行くだけ。その場で金銭のやり取りもありません。常識では考えられないようなサービスですが、私自身半年前から利用して便利だと実感しています。

 ゲストに対してオーナー側が「宿泊させない」と判断した場合はオファーを断ることも出来ます。このサービスはフェイスブックで紐付ける様になっており、オーナーは宿泊のオファーがあった場合、宿泊を希望している人のフェイスブックを閲覧することで泊まらせても問題のないゲストかどうか判断できるのです。人柄がわからなかったり評判の悪い人は断られるようです。私が今回泊まりに行った家の家主とは偶然フェイスブックで共通の友人が3人いました。宿泊場所を提供してくださった方はオランダ人とドイツ人のご夫妻だったのですが、宿泊の際、ぜひ私に挨拶したいとの事でお会いしました。彼等は日本が好きで今度日本に旅行に行きたいと話していましたね。泊まらせていただいた家は、サンフランシスコの小高い丘の上にあり、海が見える素敵な場所でした。ベッドルームが二つあり、ガレージも自由に使える好条件。タオルやシーツなど生活用品等も家主の方があらかじめ用意してくれていました。

 エアビーアンドビーの名の由来は「ベッドアンドブレークファスト(朝食ありの宿泊)」です。ビーアンドビーという単語自体がホテルを表しており、それにエア(擬似的である)を掛け合わせてあります。最初にこのサービスを考案した創業者、ブライアン・チェスキー氏は投資家に企画を持ちかけたところ、「馬鹿じゃないか!見ず知らずの他人に家を貸す人なんているわけがない」と断られたそうです。たしかに常識から外れたクレイジーなアイディアです。私が投資家だったとしてもおそらく投資しなかったでしょう。しかし今では、米国の有名なVCであるYコンビネータ?を始めセコイア、アンドリーセン・ホロウィッツ、個人ではアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が出資しています。未上場の企業ですか、今後の動向に注目していきたいです。



便利なハイヤーサービスユーバー

 宿が確保できても移動手段がなければ困ります。そこで使うのがユーバーというサービスです。アプリを起動し自分の位置情報と目的地を送信すると、付近を走行しているユーバーを利用するドライバーから迎車のオファーがあり、各々提示した代金が明記されます。その中から運転手を選ぶことで、その選択されたドライバーが迎えに来てくれるシステムです。迎えに来る車は、普通の乗用車であり、アプリを通した両者合意の上で契約が成立します。運賃はドライバーによって異なりますが、近場であれば4ドルほどです。しかも支払いに同意した時点でアプリによって自動でお金が引き落とされ運転手に支払われるので、現金のやり取りは発生しません。少し値段が高くなる場合もありますが、グレードの高い車種の指定呼び出しも可能です。誰でもドライバーになれるため、本業がハイヤーのドライバーでも暇があるときにユーバーを使って小遣い稼ぎをしていることがあります。

 ユーバーにはドライバーごとに5点満点のレビューが設けられており、優良なドライバーであるほど評価が高くなります。しかし、格付けとして、ポイントが4.6を下回るとユーバーのドライバーになる資格を剥奪されます。本職のタクシードライバーよりも気を使わないとすぐクビになってしまうのです。また、トラブルが発生した場合の損害は全額運営会社が補償する仕組みを徹底し守る工夫をしています。



スピード会計、先進的カード決済

 先日、アップルストアに充電器を買いに行ったときのことです。店員に案内され商品を手にした私が見たのは、 iPhoneにカードリーダーを接続し、客からクレジットカードを受け取って会計を行っている店員の姿でした。現金のやり取りをすることも、カードのパスワードを入力することもしていません。買う商品を確認しリーダーにカードを通すだけで会計が終わっているのです。本当にこれだけの手順でよいのかと不安になりました。レシートは紙で渡されることなく、メールで送信されてきます。その後スターバックスコーヒーでも買い物をしましたが、そこでもカード決済のみでした。特別なサービスの登録は一切必要ありません。使用しているカードも日本で使っているものと同じ。単に会計の手順が短略化されているのです。

 滞在した10日間、宿はエアビーアンドビーで見つけ、移動はユーバーで募る。買い物の会計はカードで充分。これらのことから、カード1枚とスマートフォンさえ持っていれば財布不要の時代が来ていると私は実感しました。技術に関して頭では理解しているつもりでしたが、実際に体験してみると驚きを隠せません。日本では問題視されるがゆえに取り込みにくいサービスばかりですが、運営方法や補償によってうまく機能している実例があるのです。

P r o f i l e

孫 泰蔵(そん・たいぞう)

1972 年、福岡県西新生まれ。佐賀県鳥栖育ち。96 年、東京大学在学中に、日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」のコンテンツ開発のリーダーとしてプロジェクトを総括。その後、数々のインターネットベンチャーを立ち上げ、日本のネット業界の活性化に貢献。2009年、MOVIDA JAPAN 株式会社を設立。これまでの成功体験と失敗経験を活かしてベンチャー企業の創業・育成支援を手がける。現在、若手ベンチャーへの支援プログラム、Seed Acceleration Program を推進。



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