• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2014年10月16日

クラウド業界のトップランナー/テラスカイ代表取締役社長 佐藤秀哉

企業家倶楽部2014年10月号 注目企業




データ管理は分散から集中へ

 
 近年耳にすることの多くなった「クラウドコンピューティング」。この言葉で頭に浮かぶのは、グーグルのメールサービスや、マイクロソフトの共有データ管理サービスだろう。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットなど、どこからでもインターネットを通して接続できるため便利だ。


 だが、そもそもクラウドとは、そうした目に見えやすいB2Cサービスに止まらない大きな潮流である。コンピュータの歴史を紐解くと、これまでは小型化の過程であった。最初は自動車ほどの価格であったコンピュータが徐々に小さく、安くなり、最終的に各家庭から社会の至る所に浸透していったのである。

 
 これにより、誰もがコンピュータを使える環境は整ったものの、今度はあまりに大量の情報が氾濫して管理できなくなってきた。企業としても、様々なコンピュータが独自の仕様で動いているので業務に支障をきたすようになってしまったのである。

 
 こうした経緯から、今度はデータを一元化し、集中的に管理する手法が模索され始めた。そこにインターネットが登場したことで、クラウドのシステムが生まれたというわけである。特に近年は、インターネットが安価で早く接続できるようになったため、これまで個人のパソコンに付随していたあらゆるデータがクラウドを通して使われるようになっている。

 分散管理されていたデータが、理論的には1つのコンピュータで集中管理される様を、空に浮かぶ雲に例えて「クラウド」と呼ぶようになったことは、今や皆さんもご存じだろう。
 



世界有数のエンジニアチームを誇る

 そんなクラウド業界のトップランナーとして駆け続けている企業がある。東京・八重洲に本社を置くテラスカイだ。

 
 4大クラウド企業と称されるセールスフォース、アマゾン、マイクロソフト、グーグル。彼らは何万台というサーバを集積しているデータセンターを作り、どんなに多くのお客が来ても処理できるだけのインフラを整えている。

 
 一方テラスカイは、そうしたデータセンターの部分を担っているわけではない。むしろ、彼らのパートナーとして、データセンターの上に乗っているアプリケーション作る会社だ。

 
 現在、社内にある大量のパソコンをクラウドに移行しようとする企業があとをたたない。自社のサーバで動かしていた販売管理、生産管理、会計、給与といったデータをクラウドに乗せて運用しようというわけだ。そこで、そうした情報をクラウドから取り出して効率よく活用し、相乗効果を生み出すアプリケーションを開発・提供している。

 例えば、日本郵政グループはセールスフォースのクラウドを利用している。そこには「何時に行けば届け先の住人が在宅している可能性が高いか」といった情報が蓄積されており、配達員は例え突然配達区域が変わっても、配布されたタブレットを見て効率的に動くことができる。データが入っているのは確かにセールスフォースのクラウドだが、その情報を使いやすくするソフトを作っているのはテラスカイだ。

 
もちろん、競合他社は多い。だが、「ナンバーワンを自負している」と佐藤は強調する。それだけの根拠はどこにあるのだろうか。

 
約130人いる社員のうち約110人を占める優秀なエンジニアたちは、一つの指標となりそうだ。例えば、セールスフォースはエンジニアに対して様々な認定試験を行っている。その様々な資格保持者の数が、テラスカイは日本で首位に立つばかりか、世界の中でも有数というから驚きだ。

 
セールスフォースは年に3回、アマゾンに至っては毎週のようにバージョンが更新されていく。それを学習するチームがおり、更新内容を取りまとめて他のエンジニアにガイドする。クラウド業界を先頭で牽引してきただけあり、自然とノウハウの蓄積が長く、どこよりも多くの事例を経験しているので、強みとなっている。

 
また、クライアントは現時点で約1000社抱えており、実務に関してそれだけの実績があることも、強みの一つに数えられよう。

 
 B2Bビジネスなので、一見縁が無いようにも思えるが、実は私たちが普段から触れているサイトの中でも、テラスカイの構築しているページやシステムがあるかもしれない。



先行者としての強みを遺憾無く発揮

このテラスカイを率いる佐藤秀哉は、いかにして創業に至ったのか。佐藤は大学を出て日本IBMに入社。約13年間勤務した後、セールスフォースの日本法人立ち上げに参画した。同社はクラウド事業を最初に始めたと言われる、米国を代表するベンチャー企業だ。5年でそのノウハウを受け継いだ佐藤は、テラスカイを立ち上げた。

 
創業後はセールスフォースのサーバを利用している企業にアプローチ。元社員とあって人脈は豊富にあったので、難しい話ではなかった。セールスフォースとしても、いくら自社クラウドの機能を高めても、流石に1社のみで全ての顧客の要望に応えるのは不可能だ。自社製品を売るためにも、テラスカイのようなクラウド上に乗せるソフトウェアを開発してくれる企業は必要だった。

「クラウドという言葉が登場する前から業界にいましたので、技術が進化していく流れや顧客が何を求めているかは見えやすかったですね」

 ただ、技術の進歩は把握できていても、それによって何をしたいかはクライアントによって異なる。先頭を走っていることで察知できる顧客からのニーズを汲み取る形で、テラスカイは成長してきた。


「お客様のやりたいことや売りたいものの情報を把握し、商品があれば上手く提供、もしくは弊社のエンジニアをその方向に育成します。常にトップを走り続けていたい」



好奇心と受容性が重要

テラスカイは5人で創業し、毎年人数も売上も順調に伸ばしてきた。反対に、仕事が来すぎて人が足りないのが現状で、機会損失に悩まされている。採用は基本的に中途だが、新卒も毎年2~3人は採り、今後のさらなる拡大に備える。
 
採用基準について、技術力を持っていることは大前提。あとは人柄だが、「常に好奇心を持って新しいものを受け入れる準備をしている気概が重要」と佐藤は説く。流れが速いクラウド業界では、毎日のように新しいテクノロジーや商品が登場する。これを受容し、対応していける能力が無ければ難しい。
 
もう一つは、そうした新しいサービスや製品に触れた際、瞬間的に取捨選択できる感度の良さも必要だ。いかにテラスカイの優秀なエンジニアとはいえ、膨大な情報をいちいち全て触って見ていくわけにはいかない。
 
技術や商品は基本的には既存のものを進化・改良させたものが多い。見た瞬間にその判断が付けば、前例から効果の程も割り出せるというものだ。

 先輩エンジニアがそうした行動をとっていれば、新しく入ってきた社員たちも自然と風土が身に着くというわけである。

 「まだ130人ですが、これから200人、500人、1000人と社員を増やして、成長していきたい」

 確実に今後も拡大を続けるであろうクラウド市場のトップランナーとして、テラスカイの挑戦は続く。(相澤英祐)



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top