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トピックス -ビッグベンチャー

2014年07月17日

平凡を1000個積み上げ非凡となす/トレジャー・ファクトリー社長 野坂英吾

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家

高い頂に挑戦し続ける

 5月28日、トレジャーファクトリー社長の野坂英吾は好決算を終え、株主総会を開き株主に対し業績の報告を行った。1995年5月、野坂は大学在学中から準備をしていた起業を選択し、大学を卒業後はどこにも就職することなくゼロからトレジャーファクトリーを創業した。株主総会は今回で19回目となる。議長としての進行振りも自信に溢れ、板についてきた。

 創業当時の夢は、関東エリアで30店舗展開し、株式上場を果たすことだった。2007年12月には東証マザーズに株式上場を果たし、現在の期末店舗数は合計73店に成長した。野坂はひとつずつ創業時の夢を実現しては、さらに高い目標を設定し事業に邁進している。

「目標を設定し、それを達成する前に次の高い次元の目標を設定することが成長につながる」と野坂は経営の心構えについて語る。余談だが、株式上場後に趣味で始めたランニングは、42・195キロのフルマラソンを超え、100キロのウルトラマラソン完走へとステージが上がっている。「日々の積み上げ」と「有言実行」が野坂の信条なのだ。

 2014年2月期の売上高は91億2900万円(前期比14・3%増)、経常利益7億3000万円(同14・2%増)に達し、創業以来の連続増収と10期連続の増益を達成した。6月初旬の株価は07年の上場高値を超え上場来高値を更新中と絶好調である。

 好調の理由として、物流センターの拡張移転による仕入力の強化があり、衣服や家具、家電をはじめ豊富な品揃えで幅広い客層のニーズに対応できたことが挙げられる。

 また、関西エリア初の出店を含む合計7店舗の新規出店が順調に滑り出したことや、新業態の古着アウトレット業態「ユーズレット」の開発も業績向上を後押しした。今期は前期以上の年間10店舗の新規出店を計画している。売上げ100億円突破も視野に入ってきた。ベンチャー企業家にとって、売上げ100億円、経常利益10億円は一つの目標であろう。株式上場と並び、創業経営者が憧れる金字塔といえる。


高い頂に挑戦し続ける

世の中の「変化」を感じる力

 リユース業界の市場は5000億円あると言われ、ネットオークションなどイーコマースを含めると合計1兆円規模の大きな市場がある。

「年々マーケットは拡大していると感じているが、10年前と違って新規参入は減ってきている。大きな資本がある企業や仕組み化が出来ている企業など勝ち組と負け組がはっきりし、寡占化してきた」と野坂は業界展望について語る。

 生き残りの厳しいリユース業界で増収増益を続けるトレジャーファクトリーの強みはどこにあるのだろうか。

「70を超える店舗ごとに特色を打ち出していること。地域やその時によって売れる商品は変わっていくが、その変化に対応出来ているかが重要。現場が臨機応変に行動できるかどうかが差別化になる」と野坂は自社の強みについて語る。

 同じ商品を売るのにも売り方の工夫次第で変わる。その一つに商品ジャンルの細分化がある。女性向けの衣類でも、世代別、カワイイ系やキレイ系など細かくターゲット層を設定することで陳列も変化を付けている。家電といっても掃除機といったざっくりした分類ではなく、コードレス型やサイクロン式、ロボット型など細かく分類することで客の目に留まるのだ。

 店舗は偉大なる実験ラボである。店長やエリアマネージャーが中心となり仮説を立て、店舗運営に反映しているが、実際の数字を見ながら微調整が必要になる。この微調整が経営を任された店長の腕の見せ所である。

 会社として高価買い取りを強化しようと決めると、たちまち安い商品が棚から消えてしまい、来客数に影響が出るといったことも起こる。品揃えの多さがトレジャーファクトリーの魅力となっているため、店長はバランスを持った経営力が求められている。



関西エリアに進出

 2013年5月、兵庫県神戸市に関西エリア初の総合リユース業態「トレジャーファクトリー」を出店した。同年10月には兵庫県尼崎市に服飾専門業態「トレジャーファクトリースタイル」も進出を果たした。2014年3月、大阪府岸和田市に3店舗目を出店と順調に関西エリアで基盤を築いている。

「初日から多くの方に来店頂き、関西でのリユースのニーズを感じることが出来た。地域を問わず支持を頂けることが確信できた」と野坂は多店舗展開を加速していく意向だ。

 今期も関西エリアでの出店を進め、物流機能や商品供給、人材確保といった事業基盤を固め、この経験を活かし次なる商圏に進出を計画している。その筆頭は名古屋・中部エリアであろう。出店スピードを上げる上で課題となるのは店長をはじめとする人材採用・育成であろう。

「知名度もない未知のエリアでの出店になるので、新しいことに挑戦するベンチャーマインドを持った人材を求めています」と野坂は語る。関西エリア進出の際も社内からフロンティア精神のある社員が選ばれた。

「関西エリアを開拓していくスタッフは、新たな市場を自分たちで切り拓いているという自負があります」と目を輝かせて笑顔で野坂は話す。



人を育てる企業文化


 社員数は300名を超えるまでに成長した。パートアルバイトを含めると1000人を超える大所帯である。昨今では人手不足が社会問題になりつつあるが、さらなる事業展開に向けてトレジャーファクトリーでもパートアルバイトからの正社員採用を進めている。

「この仕事が好きかどうかがポイントです。やりがいを感じてくれる人を歓迎します」

 トレジャーファクトリーには、人を育てる企業文化がある。それは野坂が学生から起業したことに起因する。人から教えてもらい商売を勉強してきた。こんなこともあった。

 
 10年ほど前に出店を急ぎ人材育成が追いつかず、既存店の赤字が続いた時期があった。野坂の頭に倒産の二文字が浮かんだ。普段から不安や苦しみを他人に打ち明ける野坂ではなかったが、このときばかりは店長たちを前に現状を伝えた。すると危機感を共有した店長たちから様々なアイデアが出てきて、逆境を克服することが出来たのだ。

 企業の成長には、英知を結集し、仕組み化が必要なことをその時野坂は学んだ。

「立場を超え、お互いを尊重し合える環境にしたい。社員が増えたら、その分改善案や新しい取り組みが生み出される組織が理想である」と野坂は企業理念について語る。

 今期は売上げ100億円超えを目指して、新規業態の開発にも意欲的だ。今期中にスポーツ・アウトドア専門の業態を始める。関西エリア進出で、全国展開も視野に入ってきた。野坂のチャレンジは続く。





野坂英吾(のさか・えいご)

1972年、神奈川県生まれ。95年5月、有限会社トレジャーファクトリーを設立。99年12月、資本金を1000万円に増資し、株式会社に組織変更。07 年12月、東京証券取引所マザーズに株式上場。



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