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トピックス -ビッグベンチャー

2014年05月20日

第3のサマンサブームが点火した/サマンサタバサジャパンリミテッド代表取締役社長 寺田和正

企業家倶楽部2014年6月号 トップに聞く2


 昨年創業20 周年を迎えたサマンサタバサグループの勢いが止まらない。2014年3月、主要ブランドの売り上げは軒並み前年比を超え、サマンサタバサ前年比140%、サマンサベガ同170%、メンズブランドのサマンサキングズに至っては同200%を達成した。4月の消費増税後も好調を維持する秘訣を寺田社長に伺った。

 聞き手:企業家ネットワーク社長 徳永卓三

 



第3のサマンサタバサ大きな波

問 昨年創業20周年を迎えられましたが、その後いかがですか。

寺田 非常に良い手ごたえを感じています。第3のサマンサタバサ大きな波と言えるでしょう。

 最初に当社が注目を浴びたのはバブルの頃で、マーケット自体が大きく、百貨店も活気があり多くの平場がありました。2万円から5万円のバッグが沢山ある中で、サマンサタバサは1万2800円という価格でありながらオリジナリティのあるブランドとして人気に火がついたのです。

 第2の波はバッグの市場から同業他社の数が4分の1位になり、平場もドンドン減少していく中、2万5000円のバッグを投入した時です。上場の時期でもあり様々な要因が重なってかなりの勢いで売り上げが急上昇していきました。

 しかし、今回の3番目の波は当社だけで立ち上がった火柱という印象です。以前はバッグが欲しくて迷った結果サマンサタバサを選んでいたお客様が、今は「サマンサが欲しい」と買いに来てくださっています。今冬は週末に2回、都心が大雪で打撃を受け、ファッションビル、百貨店も軒並み売上高が前年比60%位に落ち込みましたが、当社は100%を超えていました。

 マーケットにはほぼ競合がいないと言っても過言ではありません。競合が多いと流行に火がつくのは早いのですが、競合無しで火をつけるのはものすごく難しいのです。でも火がついた。これからはきちんとした商品を作り、着実にやっていけば大丈夫です。

問 第3の波が起こったのにはどんな背景があるのですか。

寺田 色々な要因が重なっていると思います。まずクオリテイコントロールの成果が現れてきたこと。次に販売スタッフと向き合い、昇給や職場の風通しの改善などを行ってきたことが大きいと思います。

問 昨年始めた全販売スタッフ1300人との面談は終わりましたか。

寺田 はい。ネガティブな話を聞きに行くので大変でした。80人位ずつ面談をして、お茶を入れてあげる。終わったら全員と会食し、ゲームをしたり、サプライズのお土産を一人ずつ渡したり、全部自分でやりました。お土産の渡し方まで考えたんですよ。

問 寺田社長が来てくれるとみんな喜ぶでしょう。

寺田 僕だからということではなく、自分の勤務先の社長だから喜んでくれたのだと思います。「会社は販売の人たちの方を向いているよ」というメッセージにはなったでしょう。 

 2013年の販売スタッフの離職が前年に比べて111人も減りました。毎年離職者数が増えていましたから、それが減ったのは本当に良かった。人件費の予算がオーバーするという嬉しい誤算もありました。

 なんだかんだと紆余曲折しながら10年位努力してきたことが、ようやく実を結んできた感じです。これから(サマンサブームの)火柱がさらに上がりますよ。



消費税に勝つのは“愛”だけだ!


消費税に勝つのは“愛”だけだ!


問 今回のブームを起こすために具体的にはどんな対策をしたのですか。

寺田 様々な仕掛けを行っています。テーマは「消費税に勝つのは“愛”だけだ!」。気持ちやムードが最も消費動向に影響します。ならばムードをコントロールするにはどうするかというのを去年1年間考え続けて、やはり「恋愛」がいいんじゃないかと。

 これまでは女性が素敵な女性に憧れるというのがサマンサタバサの枠組みでしたが、さらに異性を組み込み恋愛をテーマにしました。テレビCMもドラマ仕立てにし、芥川賞作家のご夫婦、阿部和重さんと川上未映子さんにオリジナル恋愛小説を書いていただき、お店に来た方に差し上げています。

 読書を啓蒙しようと、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さんにお願いし、サマンサのバッグに合う恋愛小説を店頭でディスプレイしたり、アートを組み合わせたりもしています。

問 CMは誰が出ているのですか。

寺田 トップモデルのミランダ・カーさんとEXILEのTAKAHIROさんです。今回、メンズブランドでは初めてのテレビCMとなりました。

 TAKAHIROさんがプロモーショナルモデルのサマンサキングズは8年程前、若い女性は元気なのに男性は元気がないと感じて、日本男児を元気にするというコンセプトで作りました。それを持つことで女性にもてるとか、自信がつく、というような商品が作りたかった。「キングズ」はキングの複数形で、沢山のキングを作ろうという意味です。

 CMは世界のミューズ(女神)との恋愛がテーマで、「日本男児がんばれ!トップモデルにオーラでも負けるな!」と男性に元気を与えているのか、大変好評です。

 全ての仕掛けが連動していて、サマンサタバサのバッグやCMを見たり、オリジナル小説を読むと自分も恋をしたくなるようになっています。

問 本当の恋愛をしましょうということですか。







寺田 はい。4月3日にはミランダさんとTAKAHIROさんをゲストに迎え「“愛してるって1000回言おう”PARTY」を開催しました。4月1日と2日に買って頂いたお客様から抽選で500組1000名様をお招きしました。中にはサプライズ企画に参加した方もいて、非常に盛り上がりました。ゲストのお二人だけでなく参加者全員が一体となり会場が盛り上がったら、「増税なんてどこか行っちゃえ!」となりますよ。値下げやプレゼントだけでなく、心を満たすということで元気を出していこうと考えています。

問 4月から消費税が8%になったので、なんとなくみんな意気消沈しているところがありますね。

寺田 そうかもしれません。百貨店では高級品が売れますから売り上げが前年を超えていますが、みなさん苦戦されています。一方、当社は3月、昨年比170%の日もありました。

問 増税前の駆け込み需要ということもありますか。

寺田 それは感じないですね。ただ、4月になってムードが下がった分は業績が落ちると思います。マスコミも色々言うでしょう。それでも、当社はイベントで上向きに気持ちを変えていきます。

問 4月は前年比のどのくらいまで売上げは伸びそうですか。

寺田 サマンサタバサ単体ならば110%は確実だと思います。ただ、120%まで行かせたいですね。

問 5月を乗り越えれば、6月くらいからは売り上げは自然に伸びますか。

寺田 ファッションは伸びないと思います。来年また消費税が上がる予定で、不安感がありますよね。だからより選別されていきますね。当社は1年間かけて戦略を練ってきましたから、自信があります。



ブランド間の価格を広げ売り上げ増

問 サマンサタバサの主力商品の価格帯は。

寺田 4万5000ー4万8000円です。決して安くはありませんが、恐らく6万円程度の価値だと受け止められていて、比較的安価に感じられていると思います。だからこそ前年比140%も達成できた。妹ブランドであるベガの価格帯は1万6000ー1万8000円ですが、売り上げは前年比170%、渋谷の109に入っているベガなど同200%に達しています。

 リーマンショック後、ブランド間の価格が近くなりすぎていたのですが、きれいに上下に分かれたので、3番目の柱が立ってきた。メンズブランドも大変好評で前年比200%です。但し、子会社の洋服は少々苦しく、今後も注力していきます。

問 ファストファッションの新ブランド「サマンサ&シュエット」はどうですか。

寺田 飛び切り良いですね。1号店を香港にオープンし、2号店が幕張、3号店が羽生、次が新潟、和歌山とこれからもドンドン出店していきます。

問 どんなコンセプトですか。

寺田 郊外型ショッピングモールで「サマンサワールド」をしっかりと見せていく。サマンサタバサの安い商品をショッピングセンターで売るという考え方ではありません。6800円ー9800円のバッグやスイーツもあり、非常に好評です。

問 サマンサワールドとは何でしょう。

寺田 ナチュラル系、機能系、などがありますが、サマンサ系としか表現が出来ない世界観です。サマンサワールドのリアリティ、すなわち本物感を表現出来れば、バッグの価格が3000円程度とされるショッピングモールとしては決して安くない価格帯でも売れるのです。


ブランド間の価格を広げ売り上げ増

ゴルフはオリンピックを視野に

問 ゴルフに力を入れておられますね。サマンサレディースは3年目ですが継続されますか。

寺田 今後の計画はスケジュールも見ながら考えてゆきたいと思っています。

問 ぜひ続けていただきたいですね。女性のゴルファーは増えているのではないですか。

寺田 おっしゃる通りです。当社所属のプロは3名、ウエア契約選手が3名います。2016年のオリンピックではゴルフが正式種目になるので、それまではやりたいですね。サマンサのウエアを着た選手が金メダルを取るという夢があります。

 ゴルフウエアを扱っている店舗は全国に7店舗あります。3月には東京の東武百貨店池袋店もオープンしました。サマンサオリジナルゴルフクラブの販売など、益々力を入れていきたいです。2020年の東京オリンピックが決まったので、もう1回ブームを作れるかもしれません。

問 海外は合計何店舗ですか。

寺田 サマンサタバサ全体で25店舗です。

問 一番力をいれていらっしゃる地域は。

寺田 中国が中心になりますね。香港店を直営に戻して、売り上げが倍になりました。直営化をドンドン推し進めようと思っています。

 4月にはハワイのアラモアナショッピングセンターにオープンしました。3月にニューヨーク店を一端閉店しましたが、現在は新たな場所を探しています。

問 海外は家賃が高いそうですね。

寺田 日本も高いですが、海外の方が高いです。日本人価格というものあるかもしれません。どこに行っても、「日本人とはこういうものだ」という世界的な先入観が出来上がっていますので、それを背負っていくのは大変ですが、今後もサマンサワールドを海外にも展開していきたいですね。

 P r o f i l e

 寺田和正(てらだ・かずまさ)

 1965 年、広島県生まれ。88年、大学卒業後に商社に就職。91年、独立し海外ブランドの輸入卸で起業。94 年、SPA(製造小売業)に転換し、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド設立、社長就任。05 年12 月、東証マザーズ上場。現在、バッグ、ジュエリー、アパレルブランドを擁し、日本全国に290 店舗、海外に25 店舗を展開。



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