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トピックス -企業家倶楽部

2005年08月27日

理念を共有、全員参加型経営で食の「感動創造」を実現したい/レックス・ホールディングス社長 西山知義

企業家倶楽部2005年10月号 レックス・ホールディングス特集第3部 編集長インタビュー


外食事業に進出後、わずか10年で日本屈指の外食チェーンに躍り出たレインズ。2004年にはコンビニエンスストアam/pm、高級スーパー成城石井を買収、外食・中食・内食全てのインフラを手に入れた。そして今年、持ち株会社レックス・ホールディングスとして新たなスタートを切った。西山知義社長は「『感動創造』の理念を共有し、全員参加型経営を行い、食の全ての分野で感動創造を実現したい」とその意気込みを語る。

(聞き手は本誌編集長 徳永卓三)

 



外食・中食・内食のインフラを武器に二極化戦略を図る

問 今年五月、社名をレインズインターナショナルからレックス・ホールディングスに変更し、持ち株会社として新たに出発されましたね。この新社名にはどういった由来があるのですか。

西山 REX(レックス)とはリテール・エンターテイメント・エックスの略称です。ただの小売業(リテール)ではなく、感動・楽しさといったエンターテイメントを、様々な業態、すなわちXを通じて提供したいと考えて命名しました。それに加え、レックスにはスペイン語で王様という意味もあるのです。小売りの王様になる、そんな願いもこの社名には込もっています。

問 その小売りに進出されたきっかけが、〇四年八月の、コンビニエンスストアam/pmの買収でした。西山社長はなぜコンビニに興味を持たれたのですか。

西山 単身者世帯や二人世帯が増え、家で食事を作る回数も減った今、外食・中食・内食の中で最も成長が期待できるのは、中食です。その中食の最大のマーケットであるコンビニは、食のマーケットの中で急成長するのに絶対に必要だと思いました。それに加え、僕は「なくてはならない仕事」をずっとしたかった。だから、人々の生活を支え、もはや欠かせないインフラとなったコンビニはとても魅力的でした。けれど、コンビニの場合、新規で参入し一店一店、店を出していくのは難しいんです。ATMや公共料金の支払いのインフラを整えるのには、七百店もの規模が必要だからです。「これはM&Aしかないな」と考え、ある程度の規模があり、インフラを整った案件をずっと探していました。そして去年の三月になって、am/pmの話が飛び込んできたのです。

問 当時のam/pmの秋沢社長(現am/pm会長)は西山社長にどのようなことを言われましたか。

西山 秋沢さんは私どもの意気込みを見たかったのでしょう、「詳しい話より、まずは一店経営して下さい」と言われました。その場で承諾し、翌日から僕も含め全役員am/pmの店長研修を受けにいきました。そして松宮を店長に、一店を任せられたのです。商品はそのままで接客などを変えて、月商を三〇%強上げましたね。お弁当を美味しくしたり、接客のレベルを上げるなどレインズの得意分野を生かした経営をすれば、コンビニの経営は可能だと確信しました。

問 数値での結果以外に、秋沢さんはどのような点を評価されたのでしょうか。

西山 小売りの泥臭さを身にしみてわかっている点だと思います。私も焼肉屋の一店舗目の店長として自分でメニューを考え、レジを打ち、肉の下ごしらえをしてきましたから、その苦しさはよく知っています。小売りの世界は、多くのアルバイト、FCオーナーを尊重して共通の目標を立て、経営管理をしないと成果は出ません。仕組みを少し変えたくらいではスタッフに笑顔が生まれないんです。その実感がないIT企業がM&Aを申し込んでも、秋沢さんは受けなかったでしょうね。

問 秋沢さんが見込んだ通り、西山社長は見事am/pmの業績を回復させましたが、その秘訣を教えて下さい。

西山 組織風土の醸成です。以前はお客様の方を向き切れていませんでした。それを踏まえ、お客さまに対しどうしたいのか皆で再定義し、赤字を止め、経営計画を立て、実践してきました。レインズでずっとやってきた全員参加型経営を行ったんです。その結果、買収前の〇四年三月期に二十三億円だった赤字は消え、〇五年十二月期(会計期の変更による)は十五億円の黒字を見込むまでになりました。一店舗の一日平均売上高も三万円ほど高まり、約四十六万円となりました。とはいえ、セブン-イレブンと比較すると二十万円ほど低いし、全店がお客様の方を見れているわけではない。まだまだやるべきことの百分の一を達成した段階ですね。でも、やることが多いことがすごく楽しいです。

問 am/pmが今後やるべきこととは何ですか。

西山 am/pmの既存店売上高を上げると同時に、新たなコンセプトを立ち上げます。今、日本は三十年に一度の外食流通の大変革期を迎えています。所得構造の変化で二極化が進み、人口構造の変化・少子高齢化で、単身・二人世帯が増えています。そんな中、外食流通で求められるコンセプトは二極化です。すでに中流階級をターゲットとした既存のコンビニは四万件強で飽和状態。これまでのように一つのコンセプトでマスをカバーすることは不可能であり、ターゲットに合わせてコンセプトを変える必要があるのです。そこでam/pmが、低価格で付加価値の高いコンビニと、高付加価値高単価なコンビニを作り、二極化に対応します。

問 どういった業態を展開されていかれますか。

西山 低価格帯では「フードスタイル98」という98円均一のスーパーマーケットを作りました。また、百円の商品のみを置いたコンビニ「am/pm100」も作ります。高価格帯では、ワインのセレクションなども揃えた成城石井のコンビニが、来年をめどに登場します。

問 その成城石井の経営権を取得されたのが、am/pmを買収されてからわずか二ヵ月後だったので、非常に驚きました。どのようないきさつだったのでしょうか。

西山 成城石井の時は、先方から話を頂きました。二極化に対応した事業を行うことを決めていたので興味はありましたが、正直なところ資金に余裕があったわけではありません。しかし先方の要望もあり、最終的にのれん代ゼロでM&Aができました。成城石井がグループに加わったことで、高級商品の仕入れ、販売のノウハウ、成城石井のブランディングイメージを獲得できました。小売りで二極化戦略を完成できるので、本当によかったと思います。

問 am/pm、成城石井がグループ入りしたことで外食・中食・内食すべてのインフラが整いましたが、このシナジー(相乗)効果をどのように発揮されますか。

西山 例えば、今まで成城石井単独では、ATM、公共料金の支払いができないので、コンビニを手がけることができませんでした。しかし、レックスグループならam/pmのインフラを活用することで、コンビニ展開ができる。その他にも物流のコストダウン、仕入れ、物件店舗開発、FC展開などで数億円規模のシナジー効果が出ると思います。



「感動創造」の理念の共有こそレインズの強み

問 BSE(牛海綿状脳症)問題で、米国産牛肉の輸入が禁止されていますが、外食の主力業態「牛角」に影響はありましたか。

西山 やはりあります。米国産牛は、僕らが提供する価格帯では最も良質な肉でした。それがオーストラリア産に変わったことで、お客様の満足度は少し下がりました。味のよい国産牛を市場を通さず一頭買いし、牛角、コンビニのお弁当、成城石井などで販売していますが、米国産牛に比べ値段は高くなります。輸入が再開せずとも今の経営水準は守れますが、早く再開してほしいです。

問 レインズはFC加盟店の募集を代行するベンチャー・リンクと組んで成長してきました。その際、契約はしたものの出店に至っていない「未出店枠」が発生してしまいましたが、解決策はお持ちですか。

西山 ベンチャー・リンクとの契約は今期末で終了します。未出店枠に関しては、来期にはなくす計画です。その鍵を握るのが、今年四月設立した、中古店舗買い取り事業を行う子会社テンポリノベーションです。今、日本では一年間で六万件もの飲食店が廃業しているのですが、その店舗のほとんどが壊されています。すごくもったいないし、環境にもよくないですよね。その店舗をテンポリノベーションが安価で買取り、改装した上で開業希望者に貸し出すのです。これだと初期投資が低くなるので、リース代も大幅に下がる。未出店の理由のほとんどが資金面の都合ですから、その解決を図ることは非常に有効な方法です。

問 そうして出店数を増やしていくのですね。〇五年一月から六月の既存店売上高も、ほぼ前年同月比一〇〇%を超えるなど健闘しています。パートナー(アルバイト)の頑張りが理由の一つにあると思うのですが、若い方のやる気を引き出すのに心がけていることはありますか。

西山 理念への共感ですね。そのためには、本人が自分の仕事をする使命、理念をまず理解しないといけない。何をしたくて働いているのか、自ら気付く必要があるんです。その時、人に喜ばれ、感動していただくことこそ、自分の存在価値だと気が付いた人は、私たちの「感動創造」という理念に共感できるでしょう。

問 なぜ「感動」なのでしょうか。

西山 感動とは、お客様が来てくださる前に抱いていた「事前期待」以上に、実際お店に行ってみて感じた「実感」がよかったことを示します。「事前期待」イコール「実感」なら満足で終わりますので、エンターテイメントを志す企業は顧客満足という言葉を使いません。だからレインズの理念も「感動創造」なのです。その理念に共感した上で、計画を一緒に立てて、全員参加の経営を行うことが大切だと考えています。また、彼らが達成した時は思いっきり評価することも心がけています。そのために、パートナーズフォーラムという、パートナーの表彰式を年に二回行っています。四千人が一堂に会して、自ら努力して底上げした店舗の業績、そのいきさつを発表するのです。パートナーさんたちは発表しながら泣いちゃうんですよ。私まで感情移入して涙が出てしまいます。

問 表彰がお好きなのですね。

西山 もう大好き、表彰だらけですよ(笑)。レインズ社内でも、年に十回表彰を行っています。特に年末に社員達・役員の投票で決める「トップ・オブ・レインズマン」の表彰は、本当に印象的なんです。選ばれると役員確定で、BMWや海外旅行が贈られますよ。内緒で奥様のコメントをビデオにとっておいて、表彰の時流したりもします。何も知らなかった受賞者は、もうそれだけで涙が止まらないんです。そんな受賞者を見て、皆が感情移入し泣いています。

問 泣かれるほど、一生懸命仕事をなさっているんですね。

西山 そんな会社を作るのが僕の仕事です。僕は自分を桃太郎みたいなものだと思っています。社会に貢献しようと鬼退治に向かいつつ、きびだんごという形で評価をしている。とはいえ、きびだんごだけで仲間に誘っても、道が険しくなったら帰られてしまいますよね(笑)。それでも犬・猿・雉が桃太郎についていったのは、鬼退治という理念に心から共感していたからでしょう。会社だって同じです。評価も必要ですが、何より大切なのは理念への共感だと思うのです。



「存在価値を感じたい」その思いから外食事業に進出

問 「感動創造」がレックスの旗印となっていますが、西山社長はなぜこのようなコンセプトお作りになったのでしょうか。

西山 小さい頃、父親によく感動させてもらったのが原点かもしれません。今でもよく覚えているのは、水泳大会で一生懸命練習をして結果を出した時のことです。なかなか物を買ってくれない父が、僕を近くのお菓子屋さんに連れて行ってくれました。それで「お前、何欲しい」と聞く。「プロ野球スナックについてるカードが欲しい」って答えたら、「おばちゃん、今のをダンボール二箱分くれ」って言うんです。そこまで買うと、プレミアムが付いたアルバムまで入っているんですよ。もう飛び上がって喜びましたね。父はそんな風に、僕の人生のポイントポイントで、必ず僕の期待を遙かに上回ることをしてくれました。だから、人をいい意味で驚かせたいという思いは昔から強かったです。

問 お父様のおかげだった。

西山 とはいえ、一九八七年、二十一歳で不動産屋をスタートした頃は、自分が成功したい、金を儲けたい、そんな思いばかりでした。けれど、そんな私に共感する社員なんていませんよね。横領事件なんかも起こり、何度も倒産の危機に直面し、自身のマメネジメント能力について本当に悩みました。そんな時、書店でマクドナルドのことを書いた本に出会った。この本にいたく感動し、不動産屋社長の身分を隠して、マクドナルドにアルバイトでもぐりこんだのです。すると、アルバイトの学生たちが休憩時間中にマニュアルを読んで勉強している。聞くと、彼らは、責任を持たされるのが楽しいから、お客様に喜ばれるのが嬉しいから勉強していると言うんです。その時、人はお金のためではなく、お客様の喜ぶ姿が嬉しくて働くのだと気が付きました。そして自分も、「お客様に喜んでもらう仕事をしたい」と思うようになったのです。

問 すごく大切なことに気づかれたのですね。

西山 それと前後して、存在価値がある会社を作りたいとも考えるようにもなりましたね。というのも、とあるベンチャー企業家の会合で「あなたの会社の差別化は何ですか」と聞かれた時、周りの方がスラスラ答えられたのに、僕だけ応えられなかったことがあったんです。その時初めて「仕事を接待で貰っているうちの会社には、差別化がない」と知りました。本当にむなしかったです。自分は何のためにこの会社を創業したのか悩みました。そして「あなたの会社があってよかった」と言われるような、存在価値のある会社にしたい、そう、強く、強く思ったのです。自分のしたことを喜んでもらえるということは、自分の存在価値を感じることです。すごく幸せなことですよね。それを不動産屋で実現したいと思ったのですが、資本も担保もない僕には難しかった。そこで、「飲食店なら資本が少なくてもできる、お客様の笑顔を間近に見れる!」と思い、外食をやることを決めたのです。

問 不動産屋が焼肉店を経営するとなると、周囲の方は驚かれたと思います。

西山 もちろん社員には「社長、頭おかしくなったのか」と言われました。焼肉店で働いた経験もありませんし、書店で焼肉店の本を買ってきて料理の作り方などを研究しましたね。そしてなんとか東京・三軒茶屋に一店舗目を開店したのですが、日商一万五千円なんて日もありました。夫婦二人で駅前で必死でビラ配りをしたり、「とにかくお客の悪口を聞いて改善していく店にしたい」と、店の悪いところを書いてくれたお客様に三百円を支払うキャンペーンもしましたね。その結果、開店から半年で店には行列ができるようになったんです。嬉しかったです。

問 FC展開はいつごろから始められましたか。

西山 三店舗目を出店した頃です。日経ビジネスを読んで、サンマルクがベンチャー・リンクのFC展開支援で急成長していることを知ったことがきっかけでした。どうしてもベンチャー・リンクとFC展開をしたいと思い、当時にすれば大金の四百万円を支払ってベンチャー・リンクの親会社のコンサルティングを受けました。そして、小林忠嗣会長にお会いしたのです。その時「二十店紹介する。ただ収益がでなかったら、一生かけて加盟店様にお金を返し続けられるか」と聞かれ、「やります。必ずやります」と宣言したのを覚えています。小林会長には本当に色々なことを教えていただいて、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。取引は今年でなくなりますけど、レインズの成長の最初のステップは小林会長との出会いだったことに変わりはありません。



2015年、外食日本一流通小売日本一をめざす

問 今後、海外進出はどのように行っていきますか。

西山 現在、牛角が台湾に四軒、シンガポールに一軒、アメリカに七軒あります。アメリカは、全店営業利益が二〇%以上出るなど非常に好調です。今のところ焼肉事業でライバルが存在せずじっくり取り組めるので、直営で展開しています。再来年、出店数が二十店に達した頃、ナスダックに上場したいと考えています。

問 国内の話に戻りますが、am/pmの上場はお考えでしょうか。

西山 まだわからないです。上場は成長を約束することなので、その意識を社員が共有した上で「上場したい」と言ったら、話し合って決めていこうと思います。なりたい企業像が明確にあって、その上で上場が必要だったら上場してもいいでしょう。

問 西山社長は三十九歳、どんどん挑戦できますね。

西山 レックスの名のとおり、小売りの王様をめざして挑戦しますよ。正式な計画ではありませんが、社内向けに三年単位で策定する中期経営計画で、二〇〇八年売上高四千億円を設定しました。あくまで夢のある数字にしようという意図で作ったものですので、誤解しないで下さいね。いずれにせよ、そういった目標を達成すべく徹底的に努力をします。そして早ければ二〇一五年には外食日本一、流通小売日本一を達成し、食の全ての分野で感動創造を実現したいです。

問 その頃には、セブン-イレブンを追い越されていますか。

西山 まったく同じコンセプトで追いついてるかは別としても、トータルの規模では匹敵する、何兆円規模の会社になっていると思います。



西山 知義(にしやま ともよし)

1966年生まれ。87年、国土信販(株)を設立し、不動産賃貸管理事業を開始。96年、外食事業に参入、「焼肉市場 七輪」(現在の「炭火焼肉酒家 牛角 三軒茶屋店」)を開設。97年、ベンチャー・リンクと提携、FCでの拡大を始める。98年、株式会社レインズインターナショナルに社名を変更、2000年ジャスダックに上場。04年、am/pmと成城石井を買収し、中食・内食に本格的に参入。05年5月、レックス・ホールディングスに社名を変更、外食小売日本一をめざす。



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