• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2014年10月13日

【佐藤綾子のパフォーマンス心理学】vol.23 グローバルトップの発信力

企業家倶楽部2014年10月号 トップの発信力


佐藤綾子

日本大学芸術学部教授。博士(パフォーマンス心理学)。日本におけるパフォーマンス学の創始者であり第一人者。自己表現を意味する「パフォーマンス」の登録商標知的財産権所持者。首相経験者など多くの国会議員や経営トップ、医師の自己表現研修での科学的エビデンスと手法は常に最高の定評あり。上智大学(院)、ニューヨーク大学(院 )卒。『プレジデント』はじめ連載10誌、著書177 冊。「あさイチ」(NHK)他、多数出演中。20年の歴史をもつ自己表現力養成専門の「佐藤綾子のパフォーマンス学講座 」主宰、常設セミナーの体験入学は随時受付中。

詳細:http://spis.co.jp/seminar/ 佐藤綾子さんへのご質問は i n f o @ k i g y o k a . c o m まで



トップの能力として注目される鍛え抜かれた「国際感覚」


 サントリーホールディングス(HD)が6月23日、ローソンの新浪剛史会長(55歳)を10月1日付けで後継社長として招き入れると発表し、日本中をアッと驚かせました。

 ご存じのように、「サントリー」と言えば、創業一家の鳥井家。そして、鳥井家の姻族の姓「佐治」を名乗った2代目と、家系で継承していくものと相場が決まっていました。

 英語の語源学に知識のある人ならば、サントリーや、マクドナルドと聞いた途端に、「sun(son)」も「mac(Mc)」も「息子」だと、ピンとくることでしょう。つまり、「サントリー」は「鳥居さんの子息」であり、「マクドナルド」は「ドナルドさんの息子」。あのパイプの似合うマッカーサー元帥も「アーサーの息子」です。これらは皆、脈々と伝わる「血筋」のイメージです。

 「サン」や「マック」の言葉が象徴するように、このような社名の会社は創業者ファミリーが継続していきます。そんな中で、ローソンの新浪氏に声がかかったのです。

 新浪氏は屈指の「国際感覚」をお持ちの方で、日本企業のグローバル化について前向きです。それもそのはず、三菱商事の勤務中にハーバード大学で経営学修士(MBA)を取得しています。

 このように海外で鍛えられたビジネストップには、一体どんな力が備わっているのでしょうか?



グローバル化社会の真の流れをつかむ4つの力

 第1は、「発言力」の強さと確かさです。

 自分の考えていることを論理的に組み立て、相手にわかりやすく、かつ一歩も譲らずに主張していく。このような主張のパターンを、海外の一流の大学や大学院で鍛えられた人のほとんどが身につけています。

 第2は、「グローバル視点」です。 

 日本の中にだけいて日本を見ているのと、海外に渡ってそこから日本を見たのでは、見えてくるものは当然異なります。この2つの視点を持つことで、日本の良い点・悪い点、今後伸びそうな領域や発展しそうな分野が見えてくるわけです。

 新浪氏の発言は、強くて明快です。自分の意見については譲らず、きつい討論もなんのその。4代目の佐治信忠社長が新浪氏に目をつけたのも、恐らく今後のグローバル化を睨んでの、彼のものの見方・捉え方・考え方、そして社内外への発言力でしょう。

 第3は、「女性への対等な接し方」です。

 都議会でのセクハラヤジ問題を巻き起こした鈴木章浩議員についても、直ちに「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、「日本の旧時代的な男性の思考パターンによる発言だ」と書き立てています。日本の中ならば、「ちょっと変だね」で通ったとしても、海外から見れば、非常におかしく目に映るというケースです。

 第4が、「go-getter」。つまり、進取の気性と、「成功は、外へ出て行って取ってくるぞ!」という勇気です。

 例えば、優秀な技術者たちが新しい技術を提案しても、保守的な上司たちによってなかなか採用されなかったがために、技術者はどんどん周辺のアジア各国にヘッドハントされ、海外へ出て行っています。同時に、日本の優れた技術も流出していることが今、問題にもなっています。

 その技術者たちがメディアのインタビューに対し、「新しい提案を聞き入れない日本の企業では、私たちの才能や技術が無駄になってしまいます。そんな日本を離れ、世界の技術発展に貢献したいと思います」、こう答えるわけです。

 海外経験を積んで日本に戻ってきた企業人から、日本人で専門力を高めて海外へ出て行くビジネスパーソンまで、今伸びている人の多くは、国境を自由にまたいで行き来しているのです。



グローバルな「視点」と「発言」を今こそ身につける

 実際にグローバル化が、社内人事にどう影響しているか?

 その視点で目を凝らしてみれば、ベネッセホールディングス(元・福武書店)も、日本マクドナルドホールディングスから会長兼社長として、原田泳幸氏を迎えました。元アップルコンピュータ社長兼米国社副社長でもあった原田氏もまた、グローバルな変化に敏感です。

 また、日本の老舗薬品メーカーとして名高い武田薬品工業次期CEOに就任するクリストフ・ウェーバー氏(COO)は、イギリスの大手製薬会社グラクソ・スミスクラインの元幹部です。

 このように海外経験がある日本人や外国人がどんどん企業のトップに迎え入れられ、「世界の中の日本」という視点で、日本のビジネスを新たに展開していく。

 すると、自社内はもちろん社外に対しても、自己主張や自社主張をより明快にして、強力にしていく必要があります。「暗示文化(インプリシット)」である日本流の自己表現に頼っていては、明示文化(エクスプリシット)の欧米諸国や、暗示文化から明示文化へとさっさと切り替わった中国に対して、発信力で引けを取るからです。

 今トップに必要なのは、日本人としての視点はもちろんのこと、「グローバルスタンダードの中で、自分の、日本の会社をどう見て、どう利益を伸ばすか」という視点に立った発言でしょう。

 その発言の仕方が、特に若い社員たちを惹きつけ、また自社以外の世間の人々からの視線も集め、次第にマスコミにも注目されていきます。このこと自体は、企業にとって即効性のある有益なPRでもあります。

 グローバル社会の求められるトップとは、自分の仕事に関わる専門力や人間力は当然のこととして、これまでとは異なる広い「グローバル視点」を持ち、「グローバル発言」ができる人なのです。

 ここで、私のパフォーマンス心理学の実験の中で、おもしろい例を1つご紹介しましょう。

 日本語で議論をしていると、口論がついケンカになり、とぐろを巻いたように同じ話を繰り返しがちです。それを「英語で議論してください」と切り替えた途端、「ディスカッション」になり、「正←反←合」といった具合に、話が論理的に展開したのです。実際、仕事の中で英語で討論した経験のある人は、そう感じたことがあるでしょう。

 グローバル視点を持ち、どこの国の人とでも英語で意思の疎通ができること。「完璧な英語」である必要はなく、英語が母国語でない人の共通英語「グロービッシュ」で結構です。要は、簡単な単語を応用して、意思が通じればいいのです。

 もしまだ日本語だけでOKと思っているトップがいたら、この際ぜひその考えを改めてみませんか? 英語力も身につけておくことを習慣化することが、今後のビジネスシーンでは必要な自己表現ツールの1つとなるでしょう。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top