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トピックス -ビッグベンチャー

2014年06月20日

がんを予防できる未来に/テラ株式会社代表取締役社長 矢﨑雄一郎

企業家倶楽部2014年6月号 言いたい放題





 テラでは10年間ずっと樹状細胞ワクチンを使った医療に取り組んでいます。そして、進行中のがんに効く独自の樹状細胞ワクチンを「バクセル」と名付けました。樹状細胞とは、もともと皮膚の表面に沢山いる細胞で、傷口に入った雑菌などの敵を食べる働きがあります。食べた後は免疫細胞が沢山待機しているリンパ節まで行って、「この敵が来たら次は総動員で対処するぞ」と司令官のように情報伝達をしてくれるのです。そして、この働きががんに対しても有効であると証明されています。

 私は東京大学医科学研究所で研究をし、樹状細胞を沢山培養して高品質に作る方法を開発しました。難しい作業ではありますが、テラはこの技術ノウハウと特許を取得していることが大きな強みです。また、症例は8000件にのぼり、世界で1番樹状細胞ワクチンによる治療を行っています。将来的には目的の細胞を自在に操る会社になることを目指しています。

 テラでは長く樹状細胞ワクチン療法に取り組んできましたが、この治療法を医薬品として認めるための法律がありませんでした。細胞を医療に用いるという概念が無かったのです。しかし、昨年末に再生医療の実用化を推進するための「再生医療推進法」と、安全に適用するための「薬事法等の一部を改正する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」ができました。これにより、国に承認されれば樹状細胞ワクチンが医薬品として扱われ、保険が適用されることで、今まで高額だった治療を安価で提供できるようになるのです。この申請を起業10年目の今年に出そうと考えています。バクセルの保険適用は2018?2020年の間に実現できるでしょう。

 これから目指すのは、がんを予防するワクチンの開発です。20年以内に実現してみせます。そのためにバクセルを医薬品として認めてもらう。次に手術後に再発予防として樹状細胞ワクチンを打つ。最後は免疫細胞を作り、がんになる前に投与して未然に予防する。この3段階でがん予防を実現していこうと考えています。

 今までのがん治療で行われてきたのは「マニュアル化医療」とも呼ばれる「標準治療」で、全国どこでも同じ医療が受けられることが特徴です。しかし、同じ治療でも副作用が出たり出なかったりと効果に個人差がありました。

 これからの医療は一人ひとりに対して違った治療法をする「個別化医療」になっていくでしょう。お酒を1杯飲んだだけで酔っぱらってしまう人と5杯飲んでも平気な人がいるように、副作用の出方にも個人差があります。そのため、個人に合う医療が求められているのです。個別化医療は遺伝子検査で自分の体に合う方針を決定し、自身の細胞を取り出して治療を行うので、方針が一人ひとり異なってきます。また、体内にあるものを使うため、副作用がほとんどありません。

 我々はこの2つを組み合わせてがんを治療しようと考えています。検査で患者に効くと分かった抗がん剤は使用し、悪影響を及ぼす抗がん剤は使用しない方針です。すでに細胞を作る技術はあるので、医療機関でどのように組み合わせていくかをこれから進めていきます。 私の夢は病気になっていない人に医療を施すことで病気にさせないことです。それが予防ワクチンを作りたいという思いに繋がっています。治療と同じように検査結果を見て自分に合う治療をする。私はこれに、人生をかけて取り組みます。  



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