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トピックス -ビッグベンチャー

2014年01月30日

希望・早期退職者募集人数

企業家倶楽部2014年1/2月号 数字で読み解く日本経済 vol.9


 かなり前に「自分には嫌いな動物が2種類いる。それは『リス』と『トラ』だ」と言い放った経営者がいた。

 「リストラ」という言葉が世の中に定着してかなりたつ。終身雇用が常識とされてきた戦後の日本で、リストラする大企業はバブル経済崩壊前までほとんどなかった。筆者は1993年に大手電気部品メーカーが管理職を対象に早期退職者を募集したのがリストラの始まりだったと記憶している。

 日本では1年間にどれくらいの人がリストラされているのだろうか。東京商工リサーチが2013年11月に発表した資料によると、13年に上場企業が行った早期退職者募集人数は1万752人(11月8日時点)だった。12年の年間実績が1万7705人だったので、大幅に減少している。アベノミクス効果による為替の円高修正と資産価格上昇で企業業績が上向いているのがリストラ減少の一番の要因だ。失業率や有効求人倍率など雇用に関する統計をみると人手不足感が強まっているので、14年もリストラの減少傾向は続く公算が大きい。

 だが、経済合理性の視点でリストラ減少を考えると、企業にとっても従業員にとっても手放しでは喜べない。なぜか。

 日本企業はなかなかリストラに踏み切れない。正社員をはじめとする従業員を大事にする企業を高く評価する風潮があり、人員削減をする経営者は非情と言われたりもする。経営者が「リスとトラが嫌い」と言ったのもそれが理由だ。だから業績が悪化し、にっちもさっちもいかなくなってからようやく希望退職者を募り始める。

 この段階になると企業には余裕がないので十分な退職金を支払えなくなるのが一般的だ。自社だけでなく、業界全体の経営環境も悪化していることが多いので、転職するのも難しくなる。リストラによる業績改善効果が限られてしまうと、会社自体も生き残れなくなる。それなら業績がよくて余裕があるときや業界全体の経営環境がよいときに「予防的」にリストラをした方が得策とは言えないだろうか。

 商工リサーチの資料を見ると、リストラの人数はほぼ景気の変動と一致する。これは景気が悪くなって業績が落ち込んでからリストラを考える日本企業が多いことを示している。リストラの人数が景気と正反対に変化するようになれば、悲劇に見舞われる企業や従業員も減るはずだ。

 デフレ脱却においてもリストラの増加はプラスに働く。日本経済がデフレに陥っているのは、企業が不採算事業をなかなかやめないので供給が需要に対して過剰になりやすいからだ。リストラは多くの場合、不採算事業からの撤退を伴う。リストラされた人は失業に直面するが、需要の伸びが期待できる分野(介護や保育、観光など)で働くようになれば、経済が失速する危険性は減る。

 もちろん、リストラされた人を手厚くサポートする制度や枠組みは必要だ。むやみに人を辞めさせればよいというわけでもない。だが、何事にも良い面と悪い面がある。毛嫌いするだけでは、大事な点を見逃してしまう。(Y・N)



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