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トピックス -ビッグベンチャー

2013年12月27日

宮崎に1000人の雇用を創りたい/アラタナ 代表取締役 濱渦伸次

企業家倶楽部2014年1/2月号 注目企業


(文中敬称略)

 「2020年までに宮崎に1000人の雇用を創る」と大きな夢を語るベンチャー企業家がいる。EC(電子商取引)支援に特化したサービスを手掛けるアラタナ社長の濱渦伸次だ。21才の時に若気の至りで事業に失敗し、1000万円の借金を背負ってしまうが、複数のアルバイトを兼務し、2年で借金を返済。アルバイト中に任されたネットショップ運営のノウハウを独自に構築し、さらに借金完済の経験から自信を持ち、2回目の起業へ。現在は創業から7年で800社の顧客を抱え、社員は100名弱まで増えた。宮崎発の若いITベンチャーがECの新しい波を捉え、地方から盛り上げようとしている。



ECはモール型からオリジナルショップへ進化


 今から約20年前にインターネットが登場し、商売の形態は様変わりしようとしている。今やネットを活用し、地方の小さな店も場所に縛られることなく日本全国に商品を販売することが簡単にできるようになった。これまでは楽天市場などモール型と言われる大型のネット通販の中に店を出すのが主流であったが、食品もアパレルも共通の仕様で、自由度が少ないという問題があった。一方、店舗毎にカスタマイズできるオリジナルのウェブサイトを作るには数百万から数千万円と制作費が高額であったため、大手に限られていた。

 しかし、そこにビジネスチャンスがあった。アラタナの主力事業であるカゴラボはEC用のオープンソースをベースに開発することでコストを下げ、数十万円からオリジナルサイトを始められるようにした。これまではオリジナルのウェブサイトを制作しようとすると、コストの問題の他にウェブ制作会社にデザインと仕様を依頼し、サーバー保守専門の会社に運用を委託、売上げ増のためにSEO会社やコンサル企業に営業支援を依頼するといった風にそれぞれ別々の会社に業務を発注するという面倒があった。担当者も別々で、サイトの改良や拡張が難しく、対応も遅いという課題があった。アラタナでは、ネットショップの制作から運用、営業支援までをワンストップで解決できるようになっているのが顧客から支持され、売上げを伸ばしている。前期の売上げは4億円、今期は売上げ10億円を見込んでいる。



営業の打合せはネットで

 アラタナの大きな特徴は営業マンが極端に少ないことが挙げられる。拠点は九州・宮崎県にあり、移動が非効率なことから営業マンが顧客先を訪問することはほとんどない。打ち合わせは、電話やメール、必要であればスカイプなどネット通話を使い行われる。

 「ネットショッピングを始めようという会社なので、直接会わずにネットで打ち合わせをすることに抵抗があるお客様は少ない」と濱渦は笑顔で語る。営業部門の人件費を抑えることで、サービスの価格に反映でき、ひいては顧客も喜び、売上げ増に繋がっているわけだ。営業部門は社員の1割程度で、7割が開発のエンジニアやデザイナーが占めるのもアラタナの特長といえよう。

 顧客はネットショップの担当者なので、ウェブでコミュニケーションを取ることは理にかなっているとも言える。800社の導入事例を引用し、顧客とイメージを共有し打ち合わせは進められる。早いもので2週間、作りこんだサイトでも2カ月でオープンに漕ぎ着けることができる。オープン後もサポートは続く。企業を悩ますハッカーの侵入を検知し、防御する機能も備えている。セキュリティーソフトは自前で導入すると月に数十万円も費用が掛かるが、アラタナでは、独自のソフトを開発し、月1万円から提供している。 スタジオも自前で保有し、商品写真の撮影代行も請け負っている。商品写真が綺麗かどうかが売上げに影響を及ぼすからだ。サイトは出来たが、肝心の売上げが伸びなければ意味がない。そこで、営業支援のコンサルティングも始めた。かつては営業支援といえばSEO対策のことを言い他の多くのサイトにリンクを張り、PV(サイト訪問者)を増やすことが主流であった。しかし、アラタナでは本質的な問題解決を目標とし、掲載する商品数を増やしたり、内容を変えるように提案している。

 「アマゾンやアスクルは翌日には商品が届くなど、特徴が明白で、売れる理由がはっきりしている。サービスに特徴があれば地方でも都会でも関係ない」と濱渦は言う。



借金1000万円を完済

 社長の濱渦は、1983年宮崎生まれの現在30才の若手企業家だ。都城工業高等専門学校に進学し超伝導を専攻した。2004年に高専を卒業後はリコーに研究職として就職した。しかし、当時はITベンチャー企業家がメディアで注目されていた時代で、「いつか自分も起業したい」と濱渦は考えるようになった。

 2005年、リコーを退職し宮崎に戻った濱渦は外食のカフェバーを開業するが、ずさんな経営から僅か半年で倒産させてしまった。

 「夜遅くなり気分が良くなるとお酒をタダで振舞ってしまうなど、経営者としては未熟だった」と反省の弁を述べる。

 濱渦は21才の若さで1000万円の借金を背負うことになった。借金を返すために昼間はアパレルショップでバイトをした。夜は別のアルバイトに精を出し、ブライダル用に写真をデザインしてアルバムを作ると1日2万から3万円になった。気付けば100組以上のカップルのアルバムを作っていた。猛烈に働き月に120万円を稼いで、借金は返済できた。



2015年に株式上場目指す

 アルバイト先のアパレルショップではネット販売の担当者になり、サイト構築から運営、綺麗な写真の撮り方やSEO対策などネット通販に関する知識について猛勉強した。そんな中、1着十数万円もするダウンジャケットがネットで売れるのを見て、地方の小さなショップでも可能性があることを知った。また、借金を完済できたことも自信になり、再度起業しようと思い立った。

 宮崎は陸の孤島と言われる。若い人は大学進学や就職で都会に出ていく。商店街はシャッター街となり、お客が少なくなってきているという問題があった。

 「海が近くにあり自然が豊かなところで仕事ができるなら、宮崎に戻ってきたいという人も多いはず。実際に東京からの応募も多い」と濱渦は宮崎に対する郷土愛を語る。ITベンチャーが多い東京で人材募集するよりも宮崎で募集する方が目立って良い人材を採用できることも分かった。

 2020年までに、宮崎で1000人の雇用を創ることを目標に掲げている。2013年9月には、既存株主であるジャフコ、みずほキャピタル、GMOベンチャーパートナーズ3社と新たにNTTドコモ・ベンチャーズとリブセンスから総額5億4992万円の資金調達を実施した。その資金を使い翌10月にはファッション情報サイトを運営するハニカムの株式を取得し子会社化した。ハニカムは月間PVが1600万を誇る国内最大級のファッションメディアで、アラタナのECのノウハウを掛け合わせ、2014年春から「メディア× イーコマース」の新事業を展開する予定だ。

 「2015年には株式上場を目指す」と濱渦は目標を語る。地方発のITベンチャーから目が離せない。

【会社概要】

社 名 ● 株式会社アラタナ

本 社 ● 宮崎県宮崎市錦町1番10号

                 宮崎グリーンスフィア壱番館5階

設 立 ● 2007年5月1日

資本金 ● 2億8273万5000円



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