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トピックス -ビッグベンチャー

2014年08月08日

「モチベーション」に注目し一つの産業に育てる/リンクアンドモチベーション会長 小笹芳央

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家

時代を先読みしたパイオニア

   今、新たな産業を確立しようとする男がいる。

   世界で初めて人の「モチベーション」にフォーカスした経営コンサルティング会社リンクアンドモチベーションを創業した小笹芳央だ。小笹が目指すのは、人々の生きがいを可視化したモチベーション産業の創出である。

   金銭的報酬のみに人が満足感を覚える時代はもはや終わった。しかし、時流に逆らい、社員のモチベーションを給与や昇格だけに限定した既存の企業経営に、小笹は「一番大切なものがないがしろにされている」と強い危機感を感じている。個々人が自分の生きる意味を求める時代の幕開けに、いまだ社会の仕組みが追いついていないのだ。

   2013年4月、改正高年齢者雇用安定法の施行により、定年退職年齢が65歳まで引き上げられ、人生における仕事の占める割合は益々大きくなった。時短勤務やノマド、SOHOなど働き方の多様化とも相まって、キャリア選択への関心が高まり、転職市場は活発化してきている。仕事に求めるやりがいを問うワークモチベーションランキングでは、これまで重要視されてきた「報酬の高さ」は決して高くない7位。一方上位には「自己成長」「達成感」「職場への貢献」が上がってきている。個人が働く意味を問い直す流れは今後加速していくだろう。

   戦後間もない時代、セコムは初めて目に見えない「安全」という価値を提供し、一つの産業を確立させた。企業が社会に投げかける新たな価値観は、時に、その時代に生きる人々の思考を表す指標にもなりうる。身の安全を確保し、最低限生きていけるだけの金銭的充足を満たした今、人々の欲求はより高次元な精神的充足を求める段階に突入している。マズローの唱えた5大欲求の頂点にある、「自己実現欲求」を満たす産業の誕生は、時代の要請だ。その担い手となるのが、リンクアンドモチベーションの使命であり、小笹の挑戦なのである。



モチベーションカンパニーが次の時代を制する

   2000年の創業当時から世界初のモチベーションに対するコンサルティング事業に各方面から注目を集め、8年後の08年に東証一部上場。現在売上規模200億円を突破し、積極的なM&Aでグループ会社11社を束ねるリンクアンドモチベーション。その魅力は大学生からも支持を呼び、05年、06年の就職人気企業ランキングでは名だたる大手有名企業と並んで38位に名を連ね、業界内でも一目置かれる存在となっている。

   その立ち位置を確立する要となっているのは、数値化することの難しいモチベーションを、心理学、行動経済学、社会システム論などから科学的に体系化した独自技術、「モチベーションエンジニアリング」だ。個人や組織内のモチベーション状態を診断し、顕在化した課題を最適な形で解消するための変革を提供する。理論ありきのコンサルティングとは一線を画した、働く社員を活かすためのコンサルティングに共感したクライアントは1800社を超えている。

   彼らが目指すのは、社員のモチベーションを成長エンジンとする経営を行う「モチベーションカンパニー」の実現。働く社員の精神的充足を満たして成長を続ける企業こそ、持続可能な発展ができ、次の時代を制する。小笹は、このメッセージを広く発信することで、社員の精神的報酬という次の時代の当たり前を作り出そうとしているのだ。

   その最たるものが、より高いモチベーションを保った社員のいる企業を表彰するモチベーションカンパニーアワードである。年に一度、モチベーションカンパニーを体現するクライアント企業を再評価するこの場で、小笹は参加者にモチベーションカンパニーとは何か、改めて共有し、未来のモチベーションカンパニーの底上げを図っている。

   会場内では少しでも我が社をモチベーションカンパニーに近づけようと日々奮闘している経営者や人事たちが熱心に耳を傾けている。社員モチベーションの高さで企業を評価するという新たな指標は、既に多くの企業の目指すべき姿として認識され始めている。

   今後より一層のモチベーションカンパニーの拡大に向け、13年11月にはインキュベーション事業推進室を設立した。リンクアンドモチベーションが受け持つクライアントの大半は、創成期から成長期にある中小・ベンチャー企業だ。同じ理想を追いかけるクライアントにより幅広い成長支援を果たすべく、資金面、組織人事面の両方から支援する体制を整えた。経営者たちと二人三脚となり、共に更なる成長を目指し続けていく。



新規事業に進出

   オンリーワンの切り口でコンサルティング業界での不動の地位を築き上げたリンクアンドモチベーション。その挑戦は留まる所を知らない。B2Bでのノウハウを手に、新たにコンシューマー部門へと視線を移す。新設したB2C部門をこれまで力を注いできたB2B部門の各事業グループと連携させ、自立的・主体的な個人によるアイカンパニー(=自分株式会社)の経営を支援する仕組みを構築している。

   中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」や、社会人向けのキャリアスクール「リンクアカデミー」では、受講者のモチベーションを診断し、個別に合わせたスキル開発を行っている。学ぶ意味や働く意義を考え、自らのキャリアを自ら選択できるよう、人間性と能力両面の成長を支援していくのだ。スクール事業において小笹は、これまで蓄積してきた膨大なデータベースと企業人事に寄り添ってきた実績から、どのような人材が社会で求められているのかを把握・分析出来ているという他社に無い強みを発揮できるはずだと睨んでいる。

   さらに、中途紹介事業を担うグループ会社「リンク・アイ」や、派遣紹介事業を行う「リンクマーケティング」との連携で、就労先をスムーズに接続することが可能となる。1人ひとりにあったキャリア選択をグループ間でトータルサポートできる「キャリアナビゲーション」は、企業と個人双方をつなぐサービスを展開するリンクアンドモチベーションだからこその唯一無二のビジネスモデルとなりうるだろう。

   更には、モチベーションエンジニアリングの実践を図り、地域に根ざしたプロバスケットボールチーム「リンク栃木ブレックス」の監修や、「リンクダイニング」による飲食店経営まで、その裾野は広がりを見せる。

   リンクアンドモチベーションのミッションは、「働」、「学」、「遊」、全ての分野でアイカンパニーを経営する個人の生きがいを提供することだ。モチベーションという人が何かを行う上での動機づけの部分に注目したからこそ、その需要は事業の垣根を超えてもなくなることはない。モチベーションにフォーカスしたビジネス領域は、ますます広がりを持ち始めている。

   生きがいを見失った人々をアイカンパニーの経営者とし、社会を動かす企業をモチベーションカンパニーに導くことで、世界に生きる一人ひとりのモチベーションに火をつける。そうすれば、企業理念に込めた小笹が目指す「ひとりひとりの本気が、この世界を熱くする」未来はすぐそこまで見えてくる。





小笹芳央(おざさ・よしひさ)

1961年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、リクルートに入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て、00年、リンクアンドモチベーションを設立、代表取締役社長に就任。07年12月、東証市場第二部に上場。08年12月、東証第一部に指定変更。08年「第10回企業家賞」受賞。



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