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トピックス -ビッグベンチャー

2014年07月11日

クルーと共にネットビジネスの大海原を航海する/ボヤージュ・グループ代表取締役兼CEO 宇佐美進典

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家

クルーと共にネットビジネスの大海原を航海する

 インターネットで買い物をするとポイントがたまるECナビなどのメディア事業、戦略的にインターネット広告を配信するアドテクノロジー事業など、インターネットビジネスを幅広く展開するVOYAGE GROUP(ボヤージュグループ)。

 1999年に創業し、インターネットビジネスの草分けとして、破竹の勢いでネットビジネスを牽引している。14年7月にマザーズへ上場すると記者発表をしたばかりだ。サイバーエージェントのグループ企業から独立したボヤージュグループと、柔和な笑顔が印象的な宇佐美進典の成長の軌跡と未来戦略に世界中から注目が集まっている。



2014年7月マザーズ上場

   2014年5月29日にマザーズの上場承認を得たボヤージュグループ。発表できる喜びに同社CEO宇佐美進典の顔がほころぶ。

   インターネットビジネスの草分けといわれるボヤージュグループの主要事業は、インターネットビジネス上に欠かせないメディア関連事業とアドテクノロジー事業だ。

   メディア関連事業とは、一般的には消費者へ企業や商品、サービスなどの情報を届ける事業を指す。ボヤージュグループは11年に社名をECナビから変更した。ECナビは同社のポイントサービスサイトの名称。ECナビにログインしてからインターネットでの買い物や資料請求、アンケート回答をするとポイントがつく。貯まったポイントはギフト券や提携企業のポイント、現金に換えることができる。400万人以上を擁する会員ユーザーの動向や収益性をとる、いわゆる裏側のマーケティングのプラットフォームを自社で構築。測定、分析によってユーザーの動きを数字で追いかけ、ここから新たなユーザーの獲得と定着、新サービスや新商品の施策が行える。またECナビへのアクセスはパソコンからスマートフォンに移行してきている。デバイスの変化にも対応し、新規ユーザーを獲得することでメディアとしての力がさらに強まる。

   もうひとつのアドテクノロジー事業とは、インターネット上の広告配信、広告流通のための技術を指す。

   インターネット上の広告は、サイトごとに広告枠を売るだけの従来のものから、広告配信システムのアドサーバーから多数のWebサイトへ配信されるものや、購入商品の類似品を表示して需要喚起を促すもの、ユーザー情報を基にした価値の高い広告を配信するものなど、アドテクノロジーを駆使したものに移行している。消費者にとっては自分の価値観やライフスタイルにより近い広告や情報が配信されるというメリットがあり、スポンサー側には手間のかからない広告出稿や、広告の効果測定をしやすい点にメリットがある。

   メディア事業とアドテクノロジー事業はいわば表裏一体。痒いところに手が届くのが、双方の悩みや要求を経験してきているボヤージュグループの強みだ。単にシステムや技術を提供するのではなく、両方の分野を徹底的に知り尽くしたからこそ見えてくるノウハウと、人間味あるコンサルティングが高く評価されている。

   アメリカでのネット広告の状況を見ても、変化が早く、より便利に革新的になっており、メディア事業、アドテクノロジー事業共にまだまだ伸びしろがある。ボヤージュグループは中国や韓国などアジア圏を中心に海外進出も進めている。国内外のスポンサーとインターネットを使っての時間と場所を選ばない取引も強みだ。


2014年7月マザーズ上場


ポイントサイト「ECナビ」


サイバーエージェントからの独立

   ボヤージュグループは01年、Amebaブログやアプリ開発などの事業を展開するサイバーエージェントの傘下に入った。宇佐美はボヤージュグループの経営の傍ら、サイバーエージェント本体の技術部門の担当役員もこなしていた。10年にはサイバーエージェントからMBOで独立。成長株のボヤージュグループをサイバーエージェント社長、藤田晋はなぜ手放したのか。

   ひとつには当時、ボヤージュグループの業績が落ちたこと。このままでは連結決算でサイバーエージェントの足を引っ張ることになる。

   「これは独立のワンチャンスだと思うよ」と藤田は宇佐美に伝えたという。上場を目指しているとかねてより話していた宇佐美の姿に、藤田はかつての自分の姿を重ねていたかもしれない。宇佐美はスポンサーを探し、MBOによりボヤージュグループは独立した。

   独立して最初に中期経営計画を立てた時のこと。3か月連続で予想が大きく外れた。つきあいが浅く、信頼関係の築けていない新規株主が経営の不安を口にする。

   「思えば、藤田さんとは信頼関係ができていたので、私たちは好きなように動くことができた。藤田さんがボヤージュグループに実際に来たのは1回だけではなかったか」

   宇佐美はそう述懐する。やれることをしっかりやるしかない。新規株主と信頼関係をつくり、事業の成長性を高め、さらに信頼関係を強めていく歯車を回していくしかない。



クルー同士のコミュニケーション活性化

   ボヤージュグループが入るビルの1階には図書室がある。明るくゆったりとした開放的なスペースだ。書庫を見てみよう。インターネットビジネスを牽引する企業らしい分厚い技術書から、自己啓発本、小説からマンガまでと幅広い。読書家で知られる宇佐美の幅広い趣味がうかがえる。図書室設置の目的は社員・アルバイト・派遣含めたクルーと呼ばれるスタッフ同士のコミュニケーション活性化。旧来は喫煙室がその役割を担っていたが、喫煙者減少の昨今、ボヤージュグループでは図書室がその役割を担っている。

   かつては社員旅行を行っていた。日頃接点のないクルー同士のコミュニケーション活性化が狙い。だが社員が100人を越した頃から、旅行中も日頃と同じグループでの行動が目立つようになった。

   そこで宇佐美が思いついたのは、高度経済成長時代の日本企業が行っていた運動会だ。チームごとに分かれ、毎年6月に行われている。リレーや玉入れといった一般的なものからチームワーク重視の競技と多彩。宇佐美自身も綱引きや仮装しての応援合戦に参加している。



すべて無料のインキュベーションセンターBOAT

   ボヤージュグループはスタートアップ企業の支援事業も行っている。本社と同じフロアにあるBOATだ。面白いのはボヤージュグループ出資の会社ばかりではないこと、また費用が無料であることだ。隣接するボヤージュグループの会議室やカフェコーナー、無料ドリンクも使用できる。

   「だからこそ、一緒にオフィス空間を共有してもいいと思える価値観の合う企業でなければ」と宇佐美は語る。月に10社以上問い合わせがあるという無料のインキュベーションセンター開設には、自分たちの創業時、世話をしてくれた企業への恩返しの気持ちがある。資本的なつながりより人的なつながりを重視。現在15社が羽を広げ、天高く飛び立つ準備に入っている。




宇佐美 進典(うさみ・しんすけ)

1972年愛知県生まれ。96年早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティング入社。99年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業、02年代表取締役CEOに就任。05年サイボウズとの合併でcybozu.netを設立、代表取締役CEOに就任。12年 MBOによりサイバーエージェントから独立。07年 日本インターネットポイント協議会を設立、副会長に就任(現会長)。14年「第16回企業家賞チャレンジャー賞」受賞。

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