2013年11月08日
シンプルに価値あることを追求/俺の株式会社常務取締役 安田道男
企業家倶楽部2013年12月号 俺の株式会社特集第3部 編集長インタビュー2
坂本、安田、森野による最強トライアングルで、外食産業に旋風を巻き起こす俺の株式会社。原価率80%の店舗をも可能にするのは、次期社長として会社を引っ張る安田道男の頭脳だ。彼の緻密な計算により導き出される安田論は、常に経営戦略の要となる。そんな安田が一途に見つめるのは、坂本孝の人柄だったーー。( 文中敬称略)
問 俺のシリーズは大盛況ですが、現在の状況をどのようにお考えですか。
安田 素直に嬉しいです。ヒットの要因は、シンプルに価値のあることを追求した結果だと考えています。私たちのビジネスモデルは奇をてらったり、流行に乗ったりしていません。一流シェフが良質な食材で作った高級イタリアンやフレンチをお客様に安価で提供するという本質的に価値のあるサービスを追求しています。
問 俺の株式会社に安田常務が加わることになった決め手は何ですか。
安田 坂本社長の魅力が全てです。「みんなが幸せでないと面白くない」と心の底から思っていらっしゃるのが、言動や行動から伝わってきます。社長はシェフや社員への気遣いも尋常ではありません。また、ブックオフの創業者であるという実績があります。それだけの能力や経験があり、人柄も素晴らしい方が新しいことに挑戦しようとしていれば、一緒に行動したくなるのは当然でしょう。
問 坂本社長の人柄を象徴するエピソードを教えてください。
安田 数え切れないほどあります。例えば、パートの方が怪我をした時に、社長が自ら病院に連れて行きました。他にも俺のシリーズに入りたいというシェフが居れば、社長は個人的にお酒の席を設けて仲良く話をします。初対面でもオープンに接した上で相手の話を充分に聞いて、納得してもらってから会社に迎え入れます。
問 坂本社長から直々のオファーを受けるとはいえ、立ち飲みスタイルの店で格安料理を提供することに関して、一流シェフたちは抵抗がありませんでしたか。
安田 確かに、あのシェフは格下の店に下ったなどと言われるリスクはあるかもしれません。しかし、回転率を上げるので忙しくはなりますが、食材や調理器具のクオリティを落とすことは一切ありません。「美味しいものを多くの人に食べてもらいたい」。こういった料理人冥利に尽きる想いに共感してくれたシェフだけが、現在私たちと志を共にしています。俺のシリーズで働いているシェフは、例外なく人柄が良い本物の料理人といえるでしょう。私たちのビジネスモデルは、シェフの採用基準という役割も果たしているのかもしれませんね(笑)。
問 一流シェフたちは俺のシリーズで、どのように働いていますか。
安田 より多くの人に喜んでもらえれば本望だという想いで働いているシェフばかり居るので、これは無理だろうなと思われるようなことも意外とスイスイ乗り越えられます。例えば、俺のイタリアンJAZZがそうでした。かなり狭いお店なので、名だたる料理人が5人も一緒に仕事をしたら喧嘩になってしまうのではないかと心配しました。各人の料理への拘りがぶつかったりしそうですもんね。
ところが、蓋を開けてみると、予想に反して非常に上手く店が回りました。皆がお互いを立てて得意料理を出し合うような、良い関係性が生まれています。
問 俺のシリーズにおいて、シェフにとっての魅力は何ですか。
安田 若い料理人を20ヶ月で一人前の料理人にする教育プログラムを作っています。一般的に、新人が料理の世界で一流になるには10年が必要です。しかし社長は2年もかからないプログラムを作ると闘志を燃やしています。辻調理学校を卒業し名のあるお店に入って、張り切っている若者が、「まずは皿洗いをしながら社会の仕組みを覚えろ」などと言われたり、料理長に気に入られなかったため、ぞんざいに扱われてしまうような現実も少なくありません。こんなことでは料理が上手くなるわけありませんよね。私たちの適切で合理的なプログラムによる教育を受けて、若者が早く美味しい料理を作れるようになることを望んでいます。
問 新人の教育については、一流シェフの皆さんも共有している考えなのですか。
安田 もちろんです。企業において人材育成は最も重要な課題の1つですから。とはいっても、10年以上厳しい想いをした上で現在に至る一流シェフたちに、プログラムでの合理的指導を導入してもらうのは中々デリケートな問題です。若い人が早く成長するということは、教える立場のポストが危ぶまれることにもなりかねません。低賃金の優れた人材が増えるということですから。そんな中、坂本社長はシェフたちにプログラム教育を押し付けるようなことは決して行いませんでした。しっかりと一流シェフ一人ひとりと向き合って「指導してくれた実績を必ず評価するから、シェフに窮屈な想いをさせることは有り得ない。俺の株式会社が世界に拡大するためには、人材育成が必要不可欠だから協力して欲しい」と諭したのです。
問 坂本社長の経営者としての魅力は何でしょうか。
安田 フランクな口調で場を和らげてくださいます。例えば社長がよく使うフレーズに「ジャブジャブ」があります。俺のシリーズは原価率が高いことで有名ですが、社長はシェフたちに「材料はジャブジャブ使え」といった具合に笑顔で接します。自ら率先して社員が話しやすい空気を作ろうとしているのでしょうね。お酒が入った坂本社長に「ワンワン」と投げかけたら「ニャンニャン」と楽しそうに応じてくれたエピソードもあります。変化球で「チューチュー」と返してくれることもあるそうです(笑)。
問 トップが率先して会社の雰囲気を良くしようとするのは良いことですね。
安田 そうですね。社長は命令系統として社員とコミュニケーションを取るよりも、ユーモアや冗談を交えながら話しかけやすい存在である方が、現場からアイディアが出やすいに決まっていますよね。どんなアイディアでも社長は笑顔で真剣に向き合います。人間というのは、たった一言で気を悪くしたり、逆にやる気になったりするものです。社長はその辺をとても気遣った振る舞いをします。
また、戦略の方向を間違えないことも会社の雰囲気を良くするには重要です。間違った戦略を取ったことで、会社の士気が落ちると社内がギスギスしてしまいますから。社長は常に世の中へのアンテナを張って、会社の戦略を一生懸命考えています。
更にスゴいところは、その戦略を面白おかしく実行に移すところです。これがなかなか難しいんですよ。
問 最後に坂本社長へのメッセージをお願いします。
安田 あと27年間は、引退なんて言わせません。100歳まで頑張ってください(笑)。私も精一杯お力添えをさせて頂きます。
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