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トピックス -企業家倶楽部

2014年11月20日

顧客満足を追求する住宅のワンストップ企業/東日本ハウスの強さの秘密

企業家倶楽部2014年12月号 東日本ハウス特集第2部


東日本ハウスは他の住宅メーカーとは一味違う。独自に棟梁集団を組織し、二人三脚で家づくりを行っている他、家が建った後もアフターサービスを欠かさず、親身になってお客を支える。「家を売るのではなく、会社の考え方を売る」という同社の強さの秘密を紐解きたい。

(文中敬称略)



一気通貫したサービスで勝つ

 誰もが憧れる夢のマイホーム。人生で最も高価な買い物であり、購入は一生に一度の経験という人がほとんどであろう。ハウスメーカー選びが慎重になるのも、ごく自然なことだ。価格帯や外観など、表面的な部分に関してはインターネットで調べることが可能だが、実際の決め手は営業マンの対応や口コミによるところが大きい。

 どんな会社の営業マンとて契約の段階までは親身なもの。しかし、一度契約が決まってしまうと、手のひらを返したように疎遠になるケースも少なくない。特に住宅産業では、契約を進める会社と実際に施工する会社が別々なため、その傾向は強くなる。

 そんな中、家づくりからアフター対応まで一気通貫したサービスで業績を伸ばしているのが東日本ハウスだ。家が完成するまでお客の要望に応えるのはもちろん、完成後も5年目までは年に2回、6?10年目も年に1回は必ず訪問。その先もリフォーム事業部が引き継ぎ、お客の声を聞く。クレームなどへの対応を嫌がり、進んで訪問することが少ない他社に比べ、真摯な企業であることは間違いない。



モノの先にあるストーリーを売る


 特徴的なのはアフターサービスだけではない。家を建てる前の段階から、東日本ハウス流の家づくりは始まっている。

 例えば、棟梁と山へ檜(ヒノキ)を切りに行くバスツアーを開催。まさに目の前で切ってもらったその木が、マイホームの大黒柱となるのだ。中には、成長に合わせて子供の身長を刻むお客もいるという。

 家が完成したあかつきには、担当した営業マン、棟梁まで含め、テープカットのセレモニーが行われる。さらに記念として、家づくりの過程を記録したDVDまで作成するという手の込みようだ。ここまでされて、家への愛着が湧かないわけがない。

 社長の成田和幸も口を酸っぱくして言う。

「俺たちは家を売っているんじゃない。会社の考え方を売っているんだ」

 家というモノの先にあるコトを売る。東日本ハウスが提供しているのは一つのストーリーなのである。お客の人生の1ページに寄り添う、まるで結婚式をプロデュースするウエディングプランナーのような企業と言えよう。

 保証期間も、業界最長の60年。一般に住宅の寿命は、アメリカで60年超、イギリスに至ってはなんと80年と言われている。一方、日本では30年に満たないというのが実情だ。東日本ハウスの設定した保証期間からは、この現状に真っ向から挑もうという意志が感じられる。

 もはや、大量生産・大量消費の時代は終わった。長らく続いたデフレも終息しはじめ、消費者は「安かろう、悪かろう」ではなく、値段が高くても高付加価値なものを欲するようになっている。東日本ハウスは、本質的な顧客満足とは何か、よく理解しているのである。


モノの先にあるストーリーを売る

檜ありきの家づくり

 神奈川県横浜市にある「TVKハウジングプラザ横浜」。日本最大、61棟のモデルハウス数を誇るこの展示場内に、東日本ハウスの主力商品「やまと」もある。清潔感溢れる外装からモダンな雰囲気が漂うこの家は、同社が自慢とする商品要素のオンパレードだ。

 玄関から左に入ると、落ち着いた和室が迎えてくれた。東日本ハウス一番の売りである檜から温かみが伝わってくる。また、通常よりも畳のサイズが大きく設計されているため、広々とした実感が得られるのも特長だ。

 広さと言えば、廊下やトイレの扉なども同じ。バリアフリーを意識し、車いすでも難なく通れるように最初から作りこまれているのだ。こうした廊下の幅などは一度建ててしまうと直すのには大規模なリフォームが必要となってくる。若いお客にはなかなか伝わりにくいことも多いが、ここにも一度建てたからには末永く使ってもらいたいという東日本ハウスの思いが詰まっている。

 極めつけは大黒柱だ。リビングに入ると、一本の大きな柱が高い天井に向かって伸びている。もちろんこれも檜。モダンな空間にアクセントを加えつつ、家が丈夫に支えられているという安心感はこの上ない。横浜支店営業課課長の加藤健も「大部分のお客様に関心を持っていただけます」と微笑む。

 東日本ハウスが高価な素材である檜にこだわるのは、耐久性など多面的に考えた時に「損して得取れ」の状態になるからだ。スギも香りは良いが、シロアリ対策など含めて考えると檜に軍配が上がる。当然、なるべく安価に仕入れられるように企業努力は欠かさない。檜ありきの家づくりをしているため、一度の仕入れ量が大きく、その分他社よりも安く手に入れることが可能となっているのだ。



太陽光パネルも標準搭載

「やまと」シリーズの売りは、檜だけではない。丈夫で長持ちという面では、制震性・耐震性に優れたグッドストロング工法によって建てられている。壁の内部に設置された地震エネルギー吸収装置が揺れを抑え、特に2階床の揺れ幅は通常の4分の1にまで軽減されるという。建築基準法の認定として最高の耐震等級3は、実大実験によって阪神淡路大震災の2倍の振動に耐え抜くことで立証されている。

 また、ほぼ全ての家に標準搭載されていて嬉しいのが太陽光発電だ。一般の住宅では月の電気代は約1万円といったところ。しかし、東日本ハウスの家には2・55キロワットのソーラーパネルが備えられているため、約3000円にまで抑えられる。月7~8000円、すなわち年間で見れば9?10万円もの節約になり、お得だ。

 さらに、太陽光発電を重視した家づくりを行うと、売電も可能。成田の働きかけが功を奏し、みずほ銀行はローンを組んだ際に売電収入を考慮するシステムを始動する。環境に対する意識も高まってきている昨今、東日本ハウスには追い風が吹いていると言えよう。

 同社は太陽光発電に止まらず、断熱性能でも先行する。トリプルガラスを使用した窓は、ガラスを3枚重ねることにより内部の空気が熱をカット。夏は涼しく、冬は暖かい快適な生活を送ることができる。

 その他にも、東日本ハウスの商品力を挙げるとキリが無い。ゼロから自分たちで作り上げる家だからこそ、ニーズに応じて様々なバリエーションから選べるアイテムもあり、可能性は無限に広がるのだ。

 例えば床。木でも鉄のように固く、傷が付きにくい素材もあれば、寝ころんでも痛くないほど柔らかく、まるで畳のように仕上がる素材もある。室内の壁も、塗り壁にすれば優れた調湿性を持つようになるため、霧吹きで水を吹きかけても一瞬で乾いてしまうほど。外装を高級タイルにすれば、メンテナンス費用も抑えつつ、デザイン性も高く保てるので一石二鳥だ。

 檜、優れた耐震性能、ソーラーパネルは標準搭載。あとはニーズに合わせ、部屋の配置から素材、雰囲気まで自ら決めていく。まさに夢のマイホームの完成を、東日本ハウスは全力で応援している。


太陽光パネルも標準搭載

営業には個性があっていい

 ただ、いくら良い商材があっても、お客のニーズを見誤っては売れるものも売れない。特に、東日本ハウスの商品のように売りとなる部分が多いと、一つひとつの説明を長々と熱心にされたところで、全体として何が言いたかったのかが玉虫色になり、お客も困ってしまう。営業というだけで構えてしまうお客も多い。営業力は同社の要と言える。

 8月28、29日、盛岡の「ホテル森の風 鶯宿」にて行われた営業大会。全国から名うての営業マンが集結して開催されたロールプレイング・トーナメントでは、実に様々な営業スタイルを見ることができ、面白かった。

 赤外線を探知して熱分布を測るサーモグラフィー片手に、断熱効果を力説する人。とにかく声が大きく、元気で押すタイプの人。わざわざその場で木を組んで家のミニチュアを作っている人もいる。

 決勝まで勝ち上がった営業マンは、本物のタイルを取り出し、鉄のクギと一緒にお客に渡していた。

「思い切り、タイルをクギで引っかいてみてください」

「え、いいんですか?」

 お客役の社員は若干躊躇しながらもガリガリとこすった。傷は全く付かない。それどころか、クギの尖っていた部分の方が削れて丸くなってしまっている。

「このように、私たちの商品の外装タイルは摩耗や衝撃に強く、大変長持ちいたします」

 目の前で実際に再現されると説得力は抜群。営業マンの誇らしげな語り口も、自信に溢れていて頼もしい。

 営業時に何を持っていくかは本人次第。できることならば自分の得意分野で攻めたいが、実際にはお客のニーズに合わせ、その部分を重点的に説明する。現在住・環境リフォーム事業部長を務める真田和典も、「各支店長や営業マンは平均化するのではなく、個性があっていい。それでこそ東日本ハウスらしい」と語る。

 営業に正解は無い。本質的な考え方の部分に関しては先輩を真似できても、実際の現場ではお客の状況に応じて臨機応変な対応力が求められる。それぞれの営業マンが独自の成功ノウハウを積み上げることで、勝ちに行く。


営業には個性があっていい

東日本ハウス流エンジニアリング営業

 東日本ハウスの営業マンには、良い意味で垣根が無い。お客からの質問や要望にその場で応えられるように、自社製品の特長と強みを熟知しているのは当たり前。そのラインに止まらず、自分なりにより深い専門知識について学習していたり、一級建築士の資格を取っていたりする。

 何を隠そう、社長の成田も図面を自分で書いてお客にその場で提示していたタイプの人間だ。そうしたこともあり、彼は伝説の営業マンとなった。これこそ、東日本ハウス流「エンジニアリング営業」なのである。

 お客の要望などをまとめ、「次までに調べてくる」では悠長過ぎる。近日中に次のアポが取れるかも未知数だし、その間に他社に決められてしまうかもしれない。営業はスピードが命。裏を返せば、多くの知識を自身の頭で把握できている営業は強い。

 単に口頭で説明できるだけでは無い。扉の立てつけなど多少の不具合ならば、定期訪問の際などに営業がドライバーを取り出してさっと直してしまう。知識一辺倒ではないことも、お客から見れば好感度が高いだろう。



建設現場までガラス張りで公開

 専門知識を付けた社員がエンジニアリング営業を行っているとは言え、実際に建築を担当するのは歴戦の職人たちだ。東日本ハウスの仕事を担っているのは、東友会、東盛会という2つの組織。前者は東日本ハウス事業部、後者はJエポックホーム事業部を担う棟梁集団である。

 通常、家を購入すると、住宅メーカーから工務店に発注が飛ぶ。そして、そこから実際に施工を担う棟梁集団に建設が委託されるのだ。棟梁たちとしては、設計図通りに家を建てるのが任務。そこにあるのは「作業」である。住宅会社も家が一度売れてしまえば、あとは手離れが良いお客こそ好む傾向にある。

 一方、東日本ハウスは棟梁たちと直接繋がっている。グループ会社ではないので、社員というわけではないが、同社にとって棟梁たちは同志。ボーナスも出れば、退職金もある。エンジニアリング営業については前述の通りだが、施工についてさらに詳しい説明を求められれば、営業マンと一緒に棟梁もお客のもとへ足を運ぶ。建築にあたり一片の不安要素も残さない。

 一般的に棟梁がお客と直接関わるのは珍しいが、東日本ハウスの現場ではそれが至極当たり前に行われている。建設現場は関係者以外立ち入り禁止どころか、お客さえ許可すれば他人ですら受け入れる。

 その基礎を築いたのは、実は現在東友会の副理事を務める松浦恒夫。興味がありそうに現場を見ていた通行人を誘って現場を案内したところ、最終的に東日本ハウスのお客になったのである。ある意味では、こうした営業の一部まで棟梁たちには任されているのだ。



当事者意識を育む

 自然、東友会・東盛会に所属しているメンバーは誇りを持って働いている。松浦もその一人。話していても、まるで直接の社員と見紛うほど、東日本ハウスについて当事者意識をもって考えている。所属する東友会の会員証も誇らしげに見せてくれた。

 ビジネスとしても、東友会、東盛会に所属することでWIN-WINの関係が成立している。棟梁としては東日本ハウスから仕事が回ってくる。東日本ハウスとしては職人が不足する事態を予防できる。

 今、全国的に職人は足りていない。最近では「2 ×4(ツーバイフォー)」と呼ばれる金具とネジを使った工法を取り入れたり、最低限の部分は全て工場で製作して持ち込んだりするなど、簡単に組み立てられる家が多くなってきたが、注文設計の観点から言っても、職人の技を使った組み方の方が精度は高い。

 もちろん効率などを考えれば、工場である程度の型を作り、それを組み合わせる工法も使った方が時間短縮やコスト削減の面で良い部分もある。しかし、やはり古来より伝わる伝統の方法でしか成しえない匠の技もあるのだ。



棟梁への無礼に激怒

 東日本ハウスがいかに棟梁集団を大切にしているかは、成田の言動からも一目瞭然だ。

 前述の営業大会で行われた懇親パーティ。参加社員が一堂に会し、酒を片手に語らう。役員席の前には行列。各支店の店長たちが、成田以下役員にお酌をしながら挨拶する。社員からのお酌を受け、にこやかに語らっていた成田だが、急に表情が一変、途端に雷を落とした。

「こら!東盛会さんの理事に片足で注ぐとは何事だ!」

 J・エポックホーム事業部のある支店長が、酔った勢いからか、片足立膝で酒を注いでしまったのである。一瞬で場内は静まり返った。

 もともと成田は、函館支店長時代には自ら東友会のような棟梁集団を組織。話を親身になって聞いて信頼を得たことで、結果的に業績を伸ばしてきた。どれだけ棟梁との関係性が大切か、身に染みて分かっているのだろう。

 さらに、同じく営業大会での一コマ。全国展開をする以上、中には業績がかんばしくない支店もある。そんな時、成田の叱咤が社員たちの心を打つ。

「受注がゼロでもお前らは会社から給料が入るからいい!でもな、東友会さんはゼロだぞ、ゼロ!」

 東日本ハウスの受注が多ければ棟梁たちにもそれなりの身入りがあるが、当然その逆もしかり。だからこそ、東日本ハウスが努力を怠ることは許されない。言わば表裏一体の関係だが、顧客満足を最大にするためには、棟梁との親密な連携は欠かせないのである。


棟梁への無礼に激怒

徹底した理念共有で住宅産業の未来を担う

 東日本ハウスの強みは体育会系の統制力にある。ただ、中にはプレッシャーを感じる店長も多いだろう。営業大会では全国の支店長が一堂に集められ、指名された順に8月の実績、9月の約束数値、9月の挑戦目標を叫ぶ。ただ、消費者にとって大きな買い物だけに、そう易々と売れるような商材ではない。

「8月実績ゼロです!申し訳ございません!」

 大きな部屋を静寂が包む中、支店長の苦しそうな声だけが響く。

「おい!」

 成田の怒号が飛んだ。

「俺は、前にもチャンスやったよな?しっかりしろ!」

 ただ、成田も決して数字だけ聞いて叱っているのではない。社長室には全国に展開する各支店の社員の顔写真と名前がズラリ。全ての支店の状況は、頭の中に入っている。達成できることを、努力の欠如でやっていない。成田の雷が落ちるのは、そう判断した時だけだ。

 もちろん成田とて、叱りたくて叱っているわけではない。ただ、甘い顔を見せていては社業に支障が出る上、棟梁たち、ひいてはお客様にまで迷惑がかかる。

「叱るには、その倍は社員を愛すこと。そして、自分が誰よりも努力すること。それ無くして、人を叱る資格は無い」

 そう断言する成田は社員に読書を課しているが、人一倍読書をするのは紛れも無く自分自身。さらに、社員の書いた感想文は成田自らが必ず目を通す。

 東日本ハウスの企業理念にもある「六恩」。すなわち、お客様、両親、働く仲間、棟梁たち、株主、そして社会全体の六つに貢献する集団たらんとする限り、同社の社員は住宅というモノを通してその「考え方」を売り続ける。この理念を体現できるかどうかに、東日本ハウス、ひいては日本の住宅産業の未来がかかっていると言えよう。



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