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トピックス -ビッグベンチャー

2014年07月08日

新ブランドを武器に世界へと駆け上がる/クロスカンパニー社長 石川康晴

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家





ヤングカジュアル「アースミュージック&エコロジー」を中心に複数のブランドを展開、売上げ1000億円企業へと急成長を遂げるクロスカンパニー。社長の石川康晴は今年43歳。20周年を機に、グローバルブランドKOE(コエ)を立ち上げ、世界に挑むと宣言する。そして20年後はZARA やH&M、ユニクロに追いつきたいと大きな夢を描く。フェアサプライチェーンを構築、着る人も、つくる人も、幸せになる服を目指すと意気込むクロスカンパニーの未来戦略に迫る。

創業20年目の誓い

 2014年6月2日、東京・新宿オペラシティアートギャラリーには、多くの客が集まっていた。普段は静謐な空間が、この日は華麗な洋服を身にまとった男女が祝杯をあげていた。その笑顔の渦の中心にいたのは、クロスカンパニー社長の石川康晴である。石川が収集した現代美術コレクション展が開催されている会場で、創業20周年のパーティが開催されていたのだ。自社ブランドのトム・ブラウンニューヨークでカッコよくきめ、挨拶に立った石川の顔は輝いていた。「23歳で4坪の衣料品店からスタート、1999年にSPAに転換、アースミュージック&エコロジー(以下アース)を立ち上げ、店舗展開を加速してきた。その間、さまざまなチャレンジと進化を繰り返してきたが、常に『人と違うことを考える』ことに注力してきた。20周年の今年は、グローバルブランドKOEを立ち上げ、世界にチャレンジする」

 石川の力強い宣言に、駆けつけた客はクロスカンパニーの輝かしい未来を確信した。この日はZOZOTOWNを手掛けるスタートトゥディ社長の前澤友作、メガネのJINSを展開するジェイアイエヌ社長の田中仁ら、関係者200名が石川の新しい門出を祝った。

 クロスカンパニーは女優宮﨑あおいのCMで知られる若い女性向けアパレル「アースミュージック&エコロジー」を国内外に展開。2014年1月期には売上高1000億円を突破、急成長を遂げている。祝賀会で「人と違うことを考えてきた」と語った石川だが、まさにその戦略はユニーク。石川の卓越したリーダーシップと実行力には定評がある。

 23歳で創業、高級アパレルのセレクトショップで失敗、真逆のSPAヤングカジュアルの「アース」を立ち上げた。アパレル界ではそれまでなかった全員正社員制度を導入、女性社員を活用、カジュアル商品を扱いながらも接客を重視し、成長を遂げてきた。2012年9月には最も反日感情の強い最中、自ら中国に留まり出店を指揮、今も中国集中戦略を加速する。

 社員を大切にし、そこで働く人がいきいきと働く企業でありたい。アパレルメーカーの新しいスタンダードになることが使命と語る石川。2017年1月期の連結売上高を1580億円、経常利益161億円を掲げている。今、国内のレディースアパレルトップはワールド。2位がオンワード、3位はTSIホールディングスだが、3年後は3位に食い込みたいと意気込む。



グローバル戦略の武器KOE

 そして2014年秋、クロスカンパニーはグローバル戦略の武器として、新ブランドKOEを立ち上げる。これは若い女性向けの「アース」と異なり、レディース、メンズ、キッズ、マタニティをも揃えている。ZARAや GAPの品揃えに近いが、感度の高い子供服を中心に、感度の高い母親、父親、OLを対象にする。

 新潟、静岡、岡山など中堅都市で実験、2017年にはグローバル展開に挑む。売場面積200坪に1000アイテムを投入、400坪規模をも構想。ZARAや H&M、そしてユニクロにぶつけていきたいという。今、グローバルブランドとしてはZARAを展開するスペインのインディテックスが売上高2兆3300億円でトップを行く。続いてスウェーデンのH&Mが、そして日本のファーストリテイリングが猛烈に追い上げている。前を行くケーススタディがあるからこそ学べるし、闘志も沸くと石川、クロス流の徹底したマーケティング力で世界市場を狙う。

 さらにKOEについてはグローバルブランドを意識、「フェアサプライチェーン」を構築。着る人も、つくる人も、幸せになる服を目指すと宣言する。ZARA、H&Mと戦うためには地球環境のことを考える真のグローバル企業でなければならない。世界企業として君臨するネスレやP&Gがベンチマークと語る石川。成長の基本を海外に定め、世界で戦うには重要な戦略といえる。


グローバル戦略の武器KOE


グローバルブランドKOE(コエ)のイメージ


20年後1兆5000億円企業へ

 20年後は「世界中のアパレル企業の中で一番給料を払っている会社を目指す」と石川。そのために生産性を上げ、成長を加速させねばならない。

 その成長戦略はこうだ。1つは「アース」ブランドをさらに磨き、日中集中戦略の柱とする。2つ目はKOEを、ZARAやH&Mと伍して戦えるグローバルブランドに創りあげる。3つ目はM&Aだ。今後はアパレルだけでなく雑貨やコスメへの展開も考え、M&Aに力をいれる。ブランド価値があり5年以内に投資回収できる対象を狙うというが、既にさまざまなM&Aの話が持ち込まれている。4つ目はIT戦略である。中国のタオバオはリアル店舗66店と比較して毎月の売上げトップを走る。その勢いに目を見張る石川、Eコマースも含めたIT戦略には力を入れる。そして20年後の売上高を1兆5000億円と定める。その勝敗を決めるのは新ブランドKOEの成功といえる。



戦うアパレル界のニューリーダー

 KOEを立ち上げ、新しいステージを目指すクロスカンパニーには今、さまざまな分野のプロが集結している。どの人も石川とともに世界戦略に挑む強者たちだ。この総力を結集、どんな戦いを仕掛けていくのか。2016年度中には株式上場を視野に、既に準備が始まっている。

 創業20周年の節目の年、グローバルブランドKOEを立ち上げ、新たなステージへと駆け上がる石川。その目には先頭を行くZARA、H&M、そしてユニクロの背中が見えている。まずはあと何年でファーストリテイリングを捉えることができるのか。

 この6月8日、石川はモナコにいた。EYワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーの日本代表に選出され、熱くプレゼンした。世界から集まった60人のトップが競い、惜しくも大賞は逃したが、表彰を受けた石川は世界への想いをさらに強くした。

 「アース」を日中戦略の柱とし、KOEを世界戦略の武器に育て上げ、世界へと駆け上がる石川。真のグローバル企業を目指し突き進むアパレル界のニューリーダー石川康晴から目が離せない。





石川康晴 (いしかわ・やすはる)

1970年岡山市生まれ。岡山大学経済学部卒。94年クロスカンパニーを創業。99年に「アースミュージック&エコロジー」を立ち上げた。宮﨑あおいを起用したテレビCMで注目を集め、10 年中国に進出。66店舗を展開する。一方、女性支援制度を中心とした社内制度の充実、環境活動や地域貢献活動へも積極的に取り組み、東日本大震災で被災者180人を雇用をしたことでも話題となった。内閣府男女共同参画会議議員。12年「第14回企業家賞チャレンジャー賞」受賞。



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