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トピックス -企業家倶楽部

2014年12月08日

愛をもって厳威たる/成田和幸の人的ネットワーク

企業家倶楽部2014年12月号 東日本ハウス特集第5部


赤字から不死鳥さながらの復活を遂げ、東証一部上場を果たした東日本ハウス。成田は事あるごとに叱咤を飛ばすが、情の厚さ故と彼を知る者は口々に語る。仁者無敵の人情家。市に帰するが如く、成田の人徳に人は集まる。(文中敬称略)



義理堅く実行力溢れるリーダー

みずほ銀行 執行役員 東京営業第二部長 

冨田克典 Katsunori Tomita


義理堅く実行力溢れるリーダー


「お会いする前は怖そうな人だと思っていましたが、実際にお話ししてみるとソリが合ってすぐに打ち解けました」

 遡ること一年半前の2013年4月。東日本ハウスの担当になった冨田は、成田と出会った時の様子をこう振り返る。

 できるはずなのにできない。努力を怠っているのが目に見える。そうした際、成田は社員を厳しく叱責する。しかし、その裏側には「自分は決して特別な人間ではない。君たちも努力すれば絶対に出来るからやってみろ」というメッセージが隠されている。社員を叱るには、その2倍は愛さなければならないというのが成田の持論だ。

 2014年4月に開かれた東証一部上場の祝賀会。放映されたビデオの中に、成田が社員に向けて上場を報告する場面があった。冨田の目に止まったのは、社員一同が成田の一言一言を噛み締め、真剣に頷く様子だ。

「叱るのにはエネルギーが必要です。社員を大切にするがゆえ、成田社長は怒る。その熱意を皆が理解しているからこそ、こうした信頼関係が構築されているのでしょう」

 以前、成田は「社長の一番の仕事は社員教育である。そして、それはすなわち人間教育である」と冨田に語った。「一人の人間として成長すれば、職業人としての成果も自ずと付いてくる」と部下に言い続けてきた冨田にとって、成田の考えは共感できるものだった。

 人間性を高めるという意味で、成田は社員に読書を推奨している。読了後には感想文を課し、社長自ら目を通すという徹底ぶりだ。成田がいかに人間性を磨くことを重んじているかが伺える。読書は社会人生活においてのみならず、多くの場面で様々な気付きに繋がるだろう。成田の人間教育は、冨田の考えと重なる。

 そんな二人はいまや、月に一度は会う仲である。以前、冨田は成田の自宅に招かれ、成田自ら腕をふるった料理で、これでもかというくらいのもてなしを受けた。ゲストを大切にする成田が、自社の顧客に対して最高のサービス提供を追求することは容易に想像がつく。

 また、株主総会に参加した際、成田が分け隔てなく株主に話しかける姿を見て驚いた。議事が終了した後は、隣の部屋で食事会をするのが通例。やはり成田が料理を振る舞い、それを楽しみにしている株主も多いようだ。一部に上場した今も変わらず岩手県盛岡市で開催されており、昔からの株主も大切にする義理堅さが伺える。

「形だけではなく、真に株主との交流を兼ねた総会です。東日本ハウスも成田社長も、株主から愛されていますね」

 成田の強さは人を大切にする誠実さだけではない。冨田は成田について「創造力と実行力の人」と分析する。東日本ハウスの住宅は、地球環境を考慮してソーラーパネルが標準搭載されている。つまり売電が可能なのだが、銀行の住宅ローンは売電収入を考慮した仕組みになっておらず、成田は疑問を持った。話を聞いた冨田は、成田着想を銀行の担当部署で検討。その結果、みずほ銀行は売電収入をローン審査に反映することを決定した。成田のアイデアがメガバンクをも動かしたのだ。

「一部上場はまだまだ通過点に過ぎないでしょう。更なる成長を期待しています。いつまでも情熱を忘れないでください」



親分肌の人情家

矢部和広 Kazuhiro Yabe

テレビ朝日映像 営業事業局担当 エグゼクティブプロデューサー


親分肌の人情家


「地震に強いグッドストロング工法だ!太陽光発電もついて価格据え置き、いいかぁ!」

 営業部長に扮する俳優の泉谷しげるが拳を上げて部下を鼓舞する。このシリーズのコマーシャルを制作するのがテレビ朝日映像の矢部だ。

 矢部は10年前、成田が社長就任して3年経った頃に最初のコマーシャル制作の依頼を受けた。成田は体格が良くインパクトがあり、闘志がみなぎっていた。大きな負債を抱えた会社を再建すべく、大改革の真っ最中だったからだ。

「東日本ハウスがどんな家づくりをして、数ある他の住宅メーカーとはどう違うのか。それを伝えるためには目立つコマーシャルでなければならない」と成田自らが泉谷しげるの起用を提案したという。

 泉谷しげると言えば、しかめ面で悪態をつくイメージがあり、当初矢部の脳裏にはコマーシャルの意図が視聴者に誤解されるかもしれないという不安もよぎった。しかし泉谷しげるは、毒舌とは裏腹に、チャリティー活動を精力的に続ける温かい人柄で人気を集めている。父親は職人で、成田とは会うなり意気投合した。不器用な人情家、まさに成田の言葉を語らせるには打って付けの人物であると言えよう。

 家は一生に一度の大きな買い物だ。良い家を納得した価格で手に入れたいというのは切実な願いである。それに真摯に応える家づくりをするという成田の想いを、視聴者だけでなく社員にも発信したのではないかと矢部は考えている。

 今や成田とはプライベートでも親しい。2014年の夏、矢部は夫人と共に成田の故郷である函館を訪れ、成田夫妻と休暇を過ごした。矢部は成田の母校、函館有斗高校OB会のゴルフコンペにも飛び入り参加し、成田の旧友たちとも親交を深め、悪ガキ時代の話に花を咲かせた。成田は同窓生や昔からの仲間、業者の人たちを函館の自宅に招き、酒を酌み交わす。その場にいない友まで気にかける。実に親分肌で仲間思いなのだ。

 営業マン時代には、お客の要望に応えるため、建築士の免許を持つ成田自身が設計を変更することもザラであった。矢部が成田の自宅に飾られていた古い壁掛時計について尋ねると、感謝の印として顧客から贈られたものだと言う。まさに営業マン冥利につきるとはこのことだろう。

 そんな成田の期待に応えねばならない社内の人間はさぞかし大変だろう。しかし、成田が社長に就任して顧客第一を徹底、その顧客満足がさらなる顧客を呼び、東日本ハウスの復活に結びついた。

 矢部と出会った頃から、成田は「必ず東証一部上場を果たす」と語っており、今年とうとうそれを実現させた。「成田社長にとって社員は皆可愛いし、やれば出来ると信じている。だからこそ社内には厳しい。分かりづらいがそれが成田社長の優しさだ」と矢部は言う。

 東日本ハウスの住宅やマンションには、間取りに家族が集まれる「空間」がいくつもあるのが良いと体感している。そうした現体験からも、成田にさらに上を目指して会社を発展させて欲しいと願っている。

 時代の流れもあり、全ての社員が成田の真意を理解出来ないこともあるだろう。しかし、そうした壁は必ず乗り越えられると矢部は説く。

「一部上場も果たし、今後はグループ全体で発展しなければならない、後継者を育てる意味を含め社員に成田イズムとスピード感を育めると、さらに強い会社となるでしょう」



緻密で大胆 頭の中をのぞいてみたい企業家

松浦恒夫 Tsuneo Matsuura

全国東友会連合会 副理事長 関東・首都圏ブロック担当理事 松浦建業 大工棟梁


緻密で大胆 頭の中をのぞいてみたい企業家



 成田と松浦の出会いは18年前。函館支店で「東日本ハウスの伝説」をつくりあげた実績を持つ成田が、横浜支店長として神奈川にやってきた。

 松浦の成田の第一印象は「とにかく、おっかない人。眼つきが他の人と違う。存在感の大きさ、厳しさに成田さんが会議室に着席したとたんに場の空気がピシっと緊張したほど」。

 ある時、「棟梁のみなさん方、集まってくれ」と成田に飲みに誘われた。

「成田さんは函館で『棟梁会』を作られ、棟梁たちの話を丁寧に聞き、現場を2日と空けさせず、助け合い、信頼関係を築いてきたことを話されました。横浜でもそういう会を作り、棟梁たちと信頼関係を築いていきたいと。怖い第一印象と随分違う人だなと感じました」

 その後、成田が常務になった頃、松浦は東日本ハウスから離れようと決意していた。支店長の必死の説得にも意思を曲げなかったある日、成田から直接会いたいと声がかかる。

 京橋にあったやまとプラザに呼び出され、扉の鍵を全部締めた成田は「さあこれで二人きりだ。松ちゃん、好きなこと言いなよ」とどっかりと腰を下ろした。

「一職人が東日本ハウスの常務に好きなことを言えと言われても、言えないですよ。でも最終的にはたくさん話しました。成田さんは職人としてプロの私に適切な提案、アドバイスをくれました。函館時代から棟梁と対話して、現場や技術について深く学んできたのでしょう。成田さんには敵わないなと思いました」

 成田と話すたびに、松浦は自分たちとはレベルが違う深みを感じるという。成田は東日本ハウスの家づくりのことだけではなく、グループ企業の銀河高原ビールやホテル運営についても見識が深く、5~10年先を見据えつつ、今の社会のニーズを鋭敏にキャッチし取り入れている。料理が得意な成田はホテルの料理の一つ一つの味まで確認しているという。

 東日本ハウスの家づくりは構造躯体60年保証の家づくりに始まり、ソーラーパネル、耐震、制震と、次々に社会のニーズに応えている。成田の時代を読む感性に感銘を受けつつ「自分たち棟梁も勉強が欠かせない」と松浦は表情を引き締める。建設現場を公開している東日本ハウスの家づくりでは、見学に訪れるお客様にある程度の説明ができなければ、良い提案はできないからだ。

 棟梁たちの間には「一棟一心」という言葉がある。数字上の単なる1棟ではなく、1棟1棟、お客の顔があり、営業担当の顔があり、棟梁の、多くの付帯業者たちの顔がある。棟梁が1棟に関わるボリュームは7割と言われている。棟梁の意識が家づくりに与える影響は大きい。

 1棟にかける会社としての思いや理念を、お客や支店長たち、付帯業者に伝え続けることも、社長直轄の全国東友会副理事長を務める松浦の仕事のひとつだ。

 成田の思考は緻密、かつ大胆。頭の回転の速さには驚きを隠せない。「一度頭の中をのぞいてみたいですよ」と松浦は笑う。

「そばで見てきましたが、13年で大きな借金を背負っていた会社を建て直し、東証一部に上場させた手腕は並大抵のものではありません。非常に忙しい方ですが、自分の体のことも大事にしつつ、70まで現役でいていただいて、一緒にゴルフを楽しみたいですね。

 私は成田社長に惚れ込み、一生ついて行きますと言明しました。東友会副理事として、棟梁としての立場で動く上では、自分にできることは精一杯やっていきます」

 松浦は、心から惚れ込んだ男、成田にエールを送る。



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