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トピックス -企業家倶楽部

2014年11月21日

我が社の思想知らずして我が社の社員にあらず/東日本ハウス代表取締役社長 成田和幸

企業家倶楽部2014年12月号 東日本ハウス特集第3部 編集長インタビュー


成田が社長を引き受けた時から逆境の連続だった。多角化経営の失敗で膨らんだ負債は680億円。その後もリーマン・ショック、消費増税と会社存続のピンチが訪れる。しかし、成田が率いる東日本ハウスは、試練を乗り越える度に組織の結束力は強固なものになっていった。その基本にあるのは、「両親に感謝する気持ち」である。「両親を大切に出来ない人間がお客様を大事にできますか」と成田は言う。人づくりに心血を注ぎ、見事に事業を立て直し、次のステージを見据える企業家、成田に思想教育の重要さを聞く。

(聞き手は本誌編集長 徳永健一)



逆境の時こそ変革の機会

問 現在の住宅業界の動向はいかがでしょうか。アベノミクスで景気は少し良くなっているのでしょうか。

成田 前期は消費増税の駆け込み需要があり、フォローの風があった影響で前年比15%ほど増えました。当社も2013年9月は前年比167%でした。しかし、その追い風も9月以降には収束し、業界平均で20%前後落ち込んでいるのではないでしょうか。あれから11カ月ほど経ちますが、毎月前年割れが続いているのが住宅業界の現状です。やはり消費税の影響が大きいです。以前の水準に戻るまでに2年はかかるという専門家の話もあり、心配しています。

問 消費増税や景気の波があるときは、じっと嵐が過ぎるのを待つしかないのでしょうか。何か対策はあるのでしょうか。

成田 私の30数年の住宅産業での経験から申し上げると、ある程度の棟数ができて動きがあるものなので、ぐっと山ができてプラスになる分、マイナスの谷が出来るのは避けられません。このような時は、負けは負けで素直に認め、いかに対策を練るかしか解決策はありません。このピンチをどうやってチャンスに変えるかを日々考え、経営しています。

問 それはJ・エポックなど価格帯の違う商品に力を入れるということでしょうか。

成田 いいえ、違います。売り上げ・利益の落ちた分を補おうと価格帯の安い商品を勧めるということはしません。そこで、弊社では事業部分けをしていて、高級な木造注文住宅を販売する東日本ハウス事業部があり、J・エポック事業部では、コストパフォーマンスの高い、中堅の木造提案住宅を販売しています。

 営業マンが易きに流れ、それに慣れてしまうと今度は景気が良くなった時に元に戻せるかというと戻せません。それだけはしたくありません。それでは何をするかというと、経費節約です。コストをどう下げるか知恵を絞り、工夫するわけです。メーカーの方にもただ価格交渉するだけではなく、現場に直接搬入してもらうとか、インターネットを活用し、余分な経費がかからないように変えていく他ありません。

問 逆境の時こそ、変革の機会と捉えているのですね。まさにピンチをチャンスに変えたわけですね。

成田 その通りです。2008年のリーマン・ショックの時もそうでした。当時は住宅事業で売り上げが500億円ありましたが、僅か1年で100億円分も落ちました。しかし、ピンチをチャンスに変え、乗り切れたのは、やはりコストダウンでした。東友会という業者会で膝を付きあわせて、お互いに損をしてまで仕事をする必要はないと話し合いました。棟梁には休憩は1時間ではなく、30分にしてくれないかと頼みました。できる事はして、リーマン・ショックのときは全体のコストを約40 億円下げることが出来たのです。今も利益が出るのはこの時の努力があったからです。

 今回も既に手を打っています。今期は消費増税の駆け込み需要で受注残があるから、それなりの収支が出ます。問題は来期 (2015年10月期)です。来期は半分になる可能性もあります。すでに準備はしており、来期の分を15億円分コストダウンしています。



グループの結束力

問 組織を筋肉質にして、利益を上げる仕組みを作っているのですね。また、棟梁の業者会である「東友会」とも危機感を共有しているというのが御社の強みでしょうか。

成田 消費増税の影響についてもグループ会社には状況を説明し、皆で協力しあって乗り切ろうということで理事長や理事とも話して、グループ全体でシステムを変えました。

問 グループ内では何でも正直に話し合う文化があるのですね。

成田 はい、腹を割って話します。これは本当にわが社の強みです。東日本ハウスには東友会、J・エポックには東盛会という業者会があります。この業者会ががっちりガードしてくれます。いまは東北の復興と2020年の東京オリンピックの需要があり、不動産業界では職人の人手不足が深刻な問題になっています。しかし、当社では違います。東友会から何を言われているかというと、人手は確保しているから仕事を沢山取ってきて下さいと言われています。

問 現在、消費は地方を愛する若者の総称「マイルドヤンキー」が牽引しているという話もあります。住宅業界ではいかがでしょうか。また、今後の傾向や課題はどんなことがありますか。

成田 弊社は地方に強い会社ですから、全体のお客様の主たる年齢層は30代です。その中でご両親と一緒に住企業家倶楽部 2014年12月号・ 20まれる方もいますし、これから土地を購入する人もいます。土地付きで購入する方の割合は6割から7割近くいます。しかし、今後は子供の数は減少し、世帯数が少なく、家も余っていきます。ですから、新築は先細りになるでしょう。代わって、両親の家をリフォームしたり、建て替えるなどの需要が出てくることが予想できます。

 私が社長として一番懸念しているのは、この6、7年で最も家を建てる30歳代の人口が大幅に減ることです。そこが将来の不安材料です。そういった環境の変化に対応するため、今からリフォームに力を入れています。

問 各事業部の売り上げの割合はどうなっていますか。

成田 前期2013年10月期の連結売上高が564億円、営業利益が55億円でした。シェアで言いますと、東日本ハウス事業部が63・9%、J・エポック事業部が14 ・4%、リフォーム事業部が15・7%は、不動産事業部が5.9%です。全事業部が黒字です。赤字は一切なしです。



両親に感謝する気持ち

問 家を購入するというのは一生に一回あるかないか、人生の一大イベントです。顧客は営業担当者が信用できないと心配ですね。

成田 営業マンが一番大切にしているのは、お客様との信頼関係です。お客様に尽くして、尽くしていると次への紹介に繋がります。私が営業マンの時も9割がお客様の紹介でした。わが社で家を購入したお客様が知り合いにも勧めたくなるような、そういう会社を作りたいと思いました。現在も全売り上げの内100億円は紹介です。リフォームも6割が紹介です。住宅業界は口コミ、お客様の紹介の影響が大きい。紹介が頂ける営業マンが居るかどうかです。信頼、信用、人間性の高い組織を作りたいと思います。

問 成田社長が仕事をする上で大切だと社員に教えていることは何でしょうか。

成田 まずは両親に感謝する気持ちを持ちなさいと教えています。創業から46年間、変わらず新卒の4月の初給料は親孝行月間としています。今年も北海道出身の女性社員がいましたが、会社持ちで旅費を負担し実家に帰らせ、親孝行宣言をさせています。その時の様子を感想文に書いてもらい、小冊子にしました。それを読むと皆、涙が出ますよね。親を大事にできない人間にお客様を大事に出来ますか。そういう大切なことを教える会社があってもいいじゃないですか。感謝する気持ちを忘れずに、親孝行月間はこれからも続けていきます。



思想教育の重要さ

問 御社の強みは商品力のみではなく営業力にもあるかと思いますが、人づくりで最も重要視されているのはどのような点でしょうか。

成田 それは「思想」です。会社の思想をしっかり理解してから、その次が営業です。思想というのはわが社のポリシーです。まずポリシーがないとダメです。そうしないと、多くのお客さんは価格に走ります。愛社精神がない社員は営業でも結果を出せません。

問 どのように会社の思想を学ばせているのでしょうか。

成田 まずは「我が社の思想を知らずして我が社の社員にあらず 我が社の思想を実践せずして我が社の社員にあらず 」という思想教育です。以前は、いい思想があるのに理解していない社員が多かった。もう一つは、人生をいかに生きるべきか、自分の頭で考えてもらいます。人生の3カ年計画を成功の法則に基づいて作ります。

 社長に就任した12年半前に泊まりこみの合宿を始めました。3年間で1802人の社員と膝と膝を突き合わせ、同じ釜の飯を食べて話し込みました。料理の担当は私です。今では人事部に任せておりますが、入社時と4年目にもう一度合宿に参加し、創業の精神を学んでもらっています。

問 優秀な社員を表彰する制度があるようですね。

成田 金バッジという表彰制度があります。社員の成績上位1割を対象にしたもので、半年に一回表彰する制度です。わが社が経営するホテルに集まり、ディナーショーを開催しています。著名人などゲスト招いて高級フランス料理を振舞います。選ばれた社員は奥様や両親など家族を連れてきていいと言っています。皆の前で表彰されると奥様は自分の旦那のことを誇りに思ってくれますしね。

問 営業スタイルは営業マンによって違うのでしょうか。

成田 皆、それぞれ個性があります。会社として均質化するつもりはありません。ただし、成功・失敗は情報を集めて水平展開しています。支店長の合宿は1カ月に1度開催し、成功例は共有しています。

 営業の現場では、いくら見栄えの良いカタログで説明してもダメで、各営業マンの手作り感が重要です。リフォーム事業で今一番勧めているのは、「ガイナ」という塗装ですが、これは日本のロケットに塗装しているものと同じです。ロケット打ち上げ時の超高温にも耐えられる塗装です。これも普通の塗装と比べて見せて、実際にお客様に体験してもらうことが大切です。



連結売り上げ1000億円が目標

問 中期計画の中身についてはどうですか。

成田 いま、ホップ・ステップ・ジャンプのホップ編が終わり、今はステップ編です。最終的にはグループで売上1000億円を超える企業になろうという構想です。常に高い所に目標を置いて、チャレンジすることが重要です。東証1部に上場というのはあくまで通過点ですから、とりあえず次の大目標がグループで1000億円、株価も1000円以上としています。社名も「東日本ハウス」から「日本ハウス」という会社に改名したいですが、1000億円の目標を達成できなければ、「日本」という大きなネーミングは使えません。

問 社名変更は後にとっておくということですか。

成田 それは次の世代に考えてほしいと思っています。少なくとも連結売り上げで800億円以上に手が届かないと、日本という名前を使うにはおこがましいですからね。西日本の支店長には早く変えて欲しいと言われています。しかし、「名は体を表す」ですから、もうひと頑張りしなければならないぞと社員たちには発破をかけているところです。

問 主要の住宅事業の他、ホテル事業、ビール事業、ガーデニング事業とありますが、まだまだ伸び代がありそうですか。

成田 社長就任前に建てたホテルは最高のホテルです。20年たっても遜色ありません。どこに出しても恥ずかしくありませんが、その代わり収支が合いません。120億円投資しましたが、売上が18億円しか出来ていません。投資回収するのに何十年もかかってしまう。現在進めているホテル事業は、品質やサービスを下げずにコストを抑えることです。投資した金額の3分の1程度の売上げがあると、 短期間に投資回収が出来るわけです。

 ガーデニング事業も規模はさほど大きくなるわけではありませんが、ホテルの宿泊客に対して付加価値を提供できたらと考えています。

 これまでの温泉旅館のスタイルは15時にチェックインして、温泉に入って部屋でゆっくりしたらもう夕食になり、お酒でも飲んだら20時、21 時には就寝。翌朝、朝風呂に入って朝食済ませたらチェックアウトでしょう。これでは、もったいないと思います。ホテルに宿泊したならプラスアルファがなければ、わざわざホテルに来た意味がありません。例えば、昼にはホテルに来て、荷物を預けたら趣味のガーデニングを見て、蕎麦でも食べて、ゆっくりくつろいでもらいたい。連泊の中で何か1つ楽しみをホテルに付随させて作っていきたいと思います。ホテルにエンターテイメントを含めたものを、展開していきたいと思います。

 もう一つ、うちには銀河高原ビールがあります。工場で出来たてのビールを試飲してもらいたいですね。

問 2013年11月に社員に対して、サプライズをしたそうですね。

成田 業績が良かったので、社員に1カ月分の給料と同じ金額を事前に知らせずに振込みました。すると奥様方が驚いて、旦那に「会社からお金が振り込まれている」と電話したそうです(笑)。

 去年は1カ月分で、一昨年は0.5カ月分でした。今回もコストを15億円分削減出来ていますから考えています。来年も利益が上がるでしょうから先に出せるものは出します。利益目標を達成出来たら、0.5カ月位はまたサプライズをしたいですね。



p r o f i l e

成田和幸(なりた・かずゆき)

1953年、北海道函館市恵山町生まれ。76年、北海道産業短期大学(現道都大学)建築学科卒業後、東日本ハウス㈱函館支店入社(営業配属)。90年、函館支店長。93 年、取締役就任。94 年、取締役北海道ブロック長 兼 支店強化推進部長。95 年、取締役 首都圏ブロック長 兼 横浜支店長。2001年、常務取締役 関東ブロック長 兼 首都圏ブロック長。2002年、代表取締役社長に就任。生涯受注実績棟数 532棟(当社歴代1位)。営業在籍14 年半で29回連続金バッジ取得(優秀社員表彰)



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