トピックス -ビッグベンチャー

2014年05月01日

アメリカは既にかつてのアメリカではない/ハドソン研究所首席研究員 日高義樹 氏

企業家倶楽部2014年6月号 著者に聞く


 『アメリカの大変化を知らない日本人』日高義樹 著 PHP研究所 (1500円+税)

アメリカをはじめ、世界は大きく変化している。戦わないアメリカ、事実上のドイツのEU占領、中国の台頭と足元の脆さ、緊張するクリミア問題。その中で日本はどうあるべきなのか。アメリカの政治情勢に詳しい著者が、世界のパワーバランスの変化の中で日本はどう自立していくべきかを語る。



アメリカに頼る時代は終わった

問 「アメリカの大変化を知らない日本人」の趣旨を教えてください。

日高 アメリカはもう日本のことは全く考えておらず、中国のことしか考えていません。アメリカのカネ儲けの対象は今や日本ではなく、中国なのです。未だに日米関係を通してしか世界を見ていない日本の政治家が多い。アメリカが日本を大事にしてきたのは、日本を自分たちの財産だと考えていたから。アメリカは既に変わっています。アメリカに頼る時代ではもうないのです。これまで刷り込まれてきた「日本を守ってくれる超大国アメリカ」ではないことに気付いている日本人は少ない。お人好しすぎます。

問 本のテーマのひとつである米中通貨同盟について教えてください。

日高 世界の経済を動かすために、中国の存在は欠かせません。莫大な財政赤字を抱え、破たんしつつあったアメリカドルの安定と、中国人民元が国際通貨として通用するようになった背景を考えれば、公式発表がなくとも米中が通貨同盟を結んだことは明らかです。アメリカは中国の金融活動の不正を徹底的に洗い出し、汚職政治家たちを脅したようです。同盟後は議会もマスコミも人民元を批判する報道をしなくなりました。オバマ大統領の来日も、日本を大事にしているから来るのではなくて、中国がどうなるかわからないので、日本が余計なことをしないよう釘を刺しに来るだけでしょう。

問 アメリカは中国の何が一番心配なのでしょうか。

日高 中国経済はバブルです。日本をはじめ、ロシアやメキシコ、東南アジアの経済は崩壊を経験しています。崩壊後、それぞれ政府は経済政策をとりました。日本は貯蓄がありましたから黙って耐えました。メキシコとロシアは石油エネルギー開発に注力して建て直しました。東南アジアは中国の下請けとなることで建て直しました。中国は一人っ子政策により老齢化が進み、人件費も上がっています。社会福祉のカネはなく、輸出のための資本投資しかこれまで行ってきていません。世界不況で輸出ができなくなった現在、経済的に打つ手がない状況です。

問 中国経済の今後が心配ですね。

日高 経済的に打つ手がないので、中国は政治的に立ち直るしかありません。今問題となっている銀行や通貨制度を中国共産党がどのように解決するかに注目が集まっています。そもそも、その共産党政権も国民の不満が高まっているため、今後の政権運営に関しては慎重な判断が必要でしょう。そして、それが国民に受け入れられれば中国は立ち直ることができるのです。そのためにも、日本が余計なことをしてはアメリカが困るんです。米中が通貨同盟で相互援助協力体制に入った以上は、日米安保も日本も入る余地はないでしょう。



自主憲法の作成を

問 アメリカに頼ることもできず、近隣国との問題を抱える日本は今後どうしたら良いでしょうか。

日高 自分のことは自分で守るという当たり前のことに着手することです。まずは自主憲法。アメリカから与えられた現憲法ではなく、自らの手で憲法を作成し、主権を取戻す。そしてアメリカと対等な同盟を結ぶことです。これまで日本は楽な生活をしてきました。楽な生活を切り詰めることができなければ国防のための兵器も作れません。自分の財産は自分で守る、至極当たり前のことです。核兵器、長距離ミサイルと戦略兵器などを持ち、抑止力を自分で持つことです。

 アメリカ人は既に戦いたくないと考えています。他国の国民と財産を守るためなら余計でしょう。ロシアによるクリミア侵攻に対してもオバマ大統領は戦わず後手に回り、プーチンにこけにされてしまいました。世界中にアメリカは頼りにならないと印象付けたのです。その責任をとらず、オバマ大統領は経済封鎖を提案しヨーロッパに責任を押し付けようとしています。ですがドイツは経済封鎖に賛同していません。シベリアの石油、ガスをドイツは一手に引き受けてヨーロッパで売っています。EUで最大の経済大国ドイツがNOというなら経済封鎖は行われないでしょう。

問 クリミア半島の問題はどう見ていらっしゃいますか。

日高 プーチンはあれだけのことをよくやりましたよ。スターリンに引けを取らない、いい政治家ですね。歴史を振り返ってみても、悪いやつほどいい政治家なんです。



日本は核武装を

問 日本の核武装にアメリカは反対しないでしょうか。

日高 しません。心理的圧力を感じていることはわかりますが、アメリカが反対するから核武装はできないと言っている人は、自分で責任をとりたくない人。中国がなぜ台湾を占領しないかわかりますか。台湾はミサイルを所持していて、三峡ダムを攻撃されたら中国は簡単に水浸しになってしまう。だから攻撃できない。そのうち、台湾もイランもサウジアラビアも核兵器を所持するようになるでしょう。

問 日本が核武装するとしたらいつ頃でしょうか。

日高 今、核爆弾は誰でも作れる兵器です。ただ濃縮ウランとプルトニウムがないと作れない。この2つを安倍首相はアメリカへ渡すことに同意してしまいました。原発がある限りいずれまた貯まるでしょうが、今なぜアメリカに渡してしまうのか。靖国神社参拝にしても頭が悪い、考えてないとしか思えない。これまでは考えすぎて行動しない政治家が多かったけれど、安倍内閣はその場しのぎで様々な政策を実施している政権のように見えます。

問 日本の政治家にはどんな人物を期待しますか。

日高 どんな人でもいいですが、頭のいい人がいいですね。石油を買うのはアメリカが一番安い。シェル石油の採掘と発見の技術はアメリカが持っています。アメリカ人やアメリカがどのように変化しても、技術は変わりません。なのでアメリカとは仲良くすべきです。今は仲が良いわけではなくバカにされているだけ。アメリカとケンカができるのはロシアやブラジルなど天然資源が豊富にある国。だから日本は第二次大戦で負けてしまいました。


 第二次大戦の敗戦以来、日本人は日本とアメリカを同一視しすぎていて、ドルが行くところなら日本円も行くと思っている。どこでもいってやろうじゃなく、結局、アメリカの後を追っているだけです。

問 中国はなぜ日本を敵視するのでしょうね。

日高 隣あわせの大国とは仲が悪くなるものです。地理的に敵となるのは仕方ありません。中国が日本と仲良くしようと思う時は、日本と仲良くならなければ日本に滅ぼされてしまうと思った時だけでしょう。世界の常識の基本は損得勘定であるという事を忘れてはいけません。どの国も基本は仲が悪いもの。いかに利害を一致させるかです。



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