• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2013年10月22日

独創の技術で医療革命を目指す/大研医器株式会社 代表取締役会長 山田 満

企業家倶楽部2013年10月号 今、日本を最も面白くする企業家たち


コメンテーター:徳永卓三(企業家ネットワーク社長)

キャスター: 宮舘聖子

この記事は、BS12TwellV 火曜7 時30 分から放送中のワールド・ビジネス・チャンネル同名番組を紙面化したものです。今、日本を最も面白くする企業家の熱きドラマです。なお、過去放送分も含めた当番組の全てのラインアップは、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。(http: / /kigyoka.com)



医療機器の国産化にむけて

 医療業界では販売と製造を別々の企業で担当するのが通例です。しかし、大研医器は先端医療機器の製造と販売を一貫して手がけています。医療を通じて社会に貢献するため、日々邁進しております。当社の製品は主に手術の現場において活躍しています。主力製品であるフィットフィックスは国内市場シェアの75%を獲得することができました。フィットフィックスとは、手術中に患者から出る排液によって医療スタッフへ病気が感染することを防ぐため、排液をボトルに集約し、凝固させ、焼却する世界初の技術が搭載された製品です。開発当初は、実験に必要な排液を、人間のものを使うわけにはいかないので、牛の処理場に足を運び、牛の排液から調達していました。苦労しましたが、振り返ると、これが事業の始まりでした。

 現在、現場で使われている医療機器の7割が輸入品となっています。しかし我が社では、この状況を打破するべく、国産化を目指しております。というのも、欧米人と日本人では体力、体質、体格等の違いが著しいという現実があります。日本人が欧米人の規格に合わせた輸入医療機器を使って治療を受けるのは、少なからず負担になるのです。そこで当社は日本人に最適な国産医療機器の開発、シェアの拡大を目指しております。おかげさまでフィットフィックスは輸入品を抑えて先行しており、手術の現場で活躍しています。


医療機器の国産化にむけて

氷が融けたら何になる?

我々は医師が困っていることをいち早く商品に反映させるため、日々の開発に力を注いでいます。日々の開発の原動力となっている我が社の強みは「素朴な疑問から新たな発想が生まれる」ということです。大研医器の社員は、常に素朴な疑問を頭に入れながら過ごしています。更には、自分の中で不思議を形にして、発想を生み出していく「工作教室」という独自の取り組みも行なっています。「工作教室」は研究員に、人真似をしない独自の発想力と、遊び心を備えて欲しいというメッセージも込められています。大研医器の研究者たちには「氷が融けたら何になる?」という問いに対して、「水になる」といった一般的な答えではなく、「春が来る」といった豊かな発想力が求められる。人間味が溢れるような独創性を備えて欲しいのです。

1を2乗する

 2012年に第14回企業家賞を頂いた際には、他の受賞者から感じた独創性に感銘を受けました。更に自分の事業を拡大しようと、身が引き締まる思いでしたね。私の好きな言葉は「独創的な発想でオンリーワンを貫き続ければ、ナンバーワンに近づける」であり、好きな数字は「1の2乗」です。「オンリーワンの1とナンバーワンの1」を2乗するという意味を込めています。我々は独創性を貫き、オンリーワンを目指すことで、ナンバーワンに近づいています。また、我が社のブランド名であるクーデックですが、「クーデター・バイ・テクノロジー」という医療機器の革命を目指すという思いを込めています。

 こういった考えのもと、大研医器の理念でもある「社会に貢献する」という使命を全うしています。命を助けるという社会貢献度が高い仕事に社員一同、やりがいを感じております。痛みがやわらぐと、活力が生まれます。大研医器では、その痛みを無くすことを原点と考えて、痛みを和らげるペインクリニックという麻酔の分野にも注力してきました。ゆくゆくは、痛みを数値化する技術を開発して、これまで以上に痛みを根絶する足がかりにしたいと考えています。我々は医師と協力して、医療機器を開発し、薬も併用して、患者の速やかな社会復帰を実現するため全力で取り組んでいるのです。



医師と対等な立場を築く

よりよい製品を開発するためには医師と対等な立場を築くことが重要であると我々は考えています。医師と密にコミュニケーションを取って、要望をより製品に取り入れながら、製造側からも要望や主張を通すことができなければ、よりよい製品を作ることは出来ないのです。我々は医師と対等な立場を築くため医学の鍛錬にも力を入れています。現世で一番の精密機器は人間であるといえるでしょう。すなわち、人間を治すための医療機器は同じく精密機器なのです。そうした製品の開発には、人間工学や生物学、電子などの様々な要素技術の駆使が求められます。そして当然ながら、医師とのコミュニケーションにも繋がる医学の知識も必須です。つまり我々の研究には膨大な知識の会得や、あらゆる技術が必要なのです。もちろん、こういったものを自分の身に蓄積する過程は困難を極めるわけですが、人の命を救う精密機器の開発には欠かせません。

世界中から痛みを無くすために

 大研医器を創業したのは私が34歳の時です。それ以前、私は16年間NTTに勤務しておりました。しかし、退職する4年前から起業したいと思い始めていたのです。ちょうどその時期と同じくして、自分はNTTの仕事に合わないのではないかという疑問も持ち始めていました。

 医療業界で起業にチャレンジするに至ったことには理由があります。私はNTT組織内の逓信病院で勤務しており、主に医療機器の購買手続きを行っていました。医師は医療機器に対して並々ならぬこだわりを持っているので、指定の機器を用意できないと治療に支障が生じます。小売業者は機器の取引に妥協できない病院側の事情を熟知していて、取引の際に高い価格を提示してくるのです。この杜撰な状況にビジネスチャンスを感じました。こうした背景もあり、現在私たちは製造と販売を一貫して手がけているのです。

 創業当初は購買手続きと研究開発というかけ離れた職種が並存することに伴う齟齬のせいか、スムーズに事業が展開しませんでした。まず医療機器の小売業からスタートし、2年間続けたものの、思いのほか老舗に顧客を奪われてなかなか上手くいきません。そのせいで資金不足に陥ったため、当初はアイデアを提供して、大手の技術力・資本力で医療機器を製造し、販売元を受け持つという形の事業展開でした。長い道のりでしたが、この方法で徐々に資金を調達していき、1990年2月に初めて自社製品であるフィットフィックスを開発することに成功したのです。

 大研医器は現在、麻酔の分野でも大きく進出しています。看護師がいない状況でも痛みを緩和することを目的としたPCA装置を開発しました。PCA装置とは、いつ、どのくらい患者が麻酔を投与したか分かる装置です。この記録をもとに、患者の痛みを取り除くための思案がなされるわけです。更に最近では外科領域にも進出し、低侵襲治療に着手しております。低侵襲治療とは、時間短縮により手術における患者の負担を減らすための技術です。少しでも外科手術に対する患者の不安やリスクを減らすために、この分野でもいち早く躍進したいと考えております。



大いに研究する大研医器

 我々は医師との出会いが製品開発の出発点であると考えております。そんな医師の依頼がきっかけで、日本で初めてのクリーンルームを製造することに成功しました。最初は日立の移動用クリーンルームに着目し、手術用に応用することが可能であることを発見して、そこから開発を進めました。好評ではあったのですが、医師から大研医器製のクリーンルームを作るように叱咤激励を受けたのです。医師との出会いが出発点であると考える我々は、当然その依頼を完遂しました。こうした真摯な姿勢から医師との信頼関係が構築されていったのです。この信頼関係は、当然ながら医師と製造元が対等な立場を築く上でも重要となります。

 大研医器は麻酔の領域で、多くの医師から信頼を得ております。昨今、麻酔の形態も変化を呈しています。これまではガスが主流でしたが、拡散が早いという理由から静脈内注射が主流になっているのです。実は麻酔も海外製品がシェアを占めています。ゆえに大研医器では総力をあげて、麻酔の国産化に取り組んでおります。このような麻酔領域で培った信頼を礎に、外科領域をはじめとする様々な領域に拡大していく展望です。

 この展望を実現させるには、やはり社員の独創的な発想が必須です。そのために、社員には何にでも興味を持ち、自分で作ることを普段から意識していただきたいと思っています。大研医器の独自性は精密機器の複雑な設計と発想を可能としているのです。豊かな発想を生み出すため、私は自由闊達な社風を意識しています。

 2010年10月に、我が社は目標であった東証一部上場を果たしました。優秀な若い人材が集まってくることに期待が集まりましたが、おかげさまで優秀な大学生が何千人という単位で、大研医器に就職を希望してくれました。この集まった優秀な人材をどのように育成していくかが今後の課題です。例えば、一年間病院で研修させて、実際の現場で多くのことを学ばせる取り組みを考えています。こうした施策を通して、原点から何かを創出していくことができる人材を育てるのが現在の目標です。

 大研医器の由来は「大いに研究する」です。今後も医学をさらに学び、切磋琢磨していくことにより、日本の医療機器で世界を凌駕していこうと考えております。そして世界中に大研医器を展開して、ますます大いに研究する企業としていきたいです。

Profile

山田満(やまだ・みつる)

1932年(昭和7年)大阪府生まれ。45 年、堺職工学校(現:堺工業高校)入学。51 年、電電公社近畿電気通信局(現:NTT西日本)入社。68年、資本金100 万円で大研医器を設立し、医療機器の仕入れ販売を展開。72 年、日本初の外科用クリーンルームを販売。81年、三菱レイヨンと防塵マットを共同開発・販売。90 年、院内感染予防機器「フィットフィックス」開発・販売。12年、「第14 回企業家賞」受賞。



  • DEGITAL DATA SOLUTION
コメントをシェア

骨太対談
DEGITAL DATA SOLUTION
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top