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トピックス -ビッグベンチャー

2014年06月03日

建設業で働く人400万人

企業家倶楽部2014年6月号 数字で読み解く日本経済 vol.11


 朝早く、東京・大手町を歩くと「ニッカポッカ」姿の人がコンビニエンスストアでおにぎりを食べているのを見かける。ニッカポッカとは太ももの部分が膨らんだズボンで、建設現場で働く人の作業着だ。

 東京五輪の開催が決まり、大手町をはじめとする東京の都心部は再開発ラッシュとなっている。オフィスビルの建て替えはもちろん、海外からの観光客の増加を見越したホテルの建設も相次いでいる。環状道路の建設も急ピッチで進められている。

 建設業で働いている人は今どれくらいいるのだろうか。総務省の労働力調査によると、2013年12月時点の建設業の就業者数は400万人。働いている人の約7%に相当する。オフィス街の再開発に加え、戦後の高度経済成長期に建設された社会インフラ(道路や上下水道、港湾、鉄道など)の老朽化対策も迫られている。東日本大震災の被災地では復興に向けた建設工事も盛んに行われており、建設現場では人手不足が深刻になっている。

 建設業で働く人の数が最も多かったのは1996年。バブル経済崩壊後に政府が景気対策の目的で公共工事を増やしたためだ。だが、景気への波及効果が思ったよりも小さかったのと、財政赤字が急激に膨らんだため、公共工事は削減されていった。そこで働く人たちの数も右肩下がりとなった。先ほどあげた400万人という数字は、ピーク時の1996年を180万人も下回る。率にすると約30%のマイナスだ。

 建設業が雇用の受け皿としての力を落としていく中で、雇用を吸収していったのが「医療、福祉」だ。比較対象としてさかのぼれる2002年では436万人だったが、2013年には716万人となった。率にすると約64%増となる。人口の高齢化と介護保険制度の導入で介護がひとつの産業として成立するようになったのが大きい。

 ここで問題になるのが建設現場の人手不足をどのように解消するかだ。時計の針を逆回りにして医療、福祉から労働力を持ってくるというのは現実的ではない。数年後には団塊の世代が70歳を迎えるようになり、介護サービスへの需要はさらに高まるのが必至だ。

 労働力人口の減少の影響を緩和させるには、高齢者と女性の就業者を増やす必要がある。だが、建設業はどちらかといえば男性的な職業であり、高齢者や女性にとって縁遠いと言わざるを得ない。もちろん、女性や高齢者が活躍できるようにするための工夫は必要だし、そこで働く人たちの意識改革も欠かせない。とはいえ、短期的に見れば建設業での人手不足解消策にはなりにくい。

 しかも、今の日本の財政状況を考えると、東京五輪が終わった後も公共工事が積極的に行われ続けるとは考えにくい。外国人労働者に建設現場に来てもらったとしても、彼らに中長期的に雇用を保証できるかは微妙だ。


 即効性があり、中長期の雇用の心配をせずに済む方法はないのか。筆者はロボットをその解決策の候補としてあげたい。建設現場に対応したロボットが開発されて導入が進めば、人手不足解消と安全対策の一石二鳥となる。国内でロボット活用のノウハウが蓄積できれば、海外での転用も可能で、日本の建設会社の国際競争力向上につながる。ニッカポッカ姿のロボットの登場を期待したい。(Y・N)



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