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トピックス -ビッグベンチャー

2014年09月02日

日中両国民の幸せのために何をするか/前中国大使 丹羽宇一郎

企業家倶楽部2014年10月号 著者に聞く


丹羽氏は中国主要都市の経済顧問を歴任。2年半の大使時代には行政区の多くを視察。習近平をはじめ、地方の政治トップたる党委員会書記たちと面談を重ねた。火種を抱えるチベット自治区にも、日本の大使としてはじめて公式訪問。政財界トップの性質や思惑、はては国境近くの庶民や少数民族の生活実態まで、「病める中国」の姿をつぶさに見つめた迫真のレポート。

『中国の大問題』丹羽宇一郎著PHP研究所(800円+税)



かつての日本と同じ中国の姿

問 「中国の大問題」大変面白く読ませていただきました。尖閣諸島の報道から媚中派と呼ばれたこともありましたが、この本を読むとそうではないというのがよくわかりました。

丹羽 自分で見て聞いて納得して、というのではなく、聞いた話を付和雷同的にみんなで渡れば怖くないと広げてしまう。私は人に何を言われても気にしません。媚中派と言われようと親中派と言われようとなんでもいいんです。

問 この本を読んで日中は仲良くしなければいけないと思いました。この本を出版されたことは日中関係にとてもプラスになるでしょうね。

丹羽 中国の方もたくさん読まれますので、意識して書きました。「お前ら、小生意気なことを言うなよ」と。私は中国メディアはじめ、中国の方に直接言っていますよ。今の中国は30年ほど前の日本と同じです。ジャパン・アズ・ナンバーワンと有頂天になっていた日本人と。

 日本の歴史を見ればわかることです。日本人、中国人だけじゃなく、人間とはそういう動物です。私の感触から言いますと、中国人も本当のことを言われたら、黙って言うことをききます。お世辞を言っても中国人には通用しません。中国は立派で日本はダメです、なんていう日本人はまず信用されません。きちっとしたことを言うことがお互いの信頼関係の礎と思います。

問 正直に腹を割って話し合うことが大切なんですね。

丹羽 そうです。人の言葉尻をとらえて問題だと騒いだり、感想を述べても意味のないこと。日本人は日本を少し非難するとすぐ「国益を考えてない」と飛躍した議論になってしまいますね。言葉尻を捕まえた無駄な議論が多すぎます。

 今の政治もそうですが、言葉巧みに、問題ないとか、世界最高の技術を使った原発とか言っています。世界で総合技術を競い合ったことがあるのでしょうか。今の政治家は言葉を巧みに使い、違う目的を果たそうとする。選挙や支持率など。政治家にとって将来の国民の安全が本当の目的であるのを忘れ、今の自分にとってどんな影響があるかに終始している。単なる言葉は信用なりません。

問 行動で示せということでしょうか。

丹羽 何をするかです。言葉に騙されないように、国民もいつも考えてほしい。お人好しと言うか、先を見る目がないというか。将来の国民にとってプラスになればいいけれど、世界から見ても日本人は何を考えているかわからない。目先のことよりもっと長期にもっと大局に立って考え、判断する習慣をつけなければ。

 日中関係も冷静に対応すべきです。どんなに優秀な人でも我を見失えばまさかと思うようなことをしてしまう。ですから戦争が起きるのです。


かつての日本と同じ中国の姿

戦争は誰も喜ばない

問 戦争は絶対起こしてはいけませんね。

丹羽 それでも戦争は起きるものです。なぜかと言うと、人間はいつも冷静に慎重に判断できる動物ではないからです。同じ人間がこうも変わるのか、ということをしてしまう時がある。殺人事件や、子供が関わる痛ましい事件もそう。我を失うと、日ごろ考えられないことをしてしまうのが人間で、みんなが冷静であれば日中関係もここまでこじれてはいません。知識人、有識者といわれる人たちこそ、いつも冷静に慎重に物事を考えなければなりません。

問 日中関係は尖閣諸島が一番の問題であるかと思います。政府が購入してからどんどんこじれていますね。

丹羽 出発点は政府による尖閣諸島の購入ですが、一番の問題は歴史認識と言われています。靖国問題が大きな障害。中曽根さんも小泉さんも参拝していましたが、その時以上に今安倍さんの参拝でこじれて深刻になっています。それは政治家や周囲の方に戦後レジウムというか、体制に挑戦的なものがあり、靖国参拝のベースにあります。そのため、世界から理解を得られないのです。戦後の民主主義、平和に対する挑戦的なもので、日本が行った侵略や戦争について反省の色がないと取られかねない発言が続いています。

問 靖国問題はどのように解決すれば良いでしょうか。

丹羽 個人的にならいくらでも参拝なさると良いでしょう。でも日本国を代表し、公人として参拝するといろいろ疑義が出てきてしまう。

 国内でどう処理するかはまた別の話ですが、敗戦国当時の日本に戦犯を認めるか認めないかの権利はそもそもありませんでした。そういうことを無視して公式に靖国を参拝されると、戦争の責任を認識していないのかと思われる。個人で参拝するのなら誰も反対はしないでしょう。加害者、敗戦国の立場では侵略と言う定義は国によって違うなどの発言をされるべきではないでしょうね。



日中首脳会談の実現を

問 日中首脳が早く会った方がいいと書籍にありましたね。

丹羽 両国民の幸せのためにした方がいい。靖国問題にしても領土問題についても、どちらも譲歩しませんから、話し合いでは解決できません。ならば戦争しかありませんが、バカバカしすぎてできません。ならばどうするか。凍結する以外ありません。春が来たら氷も解けるだろうから、ということでそれ以外のことを話しましょうと働きかけて、首脳会談を実現した方がいい。

問 フリーズ、というのが面白かったです。

丹羽 話をするというのが大事なんです。ところがそういう姿勢がない。今の政府には、我々はよく理解して継承すると言いました。両国の平和のために漁業協定など政治問題以外のことを話しましょう、政治声明について確認しあいましょうと言えば会ってくれるでしょう。

問 日中は仲良くなれるでしょうか。

丹羽 国の住所は変えることが出来ません。だから仲良くするしかないのです。中国も戦争をやって得るものは何もなく、戦争しようとは思っていないでしょう。戦争よりなにより国内問題の方が先決です。これは日本も同じですね。

問 集団的自衛権についてどうお考えですか。

丹羽 日本にとって本当に必要なのか疑問です。平和憲法を掲げてきた戦後数十年間で、戦わない国だと世界に思ってきてもらっている。それを今普通の国のように自衛隊を動かし、呼ばれれば他の国にも派遣するとは、少し違うんじゃないでしょうか。数少ない日本の若者を他国の戦場へ引っ張り出すのか。果たして日本に他国を助けに行くほどの力があるでしょうか。スイスのように平和国家としての尊厳を維持していた方が世界の信頼を得られるように思います。



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