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トピックス -企業家倶楽部

2013年11月12日

日本に縛られること無くアジアへ羽ばたけ/アジア経営者ビジネスサミット

企業家倶楽部2013年12月号 ベンチャー・リポート


9月17 日、アジア経営者ビジネスサミットが東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京にて開催された。同サミットは、アジアビジネスに関する経営者の交流イベントとして、アジア経営者連合会が設立5周年を記念して主催したもの。エイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄と経済産業大臣の茂木敏充が基調対談した他、数多くのベンチャー企業家がセッションを行った。懇親パーティも催され、日本や中国、韓国はもちろん、インド、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなど、アジア各国から訪れた多くの経営者が交流を深めた。(文中敬称略)



アジアの時代が到来

 アジアの時代が、今まさに訪れようとしている。30年前、富裕層を除けばほぼ皆無であったアジア各国からの海外旅行客だが、今では日本を抜いている国も多い。エイチ・アイ・エスのタイ支店やインドネシア支店も、10名程度だった職員が今では400~500名になっている。モンゴルの成長も顕著だ。社会主義国として輸出はゼロに近かった同国だが、今や歴とした鉱物資源大国。エイチ・アイ・エスを率いる会長の澤田秀雄が窮地を救ったハーン銀行も、モンゴル随一の銀行として見事に復活を果たした。利益も預金高も以前とは比べ物にならない。

 中国とインドも合わせると、アジアのマーケットは日本の20倍以上。間違いなく、今後世界一の経済圏になるだろう。ただ、そうした今日だからこそ、アジアに1000万社以上ある中小企業とその経営者が助け合い、来るべき新時代を創らなければならない。今回のサミットも、そうしたアジア経営者連合会の思いから始まった。

 少子高齢化で日本の人口が減少する一方、東アジアでは人口が増え続け、若い世代が育っている。日本に無い大きな需要がそこにはある。反対に、日本の技術力でアジアの国々の発展を支えることが出来る。両者両得の関係が築けるはずだ。「将来的に大きなアジア経済共同体ができることを考えれば、今は日本とアジアの国々が助け合っていく基盤を作る大切な時期」と澤田も語る。



アジア進出成功の秘訣

 こうしたアジアの波に乗り、果敢に日本から飛び出していく企業が、どのようにすれば成功を掴めるのか。澤田はその秘訣をいくつか挙げる。

①パートナー選びは慎重に

「企業は人なり」とはよく言ったものだ。いかに現地のパートナーを選ぶかは重要である。これを誤ると、騙される可能性も否定できない。すなわち、いかに優秀な人材を責任者として送り込むかによって将来が変わってくる。担当者、現地のパートナーは慎重に精査する必要がある。

 交渉事は要注意だ。日本ではある程度、信頼関係で仕事が進むが、しっかりした契約を結ばなくては、知らないうちに損をすることもしばしばである。

②日本との違いを認識する

 また、法律、政治、文化、その国によって全てルールが違うということを頭に入れて、事業を展開することが肝要だ。特に、アジア各国にはまだ物流などのインフラが整備されていない部分もあり、日本の常識が通用しないことが多い。その国の現状を把握した上で進出しなければならない。

 特に、発展途上国は日ごとにルールが変わることも珍しくない。その対応をいかに迅速にこなし、かつやり抜くかが勝負のカギを握る。

③諦めずに挑戦する

 文化もルールも異なる海外に進出すると、失敗や問題は当たり前。そうした時、めげずに挑戦を続けられるかが重要である。挑戦無くしては何も得られない。トラブルの時こそ元気を出す。そして事業を展開する限りは、大きな夢と志、確固たる理念をもって進出することだ。

「あとは運ですね」と澤田は大真面目に語る。「努力する人には必ず運が向いてきます。それを見逃さないことです」


アジア進出成功の秘訣

国をあげてアジア進出を応援

 今回のサミットの基調対談では、エイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄と経済産業大臣の茂木敏充がトークセッションを行い、政府として日本企業を応援していく数々の施策が語られた。

 茂木によると、日本政府の方針は3点。まずは、資源開発をはじめとする、民間企業が躊躇わざるを得ないようなリスクを伴う事業に対して、国として保証制度を構築することで、一般企業も進出しやすい環境整備を進める。そして、規制の厳しい国に対しては、ビジネスがしやすいよう、外交活動を通して緩和を働きかける。最後に、海外進出企業を支援するプラットホームをアジア各国で既に立ち上げており、アジア進出を図る企業の相談を受けて情報提供を行う。

 ビジネスのことのみを考えられるような基盤を整え、かつ正確な情報を開示することにより、日本企業のアジア進出を後押しするという。茂木はセッションの最後に「アジアには大きなポテンシャルがある。遅れた分は、倍返しだ!」と言い放ち、会場を沸かせた。


国をあげてアジア進出を応援

多くの企業が世界へチャレンジ

①外食産業

 日本全国に讃岐うどん店「丸亀製麺」750店舗を展開、外食産業の元気印として躍進するトリドール。社長の粟田貴也はこの日のセッションで「日本発フードビジネスで世界の胃袋を掴む」と題して講演した。うどん店は日本国内では1000店が限界で、年間100店以上出店するトリドールにとってはあと2ー3年で飽和状態となる。「縮小傾向にある日本国内にこだわるのではなく、積極的に海外展開に挑む。今は8カ国44店舗を展開しているが、2016年3月末までに海外400店舗体制を目指す」と宣言した。

 出店に当たっては100%子会社、FC展開、現地企業との合弁など様々あるが、外資規制など制約があるため、最もその国に合致した方法を選択する。中国では26店舗を展開しているが、試行錯誤の上、今は合弁で展開、16 年までには100店舗を目指す。タイは外資規制が厳しいためFC契約で。韓国は15年には50店舗に、ロシアはモスクワ店が大変盛況のため、18年には100店舗体制に。インドネシアは国民の86%がイスラム教徒だが、ここを足掛かりに中東などイスラム圏への進出を図る。うどんにこだわることはせず、米国では居酒屋を買収、ファーストフードを思案中。今後は海外に軸足を移し、世界に認められる外食企業を目指すと夢を語った。


多くの企業が世界へチャレンジ


②先端医療

 日本人の死因の3分の1を占める「がん」。そのメカニズムを研究することにより新しい治療法を開発、提供しているのがテラだ。率いるのは元外科医の企業家、矢崎雄一郎。契約医療機関における約7000症例の樹状細胞ワクチン療法実績は、国内最大規模の症例数を誇る。

 通常、異物を攻撃するリンパ球に対し、攻撃指令を行う役割を持つ樹状細胞だが、がんは自分自身の細胞が変化して生じるため、樹状細胞はがんを異物として認識できなかった。そこで、体外において人工的に樹状細胞ががんを悪性物質として認識するよう仕向け、患者の体内に戻すことで、自分の細胞を使って作製したワクチンを用いるオーダーメイドのがん治療である

「樹状細胞ワクチン療法」を発案。がん細胞だけを「狙い撃つ」点で、正常細胞を傷つけない、身体にやさしい治療法であり、患者の免疫機能を最適化・最大化させてがんと闘うことを可能とした。

 矢崎は第15回企業家賞においてチャレンジャー賞を受賞している。今後、アジアにも樹状細胞ワクチン療法を広められるよう、チャレンジを続けていくという。

③ベンチャー投資

 ベンチャー投資の部門では、サムライインキュベート代表の榊原健太郎によるプレゼンテーションが行われた。講演タイトルは「できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える」。新たなビジネスアイディアを生み出すためには、政治、経済、社会、技術の視点から5~10年後の世の中を考え、当たり前を壊していかなければならない旨を、自らの体験やユニークなサービスを展開している支援先を例に語った。

 後半、特別ゲストとして、アニメーション特化型クラウドファンディングサービスを展開するAnip ipoの企画者である平皓瑛も登壇し、日本のアニメーション業界の抱える資金面、人材面、デジタル化対応面、問題や、今後のサービス展開についてのプレゼンを行った。

④スペシャルセッション

 スペシャルセッションでは、「日本発のビジネスでアジアにチャレンジ」と題して、エニグモ代表の須田将啓、ユーグレナ社長の出雲充、地盤ネット社長の山本強による合同講演が行われた。各々今後のアジア展開にかける熱い想いを共有する場となった。

 第15回企業家賞にてベンチャー賞を受賞した出雲は今回の登壇で、ミドリムシに対する誤解、秘められた多彩な栄養素が世界において栄養失調で苦しめられている人々を救う可能性があることなどを力説した。

 その他、ベトナム、フィリピン、ミャンマーなど、アジア各国から参加した企業家が、各セッションで講演を行った。懇親会でも数多くの経営者たちが国境を越えて親睦を深め、サミットは大盛況のうちに幕を閉じた。



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