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トピックス -企業家倶楽部

2015年01月14日

「勇気」と「信念」を持ち自分の打ちたい手を打つ/囲碁のプロ棋士九段 武宮正樹

企業家倶楽部2015年1/2月号 私の信条


僕が本当に伝えたかった上達の鉄則

武宮正樹 著マイナビ(1490円+税)




 本にも書きましたが、囲碁は「最後に地の多い方が勝ち」と言われる。そのためか勘違いして、序盤から地を取りたがり、欲張ってしまう人がいる。利己的になり、目先の利益に心を奪われると、盤全体が見えなくなり、弱い石があることに気付かず、後に形勢を逆転され負けてしまうことがある。

 碁は「最後に」地の多くなることを目指さなければ良い石は打てない。考えなければならないのは、「今、何をすべきか」であり、幹となる石をどう打つかまず考えるのだ。それでも勝負事なので「勝ちたい」と思うのが人間だろう。相手が自分より格下と油断すると心に隙が生まれ、良い石は打てない。碁は相手と交互に石を打つ、真剣勝負。だからこそ相手に尊敬の念を持ち、謙虚さが必要だ。究極のところ相手の実力の強い弱いは関係ない。プロ棋士でも大事なタイトル戦などでは、プレッシャーから力んでしまうことがある。しかし、そんな時こそ、自然体で向き合うことが大切だと知った。碁は人生の大切なことを教えてくれる。

 碁は一手で状況が大きく変わることがある。まさに一寸先は闇であり、同時に無限の可能性があるといえる。プロ棋士同士の一局では、十手先を読むことは難しい。盤上では常に「変化」が起こっている。これは経営にも通じるのではないか。世の中は絶えず動いており、時代や国が変われば、「常識」と言われていたことが通用しないこともある。碁にも「定石」があるが、場合によっては最善の手であるとは限らない。変化を感じ取り、頭を柔軟にして対応しなければならない。

 相手の力み具合を見て、攻めを受けたり、かわしたり一瞬で判断しなければならない。そのため、どんな些細な情報でも入ってくるように心をオープンにしておくことが重要だ。例えば地が欲しくて目先の利益に目が行くと、本来入ってくる情報を見落とし、勝機を逃してしまう。どんなに実力があってもチャンスを逃す人はプロの世界でトップになれない。

 対局中は自分一人で判断し、自分で着手しなければならない。誰にも相談できない。だから「勇気」が必要だ。一寸先は分からないので、不安との戦いでもある。最もいけないのは、臆病になることだ。失敗を恐れ、打ちたい手をやめてしまうのは良くない。自信のない石は、相手にも伝わるものだ。結果に拘り過ぎると平常心でいられなくなり、本来の実力が出ない。そんな時は「今、やるべきこと」に集中することだ。そして、失敗から学ぶことも多い。人から何を言われようと「自分の打ちたい手を打つ」こと、「信念」を持つことを信条としている。そのときは損しても、後々のための投資が出来るかどうかが肝要なのだ。

 師匠や先人から学ぶことも有益だろう。しかし、操り人形であってはならない。あくまで助言として参考にして、自分の信念を持たないと、先人やコーチ以上に強くはなれない。

 最後に、碁もビジネスの世界もまだまだ分からないことだらけである。未来には無限の可能性があるので、世の中の人が喜ぶような商品がまだまだ出てくるはず。人類の知恵はこんなものではない。企業家は、人が喜ぶような新しいサービスを発見して欲しい。



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