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トピックス -企業家倶楽部

2015年01月20日

妥協しない「ものづくり」で美食を実現/柿安本店代表取締役社長 赤塚保正

企業家倶楽部2015年1/2月号 トップに聞く


惣菜、精肉、外食事業などを手がける柿安本店。その6代目である赤塚保正社長は、日本のみならず世界各地の美食を探し、その知識・経験を惜しみなく商品開発に生かしている。「ものづくりができる人間をリーダーにしていく」。今期もグループ一丸で増収増益を目指す同氏に、柿安の人づくりと同社の今後を聞いた。

聞き手:企業家ネットワーク会長 徳永卓三

 



自ら出向き美食を探す

問 よく地方に出向かれていますね。

赤塚 先日は北海道で小豆の収穫に参加しました。その折に、「この小豆でおはぎをつくろう」という話になったのです。担当者は固定観念から、「社長、小豆は2年くらい乾燥させてからつくるのが通例です」となかなか動かないので、「誰が決めたんだ、そんなこと。役所が決めたんか。少なくとも柿安では決めとらんぞ」と言ってつくらせました。そうしたら、新しくつくったおはぎには新豆の新鮮な風味が生きていて、既存品とはまた違った美味しさがありました。

問 美味しいものを探すのがご趣味なのですね。

赤塚 そうです。そして、それを柿安でつくる。最近は美味しいものがあると幹部のところにも持参して、食べさせています。

 おいしいものを知らない人間が、お客様にそれを提供することはできませんよね。だから私も全国各地津々浦々を巡り、さまざまなジャンルのおいしいもののリストを持っています。お店の名前以上に、何がおいしかったかが重要です。

問 食べたくなったらそこに行くしかないですね。

赤塚 はい。柿安もそういう店にならなければいけないと思っています。会社の名前も大事ですが、「すき焼きなら銀座七丁目のあのお店がおいしい」と言ってもらえるものを提供していきたいですね。


自ら出向き美食を探す

職人をリーダーにする

問 人材育成に力を入れていますね。板前さんの人数はどれくらいですか。

赤塚 約400人で、職人と呼んでいます。最近はそうした職人をリーダーとした人材育成に力を入れています。柿安はものづくりの会社ですから、私もトップとして全国から美味しい食を探してきます。それと同時に、今後は人づくりにも注力していきます。よくものづくり・人づくりと並べられますが、そのどちらもなくては経営は成り立たない。

 ものづくりの発想の良いところは、「できない」と思い込んで踏みとどまらず、「まずはつくってみよう」と行動に移すことができるところです。私が見つけてきたおいしい食をすぐに商品化できるようにするためにも、職人をリーダーにしようと動いてます。そして、その職人と二人三脚するのが販売の人間ですから、どちらも当社の両輪として大事に育てていきます。

問 今後、柿安が実行する組織のあり方、人づくりの要諦は。

赤塚 各部門で現場経験の豊富な人材が活躍できる場を創出していきます。人材育成については、社是にもある「考え、実行」を大切に、一人ひとりが自分で考え、問題を解決できる力を身につけるような環境づくりをしています。今の30ー40代は努力すればどんな能力でも身につくものですから、営業やものづくりの経験を積ませています。

 私も進んで新商品のアイデアを出すように心掛けています。その1つとして、11月末から私が発案した新しい商品が発売予定です。ホワイトチョコレートといちごクリームのどら焼です。和菓子というと年配の方向けというイメージですが、これは幅広い年齢層の方にも受け入れられると思います。引き続き社員たちにも、常に新しい発想でものづくりして欲しいですね。
 



12月選挙の波紋

問 2015年の2月期はどうなりそうですか。

赤塚 増収増益は出来ると思います。しかし、2年前に出した過去最高の増収増益ができるかどうかは12月にならないと分かりません。

 前半戦は前期に比べて4%の増収、利益は横ばいでした。原材料の高騰が原因です。例えば精肉部門では伝染病が発生して豚肉の値段が上がりました。あとは円安。当社では蟹や海老は品質の良いものであれば輸入食材も使用しているため、原価率が上がって利益に影響しました。

 最終的には今期も当然、過去最高の増収増益を目指しております。しかし、それも12月次第です。11月時点では順調に推移していますが、特に目測違いだったのは選挙。なぜかと言いますと、まず佃煮部門、贈答品はほとんど11月、12月に稼ぐものだからです。選挙になるとそれどころではないと、消費も人の動きも鈍ります。

 不幸中の幸いだったのが、選挙がなんとか1週間早まったことです。もし21日からならクリスマス商戦に重なってしまうので、それに合わせて戦略を練り直さなければならないところでした。

問 私も12月に選挙をするとは思いませんでした。

赤塚 今日も営業部長らを呼んで2時間くらい会議して、12月の戦い方を再検討しました。消費が停滞すると高いものが売れませんから、佃煮関係のギフトは既に鈍ってきています。

 その一方で、今年はおせちの動きが良く、百貨店で当社の料亭でつくる5万円台と6万円台のものが完売しました。好景気なときは外食する家庭が多く、元旦の夕方から店舗が活気付いていました。しかし、震災以来の景気も影響してか、お正月はおせちを自宅で家族と食べる内食の傾向が続いています。そのため、「少し高い価格でもおいしいものにしよう」と当社のおせちを購入される方が多いようです。



和菓子店「柿安 口福堂」好調

問 部門別の売り上げで伸びているのはどこですか。

赤塚 安定しているのは精肉と和菓子ですね。昨今の動向を見る限り、外食産業は価格帯の低い店だとレストランや居酒屋問わず不況です。逆に高級店は好調だと聞いています。そうした状況もあって、和菓子事業である柿安 口福堂に力を入れようと考えています。

問 どの地域に着目されていますか。

赤塚 労働力のことを考え、東京、大阪、名古屋の都心を避けて、労働力に余裕がある地方に出店しようかと考えています。最近は山形県など東北地方に出店し、今後は物流さえ整えば北海道進出も考えています。

 先日は福岡にオープンしたのですが、これが面白い。1ヶ月目が8坪で2000万円売り上げ、大変な好調です。先月も1500万円の成績を残し、今月で投資回収しました。どこかで月商900万円程度の売り上げに落ち着くと見ていますが、それでも良い成績です。


和菓子店「柿安 口福堂」好調

日本の中心銀座に新規出店

問 海外出店はまだでしょうか。

赤塚 考えてはいますが、今はまだ国内でやりたいことがあります。実は、今度、銀座に新たなお店を作る予定です。

 銀座の現在の店舗よりも、「もっと良質なお肉、もっと美味しいものを食べたい」というお客様に来ていただけるような、知る人ぞ知る柿安プレミアムレストラン。良質な肉を取り扱うため客単価も引き上げ、5万円程度を想定しています。というのも、銀座で3ツ星レストランだと飲み物含めて3ー5万円で、柿安 銀座店でも平均客単価が2万2?3000円だからです。この平均にはランチタイムの価格も入っているので、ディナータイムだと3万円程度に上がるでしょう。

 そのため、肉の品質にはこだわっています。松阪肉でも、数の限られる種類を牧場で育てて、それを肉の味が一番伝わるあみ焼きとすき焼で提供する考えです。

問 いつ頃オープンされますか。

赤塚 まだ物件を探している段階です。場所にもこだわっていて、やや隠れ家的な場所を探しています。銀座は他の地域に比べ坪単価が高いのですが、それでもやはり銀座に出店するということは当社のブランドイメージにもつながります。そのため、銀座への新しい店は柿安のフラッグシップとする予定です。海外出店はそれからになるでしょう。

問 何と言っても世界の銀座ですからね。

赤塚 そうですね。だから銀座の新店舗をオープンさせて、さらにニューヨークやシンガポールにも出店すれば、柿安ニューヨーク店で食べたお客様が「本店に行きたい」と銀座の店舗に来てくださることもあるでしょう。だから海外より先に、日本の中心と言っても過言ではない銀座への新規出店に力を入れます。



「あの柿安」と言われるブランドを目指す

問 今後、売り上げと利益はどのくらいになりそうですか。

赤塚 売り上げ500億円、利益40億円を数年後の目標にしています。

 今後は利益率を上げたいと考えています。今6%程度なのを、8?10 %にしたいですね。財務的にも余裕があるので、M&Aすれば簡単に売り上げ500億円には到達します。しかし、当社では今のやり方、今の会社で40億円の利益を得るためにも、売り上げより利益率を上げたい。

問 株価についてはいかがお考えですか。

赤塚 柿安の場合、株主の皆様に喜んでもらうのは株価だけではありません。それは当社で株式の40%を所有しており、関係者を除けば個人株主の方がほとんどですので、株主はすなわち当社のお客様でもあるわけです。だからこそ、我々がお客様が喜ぶ商品を提供できる商売をしていれば、株主の皆様にも喜んでいただけます。

問 将来的に、柿安をどのようなブランドにしていかれるおつもりですか。

赤塚 もっともっと磨いていきます。その中で、銀座への新店舗のオープンは1つの手段ではないでしょうか。「あの銀座の店を運営する柿安のお惣菜」といったように、一つの商品や店舗を通してブランド力を高めていく。例えばコンビニでも「あの柿安のお弁当なら買って食べてみようか」と信頼感を持っていただけることが柿安の目指す企業イメージです。そのためにも、柿安の出す商品は美味しくなければならない。だからこそ、これからも味に関しては常に妥協しません。



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