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トピックス -企業家倶楽部

2014年12月02日

自分株式会社の看板を掲げよ/リンクアンドモチベーション代表取締役会長 小笹芳央

企業家倶楽部2014年12月号 著者に聞く


「 倒産した『自分という株式会社』をゼロから再建する」。会社の強みは何か。ビジョンは何か。それを知り自らを経営することでお金に好かれる人になる。バブル崩壊後3000万円の借金を抱えた経験を持つ著者が、資本主義社会では欠かせない「お金の鉄則」について語る。

『お金の話にきれいごとはいらない』小笹芳央 著三笠書房(1300円+税)



「お金の話ははしたない」と言う若者たち

問 面白いタイトルですね。どういった経緯でお金の話をしようと思ったのですか。

小笹 本を出さないかというお誘いをいただいて、ちょうどそのときに書きたいと思っていたのがお金の話でした。若い学生や社員たちと話をしていると、お金に対してあまりリテラシーがなかったり、「お金儲けはあまりよくない」という認識があったり、お金のことについて話をするのがはしたないといった印象を受けていました。

 私も今まで社員に「お金に対してのリテラシーが低い。もっと勉強しなさい」という話を常々していたのですが、ある内定者が私との面談のとき「小笹会長は社員の方にお金のことをもっと勉強しろとおっしゃっていると聞きましたが、それは本当ですか」と残念そうに言ってきたのです。それを受けて「これはまずいな」と感じました。

 僕自身は企業にとって一番大切なのは社員のモチベーションであり、時代の変遷とともにそのモチベーションの高め方が銭金だけではなくなってきたと考えています。経済的な報酬はもちろん、金銭以外の報酬も大切で、認められたり、自己成長しているという実感が抱けるということが社員にとっては1つのポイントになりうるということです。

問 いわゆる「やりがい」ですね。

小笹 私はそれが「お金じゃない価値が大切だ」と誤解されたのだと、大いに反省しました。むしろお金に関しては、資本主義の社会の中で生きる上では言葉を覚えるのと同じように、メカニズムを知りリテラシーを持つことはいたって当然の話です。そこで、それまでに出していた著書ともリンクさせて、「自分株式会社(アイカンパニー)」と言う考えを軸に本を書くことにしました。



アイカンパニーを経営する

問 「アイカンパニー」とはどういった考え方ですか。

小笹 自分を会社に見立てて、客層や提供できる自社の商品やサービス、競合と比べた強みや弱みを分析することです。

 元々アイカンパニーというのは僕が10年くらい前に言い出した言葉です。企業と個人との関係性はこの数10年で変化してきました。それまで戦後復興、高度成長期、バブル絶頂期の間まで、企業側からは「終身雇用、年功序列、首は切らない」、個人の側も「忠誠を尽くす、転職しない」と言う企業と個人との相互拘束型の関係です。しかし、バブル経済の崩壊によって企業側がこれでは国際競争に勝てないということで、相互選択型の関係に変わりました。その結果起こったのが人材の流動化であり、派遣の活用、契約社員の導入など雇用形態が多様化し、景気のアップダウンに応じて人件費に伸縮性を持たせたといえます。

 そういう流れの中で個人は、寄らば大樹の陰と大手企業で定年まで働くという考え方はもう通用しない。だからこれからは自分のキャリアをデザインし、主体的、自立的に生きていくべきだという考え方がでてきた。アイカンパニーは、そのキャリアデザインについて、ビジョンや優位性などといった経営に関するキーワードを自分ごとのように引き寄せることで、「自分はどんな会社なのか」と結果的に自立心を持てるのではないかという意図から生まれました。

問 小笹さんもバブル時期に痛い思いをしたと言う話を読みました。

小笹 新入社員のころ電電公社の民営化で、NTT株を購入するための抽選に応募したところ2~3倍の確率で当選し、正確にはあまり覚えていませんが、100万円程度で買った株が1日2日で170万円くらいまで上昇しました。「なんだこれは!」と驚きと喜びで、当時は周囲もバブル効果からマンションやゴルフの会員権を買うような状況でした。私もその流れに乗りましたが、結局バブルが崩壊して多額の借金が残りました。

 そこで自分自身の家計としてのPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)をつくり、見直したところ「このままじゃ3年5年で借金返済せえへんわ」と現状を正しく理解することができたのです。ここから倒産した自分株式会社を立て直そうと自分の動き方が変わりました。創業して以降はこのアイカンパニーと自分の会社とが、リンクアンドモチベーション、イコール自分の居場所といったように一致しています。



信用に金が集まる

問 どういう方にお金が集まって、どういう方はお金が逃げていくでしょうか。

小笹 お金と言う存在も社会的な信頼というもので成りたっています。つまり、元々は物々交換時代の非効率を解消するために信頼を土台にしてお金というツールができたのですから、それだけにお金も信頼できる人のところに集まるのだといえます。

 信頼とは約束と実行。それができる人にお金は集まります。しかし一方で、予約しても直前にキャンセルするなどと約束を守らない人にはその逆もあるのです。身近な例でいえば、DVDをレンタルした際の延滞金は約束を破ったことに対するペナルティですよね。反対に、何かやりたいと思ったときにも信用があればお金は集まるものです。

問 今回の著書の反響はいかがでしたか。

小笹 内定者からは「小笹さんがお金の話をするのは意外でした。けど面白かった」と言われました。あとは「自分があまりにもこの本に書かれている内容レベルまでお金に関することを理解できていなかった」という感想もありましたね。

 グループ会社に対して給与制度の変更を行う際に、年収ベースで同等かそれ以上と言うのを条件にしています。しかし、中には年収が上がっても月々の手取りが下がる社員もいて、そこから不満が出ました。「年収は上がっているのに」と私は思うのですが、世の多くのサラリーマンは自分がどれだけの税金や保険料を会社に代行させているかということには関心がなく、目の前の手取りしか見えていない。あまりにもお金に対してリテラシーのない状態です。世の中の人にお金がどういうメカニズムなのかも含めて発信したほうがいいと思っています。

問 若い人達に向けてお金についてのメッセージはありますか。

小笹 信用が大事ということです。若いうちはお金に対するリテラシーを持ちつつ、自分株式会社としての意識を持ち、信頼残高をためなさいと言いたいですね。信頼残高がたまると自然にお金の残高も増えてくる。お金に興味がないと言う人間に限ってお金に汚いということがよくあるものです。お金のことはオープンに話せば良いのだと伝えたいです。



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