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トピックス -ビッグベンチャー

2014年08月22日

世界に通用する「当たり前」を発明したい/リブセンス社長 村上太一

企業家倶楽部2014年8月号 次世代の企業家





 アルバイト情報サイト「ジョブセンス」を運営するリブセンス。広告掲載費を無料とし、成果報酬型のサービスを構築している点や、採用が決まったユーザーに「お祝い金」を渡している点などが特徴だ。最年少上場経営者として、社長の村上太一はかなりの知名度を誇る。
 

 そんな村上に20年後の未来を聞くと、目を輝かせて答えた。
「コンピュータの計算速度が上がって、人間の脳を超えている可能性があります。相手の想像していることが分かったり、機械が空を飛んでいたり、医学の進歩で人の死亡率が激減しているかもしれませんね」
 

 では、その中でリブセンスの立ち位置はどうなるのか。現在27歳の村上は、20年経ってもまだ50歳手前。事業内容は世の中の変化に応じて変わっていくだろうが、理念やビジョンを変えるつもりは無い。

 

「日本だけでなく世界中に良い影響を与えて、誰もが日常的に使い、無くなったら困る当たり前を発明したい」
 

 では、その夢を成し遂げるための施策はあるのか。リブセンスの中長期戦略を見ていこう。



5年で売り上げ400億円を目指す

 リブセンスの公表する中期経営計画によると、2018年12月期の業績目標として売上高400億円、営業利益120億円を掲げている。そのためには加速度的に業績を伸ばしていく必要がある。
 

 目標とする売り上げ400億円のうち350億円は既存事業だ。既存サービスは成功報酬型という切り口で固まっており、サービス内容、応募数、採用数など、要素は限られているため、それらの指標をどう伸ばしていくかに懸っている。
 

 例えば、採用が決まると渡す方式となっている「お祝い金」も、「ジョブセンス経由で採用が決まったユーザーに関しては自給を初月だけ100円上げる」といった方がニーズを満たしているかもしれない。
 

 シェアを拡大していく上での施策も重要だ。ジョブセンス一つ取っても、求人数の多さやお祝い金といった「勝てる要素」があるにも関わらず、最初に使われるメディアになりきれていない。友人を紹介すると祝い金がもらえるような口コミの仕組みを整えてもいい。他にも、会員登録したユーザーに電話を一本入れるだけで応募率が一気に上がるという統計もある。

 

「5年後、アルバイトの領域に関しては、ウェブでの採用数で間違いなく1位になっている」と村上は豪語する。

 



情報の非対称性を埋める

 現在の事業にも成長余地はある。しかし同時に、次の事業に投資していかなければ企業の長期的発展は望めない。

 

「新規事業創出にあたっては、影響力が大きい分野を狙う」と村上。軸としては、人が時間やお金を多く費やしている部分だ。例えば、お金に関して言えば、家賃や娯楽費、食費といったところだろうか。そう考えると、不動産の領域など、あながち外れてはいないだろう。
 

 不動産売買では、まだまだブラックボックス化されている部分が大きい。価格表記が無く、現地に足を運んでようやく開示されたり、よく調べると地域住民の反対運動にあっていたりすることも。ローンの借り方に関しても、不動産との提携が仕組化されている。
 

 ユーザーは同じ作業を何回も繰り返さねばならず、調べた結果、結局どの物件がいいか分からなくなって止めてしまう人も多い。「不便の解消」を掲げるリブセンスの理念ともマッチする。
 

 建設会社はもちろん、地価の上下傾向、犯罪率、学区の学校の評判、幼稚園の埋まり具合、さらにはその土地の古地図に至るまで完璧に網羅してデータベース化されたサイトなどあれば、面白い。全く新しい、情報の非対称性を埋めることを付加価値とするサービスは、これまで情報分野で業績を伸ばしてきたリブセンスと親和性があるだろう。



社内で起業家を育てる

 リブセンスでは近年、新規事業委員会を立ち上げた。新規事業に興味のある社員が50億円を掘り起こしにいく。同時に公募制度も作り、新卒を含め、全社員から平等に新規事業を募っている。情報、恋愛、流通…テーマは社員によって多種多様だ。

 

 事業として進めるか否かの分水嶺となるのは、リブセンスの理念に合致しているかどうか。具体的な指標としては、ある程度の規模間があり、長く使われる可能性が高いと判断できて、社会の発展・問題解決に繋がるサービスかどうかである。それさえ満たしていれば、現在の事業に固執する気は全くない。
 

 こうした新規事業に向けた流れが派生して、「村上塾」なるものも行われている。村上が3名ほどの社員を相手に、テーマを持ち寄ってディスカッションをする場だ。新規事業の公募で集まった社員を対象に行われ、社内の企業家として育ってもらうのが趣旨となっている。

 頻度は週1回、1時間半。ビジネスモデルのブラッシュアップをすることもあれば、課題を出し合って競争したり、外部の企業家を呼んでディスカッションしたりもする。20代の村上にとって後継者育成はまだ早いが、本人は「刺激し合いっこ」だと笑う。

 企業内で新陳代謝が起こるシステムを備えていても、実行できている企業は珍しい。これらリブセンスの施策は、長期で見て持続的な成長に繋がっていくだろう。



求めるのはY字型人材

 時が経っていくにつれ、企業も変わらねばならない。組織全体が時代に応じて変化していく風土をどう生み出すか。「新規事業委員会や村上塾だけでは荷が重い。求める人材像を言語化して表現することで、風土にも落とし込まなければならない」と村上も言う。
 

 そんなリブセンスの求める人材像とは。村上は、「Y字型人材」を掲げる。リブセンスのロゴは、日常に疑問を持つ「はてな」の視点と「雨だれ石を穿つ」という「しずく」の徹底を表している。そうした相反するような二軸をしっかり持つという意味でY字型人材と呼んでいるのだ。マネジメントの上で、バランス感覚は重要だ。何も考えずに跳ぶのは無謀だが、考え過ぎると決断が遅れる。そうした一見矛盾するスキルを、両方求めていく。
 

 起業を目指す学生の中に、村上に対する憧れを抱く人は多い。そんな未来の企業家たちに、村上は「なぜ起業するのか、理由をきちんと言語化しておくこと」とアドバイスを送る。
 

 追う立場から追われる立場になりつつある村上。「5年後には間違いなく海外に出ている」と事業意欲は底知れない。少なくとも、今後20年でリブセンスが現在の事業に止まっていないのは明白だ。いずれ、同社が求人サイト運営からスタートしたという事実に驚く人が大半になるだろう。今後、村上が自社をどのように飛躍させていくのか、目が離せない。





村上太一 (むらかみ・たいち)

1986年東京都生まれ。05年早稲田大学政治経済学部に入学後、ビジネスプランコンテストで優勝。06年に大学1年生でリブセンスを起業。アルバイト求人サイト「ジョブセンス」などを手がける。11年12月、史上最年少となる25歳一ヶ月で東証マザーズに上場。12年10月には東証一部上場。13年「第15回企業家賞」受賞。



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