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トピックス -企業家倶楽部

2007年02月01日

特集第3部  インターネットモバイルの変革/解明・モバイル2.0

企業家倶楽部2007年1/2月号特集第3部


2006年は「Web2.0」が大きく取りざたされた。しかしその影で新たな潮流が渦巻きつつある―第3世代携帯電話、パケット定額制普及による「モバイル2.0」である。新たな星が次々と光を放ち始め、モバイルコンテンツ業界は今、大きな激変期を迎えている。(文中敬称略)



「モバイル2.0」の台頭 

 「正直、全く歯が立たない」「ものすごい?お化けサイト“がある」―06年後半、IT系経営者・アナリスト・記者たちの目は1つのサイトに釘付けとなった。

 モバイルのSNS &ゲームサイト「モバゲータウン」が破竹の快進撃を見せている。06年2月のスタート以来10-20代の圧倒的な支持を得て、06年11月には会員数225万人を達成。1日のページビューは1億3200万とヤフーモバイルの6820万をはるかに凌駕する。運営するディー・エヌ・エーはこの成功で一気に脚光を浴びた。

 同社の”飛び道具“はこれだけではない。会員数78万人・1日のページビュー数7000万を誇るモバイルオークションサイト「モバオク」に加え、2 7万の媒体数を誇るモバイルのアフィリエイト(成果報酬型広告)ネットワーク「ポケットアフィリエイト」も保有。三本の矢で強さをいっそう際立たせる。

 比べて守勢に回っているのが、インデックス・ホールディングスやサイバードホールディングスなど着メロ・待受画像で成長したモバイルコンテンツの老舗である。前期までは増収増益を達成したものの、インデックスの06年8月期、サイバードの07年3月期(見通し)は共にM&A戦略の不振で経常減益。彼らが足踏みをしている最中、ディー・エヌ・エーはある1つの波を掴んでいた。モバイルのブロードバンド化、すなわち「モバイル2.0」の波である。

 
 第3部ではモバイルコンテンツ業界の地図を激変させている「モバイル2.0」について記述していく。20ページから22ページで「モバイル2.0」の特徴と、「Web2.0」との違い、その将来像について述べる。以降、「モバイル2.0」の現状の検証として23ページで「広告」、24ページで「モバイルコンテンツ」、25ページで「EC・オークション」と分野別に見ていく。



1「モバイル2.0」の特技 

GPS・ニッチ時間・10-20代

    
 「モバイル2.0」の大まかな定義は、モバイルのブロードバンド化(パケット通信の定額制・第3世代携帯電話〔3G〕の普及)で生まれた現象である。

 PCもモバイルもブロードバンドによって、写真や動画が入ったページを安く・サクサクと・好き放題見られるようになった。しかし、「Web2.0」と「モバイル2.0」は端末の差もあり性格が若干異なる。ここで「モバイル2.0」のみが持つ特技を説明しよう。下記の特徴を存分に生かしたサイトは23ページ以降で紹介する。

 ①位置情報が利用できる

 モバイルは人工衛星を利用して自分がどこにいるのか検索し、すぐ次の行動に繋げられるGPS機能を利用できる。例えば、渋谷で急に気分が悪くなった時にモバイルで渋谷周辺の病院を探し、すぐに駆け込むことが可能だ。この機能をさらに発展させたのが、シリウステクノロジーズ(東京都渋谷区 宮澤弦社長)の「コレどこ」である。

 「コレどこ」は、雑誌についているQRコードをモバイルで読み込めば、その商品を売っていて、かつ今自分がいる地点に一番近いお店の地図をモバイルに表示してくれるサービスである。07年から様々な雑誌に登場する予定だ。

 ②ニッチな時間を集められる

 モバイルはPCには不可能な、利用時間1分や2分といった「ニッチな時間」を集めることができる。信号を待つ1分の間にモバイルで自分のブログを開き、片手でコメントをチェックすることができる。PCではこうはいかない。

 ③コンテンツユーザーは10-20代が主力

 「モバイルコンテンツを使いこなすのは10-20代の若い人が中心です」携帯コンテンツを提供するボルテージ社長の津谷裕司は現状を語る。現在の10-20代はいわゆる?ケータイ世代“。90年代後半から台頭してきた携帯電話・PHSなどに学生の頃から慣れ親しみ 「ケータイはあって当然、コンテンツはダウンロードして当然」という認識がある。

 04年にイプシ・マーケティングが行った調査では、1年以内に有料コンテンツを利用した人が10-20代では7割を超えているが、30-45歳までだと5割程度、45歳以上は3割以下へと下がっている。06年11月に富士通総研が発表したレポートでも「コンテンツの利用者は10-20代の層が中心」との記述があり、10-20代の利用者が中心という現状が伺える。



2「モバイル2.0」が生んだもの

検索エンジン・広告などPCに近いビジネスモデル

 では、「モバイル2.0」によって市場はどう変わったのか。99年にiモードが現れてから、モバイルのブロードバンド化が始まる04年までを「モバイル1.0」と置いて違いを見ていこう。



「モバイル1.0」時代  

①ビジネスモデル 公式サイトによる課金モデル

「公式サイト」とは、キャリアが持つトップページからすぐに見ることができる有料サイトのこと。代金はキャリアが月額の請求から引き落とす。「モバイル1.0」ではこの公式サイトが完全に市場を独占していた。

 
 なぜなら、非公式のサイトである「勝手サイト」の利用者が少なかったからだ。勝手サイトを見るには、直接アドレスを入力したりする必要があり面倒くさい。安全性・使い勝手にも問題があった。無料を謳っているにも関わらず、いきなり代金請求の画面に飛ぶ。

 「このページで画像が見れます」と書いてあるページをクリックしても画像が出てこず、同じようなページをクリックし続けた結果もとのページに戻ってしまう「だましリンク」が網の目のように張り巡らされている。

 こんな荒野状態の勝手サイトを散策しようものなら、収穫ゼロ、かつ万単位のパケット通信料というダブルパンチが襲ってくるだけである。自然、質の高い情報を確実に得られる公式サイトに人が集まり、公式サイト運営者とキャリアだけが儲かるビジネスモデルとなっていた。

②人気コンテンツ 

着メロ、待受画像、メールマガジンなどパケット通信費用がかからないデータ量の軽いものに留まっていた。



「モバイル2.0」時代 

①ビジネスモデル 広告モデル(検索サイト・勝手サイト)、課金モデル(公式サイト ・一部勝手サイト)の並立

 
 モバイルのブロードバンド化でモバイルでインターネットを見る人・情報を提供する人が急増、検索サイトの重要性が浮上した。06年7月にはKDDIがモバイルでのインターネットのトップページ「EZweb」にグーグルの検索エンジンを採用。また、ソフトバンクも同様のトップページでヤフーの検索エンジンを採用、ワンクリックで携帯版ヤフーに接続できる「ヤフーボタン」付きの端末も発売した。

 検索サイトが普及すれば、携帯でもPC同様、直接目的のページに飛べるようになる。だましリンクは通用せず、勝手サイトにも公式サイトと変わらない質の高さが求められる。公式サイトが一方的に有利な時代は終わり、検索と勝手サイトを交えたコンテンツ戦争時代に突入したのである。検索サイト・勝手サイトの媒体価値向上に合わせて、新しい収益源として広告でのビジネスモデルも生まれた。

②人気コンテンツ 着うた、動画、SNS、オークション、EC、ブログなど

3G携帯の普及で大容量のデータ通信が可能になった。また、パケット通信の定額化により通信費用も大幅に低下。データ通信が重いものでも送受信が可能になった。



3「モバイル2.0」の行く先

主戦場は生活インフラへ?

 ディー・エヌ・エーはこの「モバイル2.0」の波を上手く掴み急成長をした。しかしモバイル業界のビジネスモデル陳腐化はPCより早く、一説では2年とも言う。大切なのは各企業が「モバイル2.0」が今後どう発展していくかを見極め、ビジネスモデルを構築することにある。

 今後のモバイルの発展は”ユビキタス社会の主役候補“の一言に尽きる。特にキャリアは、モバイルをユビキタス時代のインフラに据えようと懸命に努力している。店頭に置かれた決済端末にモバイルをかざせば支払いが済む「おサイフケータイ」が代表例だ。

 しかしこの利用料はタダで、キャリアに直接的な収入はない。キャリアの真の狙いは、おサイフケータイを利用してモバイルをクレジットカード化し、手数料収入を得ることにある。通話料収入やパケット通信料で稼ぐモデルに頭打ち感が見えているからだ。キャリアの今後の成長エンジンは生活インフラの利用料=クレジットカード手数料となる。これにいち早く動いたのはドコモで、06年5月、クレジットカードサービス「DCMX」を開始した。

 モバイルが化けるのはクレジットカードだけではない。あらゆるモノを操るリモコンにすら形を変えると予想できる。例えば、会社を出る前にモバイルで炊飯器のスイッチを入れ、帰宅した時には炊きたてホカホカのご飯が食べられるようになる。家のカギがちゃんと閉まっているかもモバイルで確認できるといった具合だ。その際必要なのは、モノ(炊飯器)をワイヤレスでインターネットに繋ぐことである。

 これには2つの方法がある。1つは無線LANなどコンピュータの規格(主な規格として「WiMAX」)を使った方法、もう1つは3Gなど電話会社の規格(主な規格として「W CDMA」)を使った方法である。コンピューターの規格は固定通信並みの速さでデータをやり取りできるのが強み。一方、電話会社の規格は広い地域で使用可能であることに加え、高速道路などで移動しながら話しても途切れずなめらかに話すことが強みである。

 現時点でのモバイルは電話会社の規格中心だが、「今後はコンピュータの規格が今後中心になると思います。こちらは月々数千円程度で電話もインターネットも、テレビ並の動画のやり取りをすることもできる。5ー10年後には現実化しているでしょう」とあるインターネット企業の経営者は予想する。

 実際、ソフトバンクが06年12月にコンピューターの規格(WiMAXの一種)の免許を総務省から取得、モバイルでの商用化に向けて動き始めている。コンピューターと電話、どちらの規格が覇権を握るのか、それとも融合していくのか現時点ではわからない。しかし、ワイヤレスのインターネット技術が進化し、ユビキタスの社会が近づいてきていることに間違いはない。

 身近なモバイル端末で自在にインターネットを楽しめる「モバイル2.0」は「Web2.0」から「あらゆるモノがインターネットに繋がるWeb3.0」への?牽引役“である。「モバイル2.0」でユビキタスが現実となった時|その時こそ「Web3.0」時代が幕を開ける。

 その時モバイルコンテンツ業界はどうなっているのか。

「インターネットはモバイルのほんの一つの機能に過ぎなくなる。今後はモバイルコンテンツ企業が生活インフラに絡んだビジネスに乗り出すことも十分に考えられる」モバイル広告大手・CAモバイル専務の小野裕史は見通しを明かす。

 
 決済手数料など生活インフラでの市場規模は、05年の522億円から09年には2401億円程度へと急拡大する見通し(野村総研調べ)。コンテンツで戦う「モバイル2.0」時代のビジネスモデルで足元を固めつつ、生活インフラに絡んだ「Web3.0」のビジネスモデル確立も視野に入れる―モバイルコンテンツ企業はすでにその必要に迫られている。



「モバイル2.0」の現状をさぐる 

「モバイル2.0」時代の広告、コンテンツ、EC ・オークションとはどのようなものか。 その現状と今後覇者となる企業の条件を追った。



広告編

 「モバイル2.0」の覇者の条件

 
  1 地域連動型広告で消費財の広告を獲る

  2 質の高い検索エンジンと組む 

 
モバイル2.0の台頭で検索サイト・勝手サイトが増加。その波にのって、モバイル広告の期待も高まっている。特にモバイルでのアフィリエイト広告(成果報酬型広告)のニーズは急上昇。先駆者であるディー・エヌ・エーの「ポケットアフィリエイト」の累計媒体数はこの1年で17万増加、27万サイトへと成長した。今や同社の06年7-9月期の売上高29・9億円のうち約4割を稼ぎ出す。

 このように企業から広告を預かり、小さなページビューのサイトに分配するネットワークの意味は大きい。広告主にとって、勝手サイトはいまだ”ブラックボックス“だからだ。キャリアのトップページという”客引きルート“を持たない勝手サイトは集客力に欠け、人気サイトが少ない。広告主はどのサイトに広告を出せばいいかわからないので、現時点ではアフィリエイトを使って手当たりしだい分配し、手ごたえを探るしかないのである。



コンテンツ編 

 1 ”プライベートメディア“ に合ったコンテンツ作り

 2 読者投稿型を推進する


 「モバイルコンテンツは完全に10代が中心。彼らに合わせた戦略が必要です」。ボルテージ社長の津谷祐司はそう指摘する。

 ボルテージは8万人の有料会員を持つ恋愛イラストサイトなど36サイトを運営。利用者のほとんどを10-20代の女性が占める。 ボルテージは女性を”F1層“といった大ワクでは見ない。 女性を年齢・生き方・恋愛状況などで実に30種類に分類、それぞれに合ったコンテンツを配信している。

 芸能人など100人の男の子とメールなどを使い恋人気分を味わえる「ドキドキ☆恋人気分」は恋に恋する10代前半向け、選んだ色で恋愛や仕事の状況を占う「恋セラピー☆カラー診断」は20代前半の社会人向けといった具合だ。同じ恋愛でも、中学生と結婚を視野に入れ始めた20代女性の悩みは全く違うからである。

 ただ、総じて「ボルテージのコンテンツは、夜に1人、ベットの上で数時間単位で閲覧される傾向が強い」(東奈々子取締役)。恋愛などプライベートな悩みをPCで見ると履歴が残り、次に使う人に悩みがバレる恐れがある。

 しかしモバイルならユーザーは自分1人。バレる心配もなく、自分の部屋でじっくりと見たいサイトを閲覧できる。自分の悩みにぴったり合ったサイトを、自分1人で見る―つまり同社はモバイルを”プライベートメディア“と捉え、熱烈な支持層を獲得したのである。


 一方、モバイルを”手軽なコミュニケーションメディア“と捉えて成功したサイトもある。ディー・エヌ・エーのSNS・ゲームサイト「モバゲータウン」である。こちらはアバター(自分の分身)を作り他人の部屋を訪問したり、メール・日記を書いたりと、友達に勧めて皆で楽しむ性格が強い。

 数あるモバイルSNSの中でモバゲーがダントツの会員数(225万人)となった理由は、一つの?仮想経済圏“を作り上げた点にある。友達を入会させれば仮想通貨「モバゴールド」が手に入る。これを使えばアバターの服や家具を購入できるため、熱狂的に友達を誘う。会員が増えれば日記や掲示板など新鮮なコンテンツが自然に生まれ、コミュニティが活性化。そこに魅せられ新たなユーザーが入会する。この正のスパイラルでモバゲーはお化けサイトへと躍り出た。

 モバイルコンテンツの勝負は、新鮮なコンテンツを揃えるなど、いかに人を飽きさせない仕組みを整えるかで決まる。「ヘビーユーザーの10-20代はとにかく飽きっぽい」(モバイルシステム提供のシリウステクノロジーズ社長の宮澤弦)からだ。モバゲーはそれを”仮想経済圏“構築で乗り越えた。ちなみに前述のボルテージも、読者が自分で待受画面を作り投稿し、自然にコンンテンツが生成されるサイトを持っている。そんな仕組みがないサイトは悲惨だ。「飽きられたら数カ月でサイトを閉鎖、すぐに別のサイト開設なんて話はザラ。まるで焼き畑農業」と宮澤は現状を語る。

 今後、利用者とコンテンツ増加に伴いポータルサイトの必要性が出てくる。その下に着メロ、待受画像などを提供するコンテンツ各社が馳せ参じ、共同体を作っていくだろう。PCではヤフーが覇者となり高い利益率を誇った。モバイルも同様のことが考えられ、各社がその座を狙っている。ポータルは集客力=ページビュー数が命と考えると、現時点ではモバゲーが最有力候補と言える。

 読者投稿型で集客力を磨き、モバゲーのようにポータルをめざすか。それともボルテージのように”プライベートメディア“に合ったコンテンツを作り、熱烈な支持層を獲得するか。モバイルコンテンツ企業は今、そんな選択を迫られている。



EC ・オークション編

 1 ユーザーの年齢層を上げる

 2 安全性を高める

 PCの覇者がモバイルの覇者とは限らない。そんな事実を如実に示す例がある。PCのポータルサイト覇者といえばヤフー。それをモバイルに移した「Yahoo!モバイル」のページビュー数は1日あたり6820万ある。しかしディー・エヌ・エーの運営するモバイルオークションサイト「モバオク」はそれを超える7000万、「Yahoo!モバイル」の一部である「Yahoo!オークション」のはるか先を行く。

 「モバオク」躍進の理由は、10-20代の”ケータイ世代“をごっそり囲いこんだ点にある。月額315円を支払う会員数78万のうち約6割が24歳以下の若者で、25-40代中心の「Yahoo!オークション」より年齢層は低い。

 
 同様の”ケータイ世代“囲い込みで、モバイルのECに成功した会社がゼイヴェル(東京都港区 大浜史太郎社長)である。同社は「CanCam」など女性誌で人気の服を買えるモバイルサイト「girlswalker.com」を運営、2660万人の読者数を誇る。しかし同社の取り組みはサイト運営に留まらない。

 2006年9月。同社が開催したファッションショー「東京ガールズコレクション」に訪れた10-20代の女性約2万人が沸いた。人気モデル・蛯原友里や山田優などが参加し、人気ブランドの服を着て登場。彼女たちの服はモバイルを使いその場で買うことができる。モデル見たさに参加した人も「girlswalker.com」を知ることになるわけだ。

 今後、このようなリアルとモバイルを絡めた”クロスメディアマーケティング“が重要となる。”ケータイ世代“より上、25-40代の年齢層を取り込む切り札となる可能性があるからだ。「25-40代の層は、”ケータイ世代“に比べ雑誌・新聞などリアルのメディアを好む傾向が強い。リアルをきっかけにモバイルに入ってもらうのが一番」とある携帯系会社の経営者は語る。

 25-40代の層を取り込む意味は大きい。彼らは”ケータイ世代“とは比べものにならないおカネを持ち、その取り込みは売り上げの急拡大に繋がるからだ。

 ただ、25-40代を取り込むための”クロスメディアマーケティング“には莫大な広告費が必要である。大企業が資本を武器に”クロスメディアマーケティング“を行い、25-40代の層開拓の突破口となる可能性が高い。ベンチャー企業は、大企業が25-40代の市場を開いたら大企業のサイトに広告を貼るなどして集客をする、といった戦略が有効かもしれない。ただ、それもサイトの安全性なくしては成り立たない。25-40代の層は”ケータイ世代“よりモバイルでの購入に抵抗があり、取引金額も高い。安全性がないとわかれば以後モバイルECはお断り、といったことも考えられる。

 
 05年のモバイルECの市場は前年比57%増の4074億円(06年総務省調べ、調査対象は公式サイトのみでオークションは含まれていない)と順調に拡大中である。モバイルオークションもまた取扱総額を伸ばしている。各社すでにその旨みを狙い、競争は激化の兆しを見せ始めている。

 ECではユニクロや良品計画(無印良品)など大企業が公式サイトで幅を利かせる。オークションでも、06年11月にはドコモが楽天と組んでトップページで新たにモバイルオークションサイト「楽オク」をオープン。これでドコモ&楽天陣営(「楽オク」)、ソフトバンク&ヤフー陣営(「Yahoo!オークション」)、au&ディー・エヌ・エー陣営(「モバオク」を「auオークション」として運営)の3陣営が出揃った。「モバイル2.0」のEC・オークションの勝負は今、始まったばかりである。   

 一方、モバイルの検索サイトはと言うと、PCでお馴染みの検索連動型広告が立ち上がり始めている。しかし手法はかなり異なる。「PCは払ったおカネ重視で表示順位が決まる。しかしうちは、おカネを払えば上位に出る回数が多くなる方式を採用しています」(i nfoseek モバイルなどに検索連動型広告を提供するサーチテリア社長の中橋義博)

 
 理由は画面の小ささにある。モバイルはPCよりも広告枠が少なく1-2個程度。払ったおカネで表示順位を決めると、入札額が1番高い1 社のみの掲載となり、大企業が資本を武器にキーワードを買い占めて2位以下の広告もありうる。しかし、回数を競う方式なら入札額が低くてもいくらかの確率で広告が表示される。回数方式なら独占は起こらず、安定して成長拡大できるというわけだ。 

 ただ、モバイル広告の現時点での市場はまだ小さい。電通の調査では、2005年のインターネット広告費は2808億円(前年比55%増)、モバイル広告は288億円(前年同期比60%増)である。モバイルに広告を出している企業も、短期日雇い、モバイルサイトなど10-20代を顧客に持つ企業に加え、消費者金融系が多かった。しかし規制強化で消費者金融の収益は悪化、広告費も減った。「これは危険。今後はユーザーの増加に合わせて、消費財などの広告にシフトする必要がある」とモバイル広告大手・CAモバイル専務の小野裕史は課題を示す。

 消費財の広告を取り込む武器となるのは、やはり「地域連動型広告」だろう。これは、モバイルのGPS機能を利用して地図を表示すると、地図の下に近くのお店や企業の広告が出るというもの。すでにディー・エヌ・エーのゲームサイト「モバゲータウン」で始まっている。地域連動型広告の認知度が高まり、スーパーの特売情報などが入るようになれば、会社帰りにモバゲーで情報をチェックした後、夕ご飯の買い物をしたりもできる。モバイル広告に食われるのは、新聞の折込チラシのような地域に根ざした広告かもしれない。

 検索連動型広告について言えば、課題は市場性である。モバイルは画面が小さく、手が空いた2 3分でものを調べることが多い。PCのように膨大なサイト数を長時間かけて閲覧することはまれで、PCで起こったロングテールは起こらない可能性がある。

 それを踏まえてモバイルの検索連動型広告の覇者の条件を予想すると、いかに質が高く、一発でモノを見つけられる検索サイトと組み、共にナンバーワンになれるかに集約される。  



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