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トピックス -企業家倶楽部

2014年11月07日

澤田塾を創設しプロの社長を育成したい/エイチ・アイ・エス会長 ハウステンボス社長 澤田秀雄

企業家倶楽部2014年12月号 核心インタビュー


赤字続きのハウステンボスの再建を請負い、初年度から黒字化に成功。今期は前年比140%の利益を目標とし、再生支援交付金を早期終了させるまでに再生した社長の澤田秀雄氏。今度は赤字に苦しむラグーナ蒲郡の再生にも乗り出した。エイチ・アイ・エスを国内トップクラスの旅行会社に育て上げたベンチャーの雄も60代半ば。次は私塾の澤田塾を創設、プロの経営者を育て世界に羽ばたかせたいとその意気込みを語る。

聞き手:企業家ネットワーク会長 徳永卓三



ラグーナ蒲郡を再建

問 ラグーナ蒲郡の再建を引き受けられた最大の理由は。

澤田 一年以上前に株主である愛知県や蒲郡市、トヨタから話がありました。第三セクターでやっておられたが、この案件はハウステンボスより規模が小さく、中途半端なのでお断りしました。しかし説得され、引き受けることになりました。

問 ここの魅力は何ですか。

澤田 海がきれいで景色がいいことです。ハウステンボスの場合は建物がオランダ調できれいですが。

問 海をテーマにしたテーマパークですね。

澤田 海をテーマにしているので大きなプールが2つありますが、プールが使えるのは7月中旬から9月中旬、長くて2か月です。夏は集客できますが、あとは全部赤字。規模が小さく魅力的なアトラクションがない。ジェットコースターは長島リゾートの方が大きいですし、名古屋から30分で行ける。こちらは名古屋から1時間かかり全てが中途半端、これでは集客が難しい。

問 それを夏以外の季節も一年中黒字にするにはどうしたらいいのですか。

澤田 HISの中部営業本部長が手を挙げたので、彼が社長になってやっています。若手が育ったほうがいいですから。ハウステンボスより難しいので、勉強と試練とチャレンジの毎日です。

問 ずっと赤字だったのですか。

澤田 後半はトントンになりかけていましたが78億円の債務超過があった。地元資本と言うことで、地元企業にも35%出資していただいて、地元で盛り上げようと。



ハウステンボスは稼ぎ頭に成長

問 ハウステンボスの方はいかがですか。

澤田 もう4年半経ちましたが、売り上げも利益も順調に伸びています。

問 当初100億円利益を出す企業にできると言っていたが、もう達成間近ということですね。

澤田 毎年利益を40%ずつ伸ばしており、来年は100億円を超えます。

問 ハウステンボスが一番の稼ぎ頭になったのではないですか。

澤田 まだHISが稼いでいますが、近づいてきています。ひょっとしたら来年抜くかもしれません。刺激になっていいですよ。

問 ハウステンボスの株式上場は。

澤田 固定資産税の免除を打ち切りましたからいつでも上場出来ます。これで晴れて再建は終わり、これからは飛躍です。上場には2年から3年かかります。ハウステンボスは好調ですが、ラグーナの方は難しい。狭いし近くにはナガシマリゾートがあるし、名古屋から同じ時間かけたらUSJ まで行けますから。だからこそなかなかやりがいがある。二匹目のどじょうはいないかもしれません。

問 ハウステンボス成功の秘訣は何でしょうか。

澤田 テーマパークが成功する条件は3つあります。一つは市場が大きいこと。テーマパークは地元の客が6~7割です。佐世保市は長崎市と併せても69万人市場しかない。ここにディズニーランドの1.6倍の広さのテーマパークを作ったことがそもそも間違い。2つ目はアクセスがいいこと。3つ目は雨が少ないことです。テーマパークは雨が降ると3割減る。「長崎は今日も雨だった」と歌にあるように雨が多い。あとはイベント力。

 条件が全部なかったから裏返せばいい。広くて無駄が多ければ、狭くして経費を下げる。お客さんが少ないならイベント力をつければいい。百万本のバラを咲かせたり、世界一のイルミネーションはディズニーリゾートもUSJも出来ない。結果的には他のテーマパークが出来ないことができた、マイナスがプラスに変わった20年間赤字で自信をなくしていたから、スタッフを元気にしてやる気にさせました。

問 元気にするために打った手は?

澤田 元気になるには結果を出さないと、負ける戦いには行きたくない。そこで最初から半年から1年で黒字にしてボーナスを出そうと。結果を見せると元気になる。

問 1年目から黒字になりましたよね。1年目の12月にはボーナスも出したんですか。

澤田 少し出しました。毎年それが10~20%くらい増えて、利益も売り上げも上がっていますから。結果を見せることが、一番です。あとは基本ができていなかったので厳しくやりました。

問 基本の中で一番出来ていないと思ったのは。

澤田 掃除ですね。朝10分くらいは皆で必ず掃除をしました。サービス産業ですから基本をきちんとやらせる。挨拶とか、笑顔で接客するとか。今は58点です。最初は40点台だった。それが59点になって、一回下がって58点。基本が出来ていないところが一つあったらマイナス1点。マイナス5点超えると点数が上がらない。そういうルールだから客観的で彼らは文句が言えない。千何人もいて店舗の物販だけで20、アトラクションだけでも20~30ありますから漏れることもある。だから点数をつけてチェックしています。

問 澤田さんは毎月行かれるんですか。

澤田 1カ月に2回くらい、1カ月の半分くらいは滞在しています。それ以外の3分の1は海外。



澤田塾でプロの社長を育成

問 今度「澤田塾」をおつくりになると。

澤田 将来のプロの経営者を育てようと。全寮制で3年コース。ものの考え方とか武道、戦略戦術、マーケティングなど座学だけではなく実学を学ばせる。ハウステンボスのいいところは実学が出来ることです。経営は頭だけじゃだめ、全部自分でマネジメントしてみないと。22歳~40歳ぐらいが対象。その後、経営者になるか、世界に散っていくか。HISのグループの中で社長になるか自由です。起業したい人は内容がよければ支援もします。HISの中で社長や副社長させてもいいと。最初は30人前後を考えていますが、授業料は無料で食事と小遣付き。やる気がないとか、経営者向きでないという人は別の道を選んでいただくかもしれません。15年4月1日開始を目指しています。センスがあって、ハングリーでやる気があって、大きな夢と志をもっている人材を選びます。10年後、20年後にうちの塾からプロの経営者が育つことになると。

問 大学みたいなものですね。

澤田 大学とは違います。大学は授業料がいるし座学しかやりませんから。うちは無料だし小遣いも月10~15万円を考えています。卒業後はうちの会社で社長や副社長になってもいい、海外のベンチャーで働いてもいい。募集は11月からで、半分はHISのグループの中から、半分は一般公募。慣れてきたらアジアからも一般公募します。

問 一番企業家に向いている性格は。

澤田 やっぱりハングリー精神。素地がハングリーで夢と志が大きい人。良い素地の人を見つけるのが最初の仕事です。それでコーチして監督して育ててプロの経営者を全世界に送ろうと。



文化・芸術にも力を入れる

澤田 1年前にハウステンボス歌劇団を作りました。宝塚歌劇団は100周年でうちは1周年ですが、その下に学園を作った。全員女性の全寮制。ピアノ、バレエ、歌、日本舞踊まで全部教える。これが大体形ができましたから、次にプロの経営者の塾を作ろうと。

問 ハウステンボス歌劇団は何年ですか。

澤田 全寮制で2年~3年年です。文化や芸術でも人を育て、経営でも人を育てるというのが我々の構想です。企業はお金儲けだけじゃダメ、両面が大切です。ハウステンボス歌劇団は非常に評判が良くて、来年の5~6月に3チームにします。東南アジアや全国から引き合いが多い。

問 ダンスや歌の先生もいらっしゃるんですか。

澤田 もちろんです。元宝塚で優秀な人やバレエの先生を集めました。一流の講師陣を集めないと良い授業ができませんから。宝塚の前の社長に見ていただいたら、非常にレベルが高いと言っていただきました。

問 いろいろ再建のオファーがあるのでは。

澤田 ありますがお断りしています。経営は経験と素質。この2つがないと育たない。受けようと思っても人がいないと受けられない。そこで考えたのがプロの経営者を育てようと。ハウステンボスがあるからできるんですよね。店舗やマネジメント、プランニング、イベント企画など実施で学べる。ここで実地研修した人を世界に送り出す。企業は人ですから人づくりをやろうかなと。

問 経営者としての澤田さんと教育者としての澤田さんの比率は。

澤田 半分半分です。どんどん年をとっていきますから、その間に僕が持っているものや、他の人が持っているものを若い人にどんどん教えていく、やらせて経験を積ませる。本来なら15年かかるところを3年に縮めてやる。本当は小学校からやってみたいのですが。

問 ベンチャー企業家は将来そういうことをやってほしいなと思っていました。我々が企業家大学を作っているのはそういう狙いです。

澤田 うちもどんどん子会社ができましたがきちんと育てた方がいいと思いました。大学院やビジネススクールとかいっぱいありますが、座学が中心。ハウステンボスは実地研修ができるので、頭だけでやるのとは違う。お金儲けもいいですけど、これからは文化・芸術と教育にお金を使おうと。

問 いいですね。教育と文化をやってほしい。

澤田 ハウステンボスをやってよかったと思っています。ゴルフでいえば練習場とゴルフコースを持っているようなもの。実際に経験したらマネジメントの難しさも経験できる。

問 2020年のオリンピックに向けてなにか取り組みはありますか。

澤田 インバウンドがどんどん増えてきていますので、海外千店舗計画を進めている。タイでも20店舗以上あります。アジアの時代が来ますね。

問 ANAと提携しましたね。

澤田 合弁会社をつくって東京や京都だけでなく、地方に海外のお客さんを運ぼうと。訪日外国人は2020年には2千万人になる。日本は観光素材を使い切っていない。歴史もあるし、食事も美味しいし、自然も豊か。地方の素材をもっと海外に紹介して、何度も来日していただけるようお手伝いをする。日本を見て楽しんで、喜んでいただく。それによって雇用が生まれて地方も活性化すれば、みんなハッピーでしょう。



P R O F I L E

澤田秀雄(さわだ・ひでお)

1951 年生まれ、大阪府出身。高校卒業後、旧西ドイツマインツ大学に留学。80 年インターナショナルツアーズ(現エイチ・アイ・エス)を設立。格安航空券販売を手掛け、急成長する。95 年株式を店頭公開。96 年スカイマークエアラインズを設立、98 年には35 年ぶりに国内航空業界に新規参入を果たす。99年協立証券を買収し、エイチ・アイ・エス証券(現エイチ・エス証券)を設立。2004年6月エイチ・アイ・エス会長に就任。2004 年10月エイチ・アイ・エスが東証1部に上場。モンゴル銀行、ウォーターマークホテルなど多様な事業を展開する。2010 年4月からはハウステンボス代表取締役社長として同社の再建に邁進。日本を代表するベンチャー企業家である。第1回企業家大賞を受賞、現在は企業家賞審査委員長を務める。



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