2014年09月02日
企業家は振り切る勇気を持て/ジェイアイエヌ代表取締役社長 田中 仁
企業家倶楽部2014年10月号 著者に聞く
その安さと機能性で拡大を続けているメガネブランド「JINS」を手掛けるジェイアイエヌ社長、田中仁氏による初の著書。銀行員時代、自らの手掛ける生活雑貨のヒット、同業他社との競争のエピソードなど、同社の礎を築いた田中氏の過去を交え、「振り切る勇気」を持って挑戦し続けることの大切さを語る。
『振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦』田中 仁 著 日経BP社 1,512円(税込)
問 ビジネス書ということですが、経営の危機やご自身の経験に臨場感があり、一気に読むことができました。
田中 これはある意味での暴露本なんです。
当初この本を書くにあたっては、JINSというブランドを社長である私の今までの軌跡とともに描こうと思っていました。「何の取り得もなくても、振り切ってチャレンジすれば成果を納めることができる」と若者に勇気を与えたかったのです。
しかし、それにあたっては成功体験だけではなく、経営者として未熟だったときの自分の体験も出さないとリアリティがなく嘘っぽい。それは自分にも自分の会社にも似合わないので、赤裸々に書くことにしました。
問 著書の中では「打席に立つ前に、フルスイングして三振することを恐れていちゃだめなんだよ」というご友人の言葉もありましたね。
田中 「自分がどんな人生を歩んだら納得できるか」という考え方が大切だと思います。
この本では書けませんでしたが、アメリカで90歳以上の老人に「あなたは今まで生きてきて何に一番後悔していますか」というアンケートが取られたことがありました。すると90歳以上の老人の9割程度が「若いときにもっとチャレンジすれば良かった」と答えたそうです。これが興味深いのは、「何かやりたい、挑戦したいな」と思ったときに、多くの人は「失敗するんじゃないか」とそこで踏みとどまってしまうことです。そして、そうした人々は90歳になったときに、「あのとき挑戦していれば自分はどんな人生だっただろう」と後悔すると私は思います。しかし、たとえ失敗したとしても90歳にもなれば、おそらく「やらない後悔」よりも「挑戦した思い出」のほうが印象深く残るはずです。
問 逆に言えば1割しかチャレンジしていないといえますね。
田中 しかもそれがアメリカというところが問題です。つまり、日本での場合はもっとチャレンジする人が少ないということです。だからこそ、この本でも「やりたいことがあったらチャレンジしなければ後悔しますよ」というメッセージを込めました。
問 企業家に必要なのは環境だと思いますか、それとも素養でしょうか。
田中 両方だと思います。まず環境で言えば、私が中学生になった頃に父が自分で商売を始めたというのは大きな要因だったと思います。
その頃の父は活き活きとしていました。父はそれ以前サラリーマンで、部長をしていたのですが、いつも胃の調子が悪い。しかし、自分で商売を始めるようになってからは胃が痛いと言わなくなったんですよ。私もそのような環境から商売に興味を持つようになりました。
問 お父様と同じように、会社員から企業家になったのですね。
田中 今回の本を出すきっかけの一つに、プライベートで群馬イノベーションアワードという起業したい人を支援する活動に参加している関係もあります。
普通の子供たちは親から一生懸命勉強して、偏差値の高い学校に通い、大手企業に就職しなさいと言われて育ちます。そういった価値観も良いと思いますが、子供たちの中には商売が得意であったり、興味のある子もいます。そうした子供たちにビジネスの面白さを通して「将来の夢に企業家という選択肢もあるんだよ」いうのを伝えていきたいです。
問 経営者は振り切る勇気が必要ですか。
田中 経営者は本当にピンチのときに進退を決するような決断をしなければならない。つまり、強い経営者とは真剣勝負を潜り抜けた人なのだと思います。「真剣勝負」とは、読んで字のごとく真剣なので、負けたら斬られて死ぬわけです。ソフトバンクの孫社長、日本電産の永守社長、ジャパネットたかたの髙田代表のように、そこを斬られずに生き残った人はやはり死線を潜っている点において強い。
私の真剣勝負はまだまだそうした方々と比べ小さなものです。今後もっと大きい真剣勝負をしていきたいと思います。
問 真剣勝負に挑戦する上で、田中社長の強みは。
田中 私を含め、社長の多くは気が小さく、そうでないと成功しないと感じてきました。気が小さいからこそ小さいことから真剣に、慎重に考えるのです。そのため昔は「なぜ」を10回繰り返すことを心掛けました。「この商品が売れない、なんでだろう」と突き止めていくのです。そうすると問題の本質が見えてくる。
私は実は「なぜの仁さん」と呼ばれたことがありました。「仁さんはいつもなぜなぜって聞くよね」と言われるのです。私は人に聞くのが恥ずかしいと思わないので、単純に疑問に思ったことはすぐに聞きます。面白いのは、その質問のあと私の会社が成長すると、私の質問に答えてくれた人も「仁さんには俺が教えてやったんだ」と喜んでくれることですね。
問 著書の中でも、さまざまなご苦労について書かれていましたね。
田中 ビジネスは素晴らしいですね。この商売を始めた時から今までを振り返ると、世間で言う安定ラインに乗っていたのでは決して得られない成長がありました。それはビジネスを通じて様々な経験をするからです。年数が経つと熟成されてお酒が美味しくなるように、ビジネスの中で人一倍色んな多くの経験ができるとそれだけ成長にも繋がるのです。
当社も今は変化の時期を迎え、大変であると感じることもありますが、こうした大変なときが面白いと感じますし、むしろ自分にとっての成長のチャンスです。そのため、壁を乗り越えたときは「よっしゃ」と喜び、同時に「また乗り越えてやるぜ」と思います。
問 最近はウェアラブル端末市場に挑戦すると発表されましたね。次のフルスイングはこの分野ですか。
田中 その一つです。他にもまだ公表できないレベルですが、全てサイエンスが関係した商品を企画しています。
ジェイアイエヌの新しい理念として、「自分たちの作り出す製品やサービスで人々の生活をマグニファイする」というものがあります。マグニファイというのは拡大するという意味で、顧客視点に寄り添った商品を生み出して行くことは今までと変わりません。我々の生み出すものはあくまでメガネの延長線上で、今後そこにサイエンスが加わるということです。
問 ウェアラブル端末市場には今後他社の参入もあると思いますが、意気込みは。
田中 「やるしかない」と思います。どこまで自分たちだけで戦えるかわかりませんが、少なくとも先行優位性はあるので我々はアクセルをべた踏みして、フルスロットルで走り続ける覚悟です。
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