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トピックス -企業家倶楽部

2013年12月12日

使用されていない商標登録の取消審判/クレア法律事務所弁護士 佐藤未央

企業家倶楽部2013年12月号 ベンチャー企業の法務心得 vol.23


 商標法50条1項には、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と定められています。

 本件は、X社が、Y社の登録商標(「rhythm」の文字が横書きされた商標(本件商標))について、不使用を理由として登録の取消しを求める審判請求(本件審判請求)をしたところ、特許庁が同請求は成り立たないと審決(本件審決)したため、これを不服としたX社が、本件審決の取消しを求めたという事案です。なお、本件商標は、平成17年9月16日、「履物、乗馬靴」を指定商品として登録されています。

 裁判所は、Y社が、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標そのものは使用していない一方、「NEORHYTHM」又は「NEO RHYTHM」の文字からなる商標(使用商標)を使用していたと認定しました。




 使用商標が本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標といえるかの点については、商標法50条1項にいう「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」とは、(1)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(3)外観において同視される図形からなる商標又は(1)ないし(3)に準ずるような、これと同程度のものをいい、「類似」の商標は含まれないとの基準を示しました。

 その上で、本件商標は、「rhythm」の文字からなり、「リズム」という称呼を生じ、「リズム」、「調子」という観念を生じるのに対し、使用商標は、いずれも、「NEO」の文字を伴って、「NEORHYTHM」又は「NEO RHYTHM」の文字からなり、「ネオリズム」という称呼を生じ、「新しいリズム」、「新しい調子」という観念を生じると認定しました。また、使用商標は、「NEORHYTHM」又は「NEO RHYTHM」の文字からなり、「NEO」の文字は白抜きで籠字風に表され、「RHYTHM」の文字は塗り潰しのゴシック体風の文字で表されていると認定しました。

 結論として、裁判所は、上記の認定事実から、使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標とはいえず、Y社は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品について、使用商標を使用していたことをもって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたとはいえず、本件審決を取り消すとの判断をしています。

 せっかく商標登録を行っても、継続して3年以上、日本国内において、登録商標を使用していないと、思わぬところから商標登録の取消しの審判を請求されることがあり、この審判が認容されてしまうと、商標登録が取り消され、商標登録にかけた時間と費用が無駄になりかねません。商標登録を行う場合、将来的に当該商標を使用するかどうかの点からも検討が必要です。

※参考にした裁判例:知財高裁平成25年3月21日判決

Profile

システム開発系の企業におけるシステムエンジニアとしての8年間の勤務を経た後、弁護士となる。現在は、主に、ベンチャー企業に対する会社法・金融商品取引法を中心とした法的アドバイスの実施や各種契約書の作成、労働問題などを担当している。平成19年弁護士登録。東京弁護士会所属。



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